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第47話 バリケードを守らなければ…………


 ゴードンとショーン達は、ともに最後まで残って、ゾンビ達と戦おうとする。



「よっし、残りは俺達だけだな、うわ…………まさか、コイツらが来るとは」


「不味いな、ここは銃を使わないと成らんっ!」


「ウガアーーーー」


「グャアアアア」


 現れた敵を前にして、ショーンとゴードン達は、バリケードを背にしたまま、顔を険しくさせる。


 二人の前では、ウォーリアー達が、呻き声を上げながら段々と近づいてくる。



 ロングスピアーを構えた、ウォーリアーは突撃しながら走ってくる。


 フランジメイスを右手に握る、ウォーリアーは姿勢を低くしながら向かってきた。



「ぐっ! このっ! 不味い、このままでは」


「グガッ?」


「ガガガッ!?」


「死ね、死ね、死ねーーーー!?」


「ウッ? ウグ」


「ギアア…………」


 ショーンは、勢いよく、ショートソードを振るい、鉄の槍を叩き落とす。


 そして、ダガーを持っている素早い動きのウォーリアによる刺突を、バックラーで攻撃を弾く。



 ゴードンは、感染を警戒して、素手での戦いを避けるべく仕方なく、ピストルを使う。


 発射音は出るが、近接戦闘を仕掛けるよりも、距離を保てるため、それゆえ安全に戦える。



「ギャアアッ! グギィーー!」


「数が凄いぞっ! 援護は無いのか?」


「ウォーーーー! グホォ…………」


「逃げていった連中は、どうしたんだっ!」


 フランジメイスを振り上げた、ウォーリアーを、ショーンは蹴っ飛ばして地面に倒す。


 アームナイフを振るう、ウォーリアーを、ゴードンは腕を、遠くへと掴み投げ飛ばす。



「ショーン、ジャンピンガーやフレッシャー達がっ! こっちも魔法は無理よっ!」


「不味いです、そちらまで手は回りませんっ!」


 リズとジャーラ達は、バリケード内に侵入してきた、特殊ゾンビ達と悪戦苦闘している。


 それ故に、ショーンとゴードン達を助けられず、目の前に立ち塞がる敵を相手する他ない。



「ギャアアッ!!」


「グオオーー!」


「やべっ! 奴等は手練れだ」


「殺られる前に、殺るしかない」


 リザードマンのウォーリアーが、両手に握るバスタードソードを、振り回しながら突撃してくる。


 黒鎧を着ており、日本刀を持っている、ウォーリアーも物凄い勢いで、突進してくる。



 ショーンは、バックラーで大剣を受け止めつつ、後ろに下がってしまう。


 刀を持つ両腕を押さえながら、ゴードンは相手に頭突きを喰らわするが、敵は怯まない。



「も、もう、ダメだ…………ヤバい?」


「ガアーーガアーー」


「不味いな、蹴っ飛ばしも効かない」


「ウオオオオッ!!」


「にゃア?」


 ショーンは、押されてしまい、後ろに下がりながら、ウォーリアーの連撃をバックラーで耐える。


 両腕を押さえ続けながら、ゴードンは強烈な蹴りを繰り出すも、ウォーリアーは全く怯まない。



 窮地に陥り、誰の助けも得られない中、妙な人影が、ヨロヨロと歩いてくる。


 それは、棍を握る具合が悪そうな顔をした、ミーであり、ゆっくりと歩いてきた。



「まさか、ミー? お前まで、ゾンビ化したのか?」


「クソッ! 何てこったっ!」


「にゃアーー!? ヤバいにゃっ!!」


「グアッ!」


「ウウ…………」


 ショーンは顔を真っ青にさせ、ゴードンは驚きながら怒鳴ってしまう。


 しかし、同様する二人を見ながら、ミーは叫びながら棍を振るって、ウォーリアー達を殴った。



「よし、今だっ! 反撃してやるからな、このやろーーーー!!」


「やっと、体勢を崩したか、それなら…………おらあっ!?」


 ショーンは、リザードマン・ウォーリアーの首を跳ねて、一撃で倒す事に成功した。


 黒鎧ウォーリアーの頬をブン殴った、ゴードンは、さらに体を掴んで投げ飛ばした。



「グアアアアッ!!」


「ガヒャヒャヒャッ!?」


「グルアアアアーー」


