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許詢3  山水隠者

許詢きょじゅん永興えいこうの南の洞窟に隠遁していた。

そこには周辺各地の

お偉いさんからの贈り物が、

ひっきりなしに届けられていた。


それを見て、ある人が言う。


許由きょゆうのところには、

 こんなに贈り物が

 届いていたのかね?」


すると許詢は答える。


「このようにいくら

 贈り物を寄越されたとて、

 天下と言う宝には

 到底勝るまいよ!」



そんな許詢、川べりに

たたずまうのも好きだったが、

一方で身一つで

急峻な山を登るのにも長けていた。


人々は言っている。


「許さんはただ詩情に

 優れているだけではなく、

 景勝の地を得るための

 道具も備えているのだな」




許玄度隱在永興南幽穴中,每致四方諸侯之遺。或謂許曰:「嘗聞箕山人,似不爾耳!」許曰:「筐篚苞苴,故當輕於天下之寶耳!」

許玄度は隱れて永興が南の幽穴中に在すも、每に四方諸侯の遺を致す。或るもの許に謂いて曰く:「嘗て箕山の人を聞く、爾らざるに似たるのみ!」と。許は曰く:「筐篚苞苴、故より當に天下の寶より輕きのみ!」と。

(棲逸13)


許掾好遊山水,而體便登陟。時人云:「許非徒有勝情,實有濟勝之具。」

許掾は山水にて遊ぶを好めど、體は登陟に便なり。時の人は云えらく:「許は徒だ勝情あるのみに非ず、實に濟勝の具を有す」と。

(棲逸16)




ようやく許詢が隠者隠者してるお話に辿り着きました。これでおしまいだけど☆

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