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第77話 公園の連中を倒して


 レストランの隣にある、大きな自然公園には、芝生が生えた丘や、木々が並び立つ。


 その一番北側にある駐車場には、海トカゲ団員たちが、トラックを停めていた。



「来たな? チンピラ達や海トカゲ団員で、いっぱいだぜ」


「さて、連中をどうやって、倒すかにゃあ~~?」


 テクニカルを運転しながら、駐車場に近づいていく、ショーンは敵を睨みながら呟く。


 ミーも、助手席で、右手に釘を握り、敵に変装がバレた時に備えていた。



「やあ? こっちは作業が終わったんだが? そっちはどうだ?」


「いや、誘導用の爆薬はセット完了したんだが、今は撤収準備中だ」


「まだまだ、時間が掛かるのかにゃ?」


「もう少しで終わるから、お前らは警察署に向かった連中の様子を見に行ってくれ? 向こうの起爆チームが手間取っているようなんだ」


 ショーンは何食わぬ顔で、窓ガラスを開けて、魔法使いの海トカゲ団員に、声をかけた。


 ミーも、奥から笑顔で、何時でも釘を投げられるようにしながら、弓兵の海トカゲ団員に質問した。



「分かった、そっちも早く終わらせろよ」


「ここは頼んだにゃあ~~」


「おおっ! もう少しで終わるからな」


「終わったら、直ぐ支社に帰らないとなあ」


 ショーンとミー達は、それだけ言うと警察署に向かうべく、テクニカルを走らせた。


 魔法使いと弓兵たちは、別れ際に手を振ってから、それぞれの作業に戻った。



「ここの連中、居なくなるらしいから、下手に攻撃しない方がいいな…………」


「あの人数なら、勝つ見込みも無いし、暗殺のしようが無いにゃあ…………」


 警察署に向かう、テクニカルの車内で、ショーンとミー達は、ともに呟き合う。



「と言うワケで、警察署の方に向かう? 船に近くなるが、みんな音を出すのは気を着けてくれよ?」


「分かってる、俺の爆薬は使うのは封印だな」


「私も、派手な音は立てないように戦わないとねぇ~~?」


 幾つかの建物を横切りながら、テクニカルは警察署に向かっていく。


 その外観は、赤レンガに覆われており、かなり目立つ位置にポツンと立っていた。



 ショーンは、運転しながら仲間たちに注意しながら、車の速度を落としつつ、走行音を小さくする。


 もちろん、これは豪華客船まで、大きな者音を立てないようするための措置だ。



 スバスは、爆弾の変わりに、ウニ鉄球を握りながら、海を険しい顔で眺めながら呟く。


 フリンカも、へらへらと笑いながら、これから戦いになると思うと、すごく興奮する。



「見えてきたな? テクニカルが、二台も停まってるぜ」


 そう言いながら、ショーン達の乗った、テクニカルは、警察署に近づいていった。



「よし、ここに停めて置こう? 豪華客船に、かなり近づいてきたな」


「海沿いの警察署かにゃ? 中にも、海トカゲ団員が居るだろうから、気を付けていかないと、成らないにゃ…………」


「ゾンビも、潜んでいるかも知れないっ!」


「みんな、気を付けて行くぞっ! 後ろは任せろっ! 弓で援護してやるっ!」


「私も、突撃に備えないとね~~取り敢えず、ドアに向かいますかぁ」


 テクニカルを、警察署の前で停車させた、ショーンは、港に停泊している豪華客船を眺める。


 ミーは、風打混を使った白兵戦を想定して、署内に突入しようと、背中を丸めて待機する。



 ワシントンは、弓矢を構えながら、正面玄関の左側に立ち、周囲を警戒した。


 ドアに向かって、フリンカは右肩にポイズンソードを担ぎながら堂々と歩いていく。



「魔法は射てるようにしないとねっ! 何時でも行けるわよ」


「室内とは言え、爆弾は使えない? ウニ鉄球も使えるほど、廊下は広いだろ…………はっ?」


「うわああああっ! た、助けっ! うぐ…………」


「ギュエエ」


 マジックロッドを正面玄関に向ける、リズは飛び込みながら魔法を放てるように構えた。


 スバスも突撃しようと、身構えていると、急に誰かが飛び出してきたので、すごく驚いてしまう。



 それは、ヒツジ人間の海トカゲ団員であり、血塗れになっている奴は、路上で倒れてしまった。


