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支遁7  王濛と支遁

王濛おうもう劉惔りゅうたん支遁しとんの講話を聴きに行った。


それを聞きながら、王濛が劉惔に言う。

「あれは、曲者だな」


だがそのまま聞き進めていると、

こう言い直した。

「あぁ、あれは仏僧界の何晏かあん王弼おうひつか」


そして後日

「支遁どのの微細なる境地を掘り込む才覚は

 王弼にも劣るまい」

と評するに到っている。



王濛が病に臥せっていた時、

親しかろうが疎遠な者だろうが、

とにかく誰とも会わなかった。


そんな中で支遁がやって来る。

門番、慌てて王濛のもとに出向いた。


「なんか、こう、その……

 すごい、人が来ました。


 お気を揉ませてしまうのも

 申し訳ないかと思ったのですが、

 伝えぬわけにもゆくまい、と」


ふふっ。王濛は笑う。


「まぁ、支遁殿だろうな」


異相のひと、と言えば、支遁。

あの文壇において、

ひとり、とびっきり

醜い人であったと伝えられている。




王、劉聽林公講,王語劉曰:「向高坐者,故是凶物。」復更聽,王又曰:「自是鉢釪後王何人也。」

王、劉は林公が講を聽き、王は劉に語りて曰く:「向に高坐せる者、故より是れ凶物なり」と。復た更に聽かば、王は又た曰く:「自ら是れ鉢釪の後の王、何の人なり」と。

(賞譽110)


王長史歎林公:「尋微之功,不減輔嗣。」

王長史は林公を歎ずるらく:「尋微の功、輔嗣に減ぜず」と。

(賞譽98)


王長史嘗病,親疏不通。林公來,守門人遽啟之曰:「一異人在門,不敢不啟。」王笑曰:「此必林公。」

王長史は嘗て病し、親疏にても通ぜず。林公の來たるれば、門を守る人は之を遽啟して曰く:「一なる異人、門に在り。敢えて啟さらざらざん」と。王は笑いて曰く:「此れ必ずや林公なり」と。

(容止31)




ん、これ、謝安の支遁評が低かったのってその外見があまりにも醜かったから説? つーか、それで結局支遁と会ったの、会わなかったの? ちょっといろいろぶん投げ過ぎじゃないっすかね……?

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