ゴードンとショーン達は、ともに最後まで残って、ゾンビ達と戦おうとする。
「よっし、残りは俺達だけだな、うわ…………まさか、コイツらが来るとは」
「不味いな、ここは銃を使わないと成らんっ!」
「ウガアーーーー」
「グャアアアア」
現れた敵を前にして、ショーンとゴードン達は、バリケードを背にしたまま、顔を険しくさせる。
二人の前では、ウォーリアー達が、呻き声を上げながら段々と近づいてくる。
ロングスピアーを構えた、ウォーリアーは突撃しながら走ってくる。
フランジメイスを右手に握る、ウォーリアーは姿勢を低くしながら向かってきた。
「ぐっ! このっ! 不味い、このままでは」
「グガッ?」
「ガガガッ!?」
「死ね、死ね、死ねーーーー!?」
「ウッ? ウグ」
「ギアア…………」
ショーンは、勢いよく、ショートソードを振るい、鉄の槍を叩き落とす。
そして、ダガーを持っている素早い動きのウォーリアによる刺突を、バックラーで攻撃を弾く。
ゴードンは、感染を警戒して、素手での戦いを避けるべく仕方なく、ピストルを使う。
発射音は出るが、近接戦闘を仕掛けるよりも、距離を保てるため、それゆえ安全に戦える。
「ギャアアッ! グギィーー!」
「数が凄いぞっ! 援護は無いのか?」
「ウォーーーー! グホォ…………」
「逃げていった連中は、どうしたんだっ!」
フランジメイスを振り上げた、ウォーリアーを、ショーンは蹴っ飛ばして地面に倒す。
アームナイフを振るう、ウォーリアーを、ゴードンは腕を、遠くへと掴み投げ飛ばす。
「ショーン、ジャンピンガーやフレッシャー達がっ! こっちも魔法は無理よっ!」
「不味いです、そちらまで手は回りませんっ!」
リズとジャーラ達は、バリケード内に侵入してきた、特殊ゾンビ達と悪戦苦闘している。
それ故に、ショーンとゴードン達を助けられず、目の前に立ち塞がる敵を相手する他ない。
「ギャアアッ!!」
「グオオーー!」
「やべっ! 奴等は手練れだ」
「殺られる前に、殺るしかない」
リザードマンのウォーリアーが、両手に握るバスタードソードを、振り回しながら突撃してくる。
黒鎧を着ており、日本刀を持っている、ウォーリアーも物凄い勢いで、突進してくる。
ショーンは、バックラーで大剣を受け止めつつ、後ろに下がってしまう。
刀を持つ両腕を押さえながら、ゴードンは相手に頭突きを喰らわするが、敵は怯まない。
「も、もう、ダメだ…………ヤバい?」
「ガアーーガアーー」
「不味いな、蹴っ飛ばしも効かない」
「ウオオオオッ!!」
「にゃア?」
ショーンは、押されてしまい、後ろに下がりながら、ウォーリアーの連撃をバックラーで耐える。
両腕を押さえ続けながら、ゴードンは強烈な蹴りを繰り出すも、ウォーリアーは全く怯まない。
窮地に陥り、誰の助けも得られない中、妙な人影が、ヨロヨロと歩いてくる。
それは、棍を握る具合が悪そうな顔をした、ミーであり、ゆっくりと歩いてきた。
「まさか、ミー? お前まで、ゾンビ化したのか?」
「クソッ! 何てこったっ!」
「にゃアーー!? ヤバいにゃっ!!」
「グアッ!」
「ウウ…………」
ショーンは顔を真っ青にさせ、ゴードンは驚きながら怒鳴ってしまう。
しかし、同様する二人を見ながら、ミーは叫びながら棍を振るって、ウォーリアー達を殴った。
「よし、今だっ! 反撃してやるからな、このやろーーーー!!」
「やっと、体勢を崩したか、それなら…………おらあっ!?」
ショーンは、リザードマン・ウォーリアーの首を跳ねて、一撃で倒す事に成功した。
黒鎧ウォーリアーの頬をブン殴った、ゴードンは、さらに体を掴んで投げ飛ばした。
「グアアアアッ!!」
「ガヒャヒャヒャッ!?」
「グルアアアアーー」