 また、同じく警察署内から、ピョンピョンと跳ねる、キョンシー型ゾンビが飛び出してきた。



「ゾンビかっ! 切り落とすだけだっ!」


「ギュエエエエーー!!」


「ウググ、グオオッ!! グオ…………?」


「そのまま黙れよ? はい、眠った、眠った」


 ピョンピョン跳ねるゾンビは、鋭い前蹴りを放って来たが、ショーンは左側に体を傾けて避ける。


 それと同時に、トリップソードで、足を二本とも切り落とし、頭を踏みつけた。



 一方、いきなり起き上がって、ゾンビに転化したばかりの海トカゲ団員は、羽交い締めにされた。


 それは、スバスが密かに背後から仕掛けた攻撃であり、彼は簡単に骨をボキッと折った。



「どうなってるんだ?」


「分からないわ? 何なのかしら?」


「とにかく、行くんだにゃ」


「用心しながら、進むしかない…………敵は射殺するだけだ」


 ショーンは、バックラーを構えながら、正面玄関から署内に入っていく。


 その後ろから、リズはマジックロッドを構えながら、海トカゲ団員やゾンビ達を警戒しつつ歩く。



 ミーは、風打棍を右手で握りながら、左手には釘を隠し持ち、奇襲に備える。


 ワシントンも、狩猟弓を構えながら、足音を立てずに内部へと入っていく。



「中は…………うわっ! 酷いな?」


「戦闘中だにゃあ?」


「おらっ! 死ねっ! お、もう救援部隊が来たのかっ!」


「グルアアアア~~~~」


 ショーンは、正面玄関から内部に入り、少し歩いて、廊下を通りすぎると広いホールに出た。


 ミーも、辺りを見渡して驚きながらも、冷静に状況を把握しようとする。



 ここでは、海トカゲ団員とゾンビ達が戦闘しており、互いに射撃武器や白兵戦を展開していた。



 左側から、スピットゲローは強酸を吐き、右側では、グール族の海トカゲ団員が、弓矢を放つ。


 正面にある受付のカウンター奥では、フレッシャー達が、海トカゲ団員たちに走っていく。



「ヤバイなっ! 取り敢えず、海トカゲ団側を助けるぞっ! ワシントン、リズ、ここは任せたっ!」


「任せろ、曲がり角から援護してやるっ!」


「火炎魔法の威力は、押さえて射つわっ! 火事や音が響いたら、ヤバイし?」


「ゲロロ、ゲローー!」


 ショーンは、強酸や弓矢を避けながら、開かれたドアから、ガラス張りの部屋素早く飛び込む。


 ワシントンは、膝だちになり、狩猟弓を構えて、何度も玄を引いては、矢を放つ。



 マジックロッドから小さな火の玉を、リズは何回も放ち、敵を牽制する。


 もちろん、それ等を食らった、スピットゲローも強酸を口から飛ばして、反撃してくる。



「おら! 邪魔だっ! 退けってのっ!」


「グゲッ! グゴゴッ!」


「援軍かっ! 助かった…………」


「そうだにゃあっ? 今は、ゾンビを倒すのが先にゃあっ!!」


「ここは、狭いからロングソードより、喧嘩スタイルで行くよぉ」


 ショーンは、水晶玉やパソコンが置かれた、オフィステーブルを飛び越える。


 と同時に、キョンシー型ゾンビに、ドロップキックを食らわせて、壁に叩きつける。



 それを見ると、サメ人間の海トカゲ団員は、溜め息を吐きながら、短刀を敵に向ける。



 ミーは、再びゾンビが立ち上がる前に、頭を叩きながら釘を打ち込んだ。


 他のゾンビ達を前にして、フリンカは両手に填めた籠手ガントレットを構える。



「鉄球より、煙玉を転がせばっ! よし、これで、向こうから見られなくなったぞ」


「だが、こちらも見えなくなってしまったな?」


「火炎魔法の壁を作るわっ! これで、向こうからは走れないはずよっ!」


「ギャアアアアーー!!」


「グアア~~~~!?」


 スバスは、煙玉を転がして、スピットゲローから視界を奪い、こちらを攻撃できないようにする。


 だが、それにより、ワシントンも攻撃する事が出来なくなり、彼は狩猟弓を下げるしかなかった。



 そんな中、リズは天井まで届かない程度の火炎魔法を敵に向かって放ち、壁を作った。


 これを乗り越えてきた、ゾンビ達は体に火が着いて、走るうちに崩れ落ちるように倒れた。

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