「ギャアア~~~~!」


 二体の強敵を倒した、三人だったが、そこへ大量にゾンビ達が現れた。


 それは、フレッシャー・ウォーリアー・ジャンピンガー等からなる軍団だ。



「不味いにゃ…………これは、どうするかにゃ?」


「いや、それより、お前は何処に居たんだよっ!?」


「そんな事より、早く下がるんだっ!?」


 余りにも、数が多いゾンビ達を前に、ミーは急いで、バリケードを飛び越えた。


 ショーンは、彼女が何処で何をしていたかと不振に思い、問い詰めた。



 だが、そんな彼を叱咤しったしながら、ゴードンも、木箱の上へと避難する。


 そうしている間にも、ゾンビ軍団は猛烈な勢いで、津波の如く押し寄せてくる。



「とにかく、逃げるんだにゃっ!」


「やべっ! やべっ! 取り残されちまった…………」


「グオオオオーー」


「ガアガアッ!!」


 ミーは、勢いよくバリケードを飛び越えていき、姿が見えなくなる。


 こうして、一人だけ残されてしまった、ショーンはゾンビの大群と対峙する。



「不味いよ、不味いよ、クソッ! ションベンを我慢できない時なみに焦っち? んん? これだっ!」


 大群が迫る中、ショーンは動きの素早かった、ダガーを使っていた、ウォーリアーに目を向ける。


 当然ながら、奴は物言わぬ死体と化しているが、そのベルトには特別な武器があった。



「これでも喰らえっ!」


 奴の腰に下げられた、バッグには青白く光る瓶が、何個も入っていた。


 これを見て、ショーンは投擲武器だと思い、直ぐに拾うと、連続で群れに投げつけた。



「グアッ! …………」


「ギャアア~~~~」


「グゥゥーー!?」


「ウォーーーー!!」


 青白く光る瓶が、地面に当たって砕けると、周りに白いガスを噴出させる。


 これを、喰らって運の悪いゾンビ達は、氷漬けに成ってしまった。



「た、助かった、いや? 後ろから、まだまだ来やがるっ?」


「ウオオオオ」


「アアアア」


 ショーンは、地面に経たりこもうとしたが、敵の援軍を見て、直ぐに木箱を掴んだ。



「よっと、こっちも戦いが終わった見たいだな…………」


「ああ、終わったぜ…………ショーン、スパタを振るいすぎて疲れちまったよ」


「急いで、氷壁を強化しなければっ!! 力自慢の俺が動くしかないか」


「私も手伝うよ、よっこらせっと」


 バリケードを飛び越えた、ショーンを出迎えたのは、疲れきった仲間たちだった。


 特に、マルルンは椅子に座って、具合が悪そうな顔を向けてきた。



 そんな中、大棚を動かして、ゴードンが入口に張られた氷壁の裏に設置する。


 彼の直ぐ後ろからは、両肩に酒樽を載せた、フリンカが、笑顔で歩いてきた。



「これで、当分、ゾンビは入れないだろう? しかし、休みながら警戒は必要だな」


「死体も、外に捨てないと成らないにゃっ!」


「私は休むよ、流石に体が疲れたからねぇ」


「その分は、俺が動いてやるから心配はしなくていい」


 左右両側をバリケードで塞いだ事と、特殊感染者の撃退が終わった。


 これにより、ショーンは腰を下ろして、背中を木箱に預けるのだった。



 そう言いながら、ミーは死体を運び、棚の向こう側に投げ捨てる。


 フリンカとゴードン達も、同様に休んだり、ゾンビ達による襲撃を警戒したりし始めた。



「そういや? ミー、お前は何処に居たんだ? さっきは見なかったぞ」


「ゾンビと戦っていたら、フレッシャーか? ジャンピンガーに、振るっていた棍を捕まれてしまってにゃ…………それから、棍ごと体を振り回されたあと、壁に頭を叩き付けられて、しばらくは立てなかったにゃ」


 ショーンは、ゆっくりと酒樽に座りながら、ミーに質問すると、彼女は理由を答えた。



「そうだったか? 俺も正面の敵を相手しているだけで、気がつかなかったからな」


「もう、頭が、フラフラして辛かったにゃあ」


 そう言いながら、ショーンとミー達は、体を休め続けるのだった。

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