「ギャアア~~~~!」
二体の強敵を倒した、三人だったが、そこへ大量にゾンビ達が現れた。
それは、フレッシャー・ウォーリアー・ジャンピンガー等からなる軍団だ。
「不味いにゃ…………これは、どうするかにゃ?」
「いや、それより、お前は何処に居たんだよっ!?」
「そんな事より、早く下がるんだっ!?」
余りにも、数が多いゾンビ達を前に、ミーは急いで、バリケードを飛び越えた。
ショーンは、彼女が何処で何をしていたかと不振に思い、問い詰めた。
だが、そんな彼を
そうしている間にも、ゾンビ軍団は猛烈な勢いで、津波の如く押し寄せてくる。
「とにかく、逃げるんだにゃっ!」
「やべっ! やべっ! 取り残されちまった…………」
「グオオオオーー」
「ガアガアッ!!」
ミーは、勢いよくバリケードを飛び越えていき、姿が見えなくなる。
こうして、一人だけ残されてしまった、ショーンはゾンビの大群と対峙する。
「不味いよ、不味いよ、クソッ! ションベンを我慢できない時なみに焦っち? んん? これだっ!」
大群が迫る中、ショーンは動きの素早かった、ダガーを使っていた、ウォーリアーに目を向ける。
当然ながら、奴は物言わぬ死体と化しているが、そのベルトには特別な武器があった。
「これでも喰らえっ!」
奴の腰に下げられた、バッグには青白く光る瓶が、何個も入っていた。
これを見て、ショーンは投擲武器だと思い、直ぐに拾うと、連続で群れに投げつけた。
「グアッ! …………」
「ギャアア~~~~」
「グゥゥーー!?」
「ウォーーーー!!」
青白く光る瓶が、地面に当たって砕けると、周りに白いガスを噴出させる。
これを、喰らって運の悪いゾンビ達は、氷漬けに成ってしまった。
「た、助かった、いや? 後ろから、まだまだ来やがるっ?」
「ウオオオオ」
「アアアア」
ショーンは、地面に経たりこもうとしたが、敵の援軍を見て、直ぐに木箱を掴んだ。
「よっと、こっちも戦いが終わった見たいだな…………」
「ああ、終わったぜ…………ショーン、スパタを振るいすぎて疲れちまったよ」
「急いで、氷壁を強化しなければっ!! 力自慢の俺が動くしかないか」
「私も手伝うよ、よっこらせっと」
バリケードを飛び越えた、ショーンを出迎えたのは、疲れきった仲間たちだった。
特に、マルルンは椅子に座って、具合が悪そうな顔を向けてきた。
そんな中、大棚を動かして、ゴードンが入口に張られた氷壁の裏に設置する。
彼の直ぐ後ろからは、両肩に酒樽を載せた、フリンカが、笑顔で歩いてきた。
「これで、当分、ゾンビは入れないだろう? しかし、休みながら警戒は必要だな」
「死体も、外に捨てないと成らないにゃっ!」
「私は休むよ、流石に体が疲れたからねぇ」
「その分は、俺が動いてやるから心配はしなくていい」
左右両側をバリケードで塞いだ事と、特殊感染者の撃退が終わった。
これにより、ショーンは腰を下ろして、背中を木箱に預けるのだった。
そう言いながら、ミーは死体を運び、棚の向こう側に投げ捨てる。
フリンカとゴードン達も、同様に休んだり、ゾンビ達による襲撃を警戒したりし始めた。
「そういや? ミー、お前は何処に居たんだ? さっきは見なかったぞ」
「ゾンビと戦っていたら、フレッシャーか? ジャンピンガーに、振るっていた棍を捕まれてしまってにゃ…………それから、棍ごと体を振り回されたあと、壁に頭を叩き付けられて、しばらくは立てなかったにゃ」
ショーンは、ゆっくりと酒樽に座りながら、ミーに質問すると、彼女は理由を答えた。
「そうだったか? 俺も正面の敵を相手しているだけで、気がつかなかったからな」
「もう、頭が、フラフラして辛かったにゃあ」
そう言いながら、ショーンとミー達は、体を休め続けるのだった。