ライルズとショーン達は、灰煙が充満する中、互いの姿を探しながら、遮蔽物に身を隠す。
「ガアガア、ガア~~」
「ギュアーーーー!」
「ライルズ、ゾンビが来ているぞっ! 早くしないと、喰われちまうぜ?」
「ふんっ! この距離と煙では、銃は扱いにくいか?」
灰煙により、視界が遮られてしまい、海トカゲ団員たちは銃撃できない中、ゾンビ達は走ってくる。
ショーンは、これなら敵の防御陣形を崩せると思い、ひたすら動く死者たちが来るまで待つ。
ライルズは、味方部隊を誤射しないように、ホルスターに銃を仕舞う。
そして、サーベルを黒鞘から抜き取り、右手に握り、両目を瞑りながら耳を研ぎ澄ませた。
「視界が晴れてきたっ! うわああ、ゾンビが近づいて来てやがるっ!」
「撃て、撃て、近寄らせるなっ!」
「グオオオオオオ」
「ウギャアアアアーーーー」
エリート兵は、クロスボウを射ちながら叫び、走るフレッシャーを倒す。
防弾兵は、ミニミを撃ちまくりながら、小走りで迫るゾンビ達を、射殺していく。
それでも、射撃やゴーレムの格闘攻撃を回避しながら、動く死者たちが、大群で向かってくる。
しかも、マッスラーが突進してきたり、ジャンピンガーが勢いよく飛び跳ねる。
「スニージンガー、ガスモークだわっ! 雷撃と風刃の弾丸で倒すわっ!」
「この距離じゃ、銃は間に合わんなっ!」
「そうだぜ? 間合いにさえ、入ってしまえば、隙ができるっ! しかも、同士討ちを気にして、銃は撃てないっ!」
「ショーン、援護開始するわよっ! 邪魔な敵は、私が引き受けるわっ!」
特殊感染者たちが、近寄ってくる前に、スザンナはベレッタから魔力を込めた拳銃弾を放つ。
風刃魔法は、弾丸の回転速度を上げて、威力と命中率を向上させ、雷も攻撃力を高める。
彼女が、何発も弾丸を放つうちに、ライルズは懐から、三つのスローイングナイフを投げる。
二人が、ゾンビ達に注意を向けている隙を狙って、ショーンは遮蔽物を飛び越えた。
そんな彼を助けるべく、リズは大きな火球を幾つも放ち、海トカゲ団員たちに奇襲を仕掛ける。
「ぐわっ! 魔法かっ! 何処からっ!?」
「このっ! く、」
「今だっ! スザンナ、邪魔だっ! ライルズ、その首、貰ったぞっ!」
「きゃあっ!」
「ショーン、貴様っ! 望むところだ、かかってこいっ!」
火炎魔法が当たって、エリート兵は一瞬だけ、身を怯ませると、即座に反撃に移る。
同じく、火球を、フェニックスバイザーに当てられた防弾兵は、焦って遮蔽物に隠れる。
いきなり、現れたばかりのショーンは、スザンナを蹴り飛ばし、ライルズに剣を振るう。
だが、互いに
「これで、終わりだっ! ライルズ、お前も最後だっ!」
「それは、こっちの台詞だっ! この勝負、貰ったっ!」
ショーンは、右手に握る、トリップソードで真っ直ぐに突きを放った。
それを軽く回避しながら、ライルズは彼の左胸を狙い、サーベルを前にだす。
「ぐっ! これが狙いか? あと少し遅れていたら、確実に肩をやられてたな」
「ははっ! ショーン、腕が落ちているなっ! エリート部隊から外れたんだから当然か?」
「ライルズ、援護するわっ!」
「ショーンは殺らせないわっ! 喰らえっ!」
サーベルの切っ先が、軽く左肩を斬ったが、ショーンは顔をしかめながらも、後ろに下がった。
ライルズも同じく、バックステップで後退すると、懐からスローイングナイフを投げる。
さらに、スザンナは素早くベレッタで援護射撃しながら、右側か走ってくる。
そんな彼女を狙い、リズが遠方から、火炎魔法の火玉を、マシンガン見たいに連続で放つ。
「ぐぅっ! 何発か、喰らったか? だがっ!」
「向こうが厄介だわ…………しかし、やったわっ! えっ!」
「スザンナッ! 貴様っ! そっちは殺らせないっ!」
頭や顔面に、弾丸が当たってらしく、ショーンは回転する風と電撃で、一瞬だけ脳が怯む。
ただ、正面から投げられた、スローイングナイフはバックラーで見事に防御した。
さらに、彼は前に出ると思わせて、スザンナを襲い、ベレッタをトリップソードで叩き落とした。
ライルズは、彼女を守るべく、自ら盾に成ろうと前に出て、サーベルを正眼に構えた。
「このまま、援護をっ! きゃああっ! やはり、敵も簡単には殺らせてくれないのねっ!」
「あの女エルフは敵だっ! 撃ち殺すんだっ!」
「ゴーレムが、ゾンビを止めに行ったからな」
更なる援護射撃を、リズは行おうとしたが、流石に海トカゲ団側も、彼女の存在に気づいた。
カエル人間の海トカゲ団員は、何発かずつ、MP5を連射してきた。
エリート兵は、自動散弾銃スパス15から何十発もの散弾を放ちまくった。
「くっ! ショーン、殺してやっ! うぐぅぅっ!」
「ガアガアガアガア」
「グルアア~~~~」
「防衛線が突破されたぞっ! ゴーレムも、何体か押し倒されたっ!!」
腰から、素早くレイピアを抜き取って、スザンナは片手で構えながら突きを繰り出そうとした。
しかし、その時、フレッシャー達が走ってきて、バリケードを飛び越えてきた。
また、ジャンピンガーは凄まじい勢いで、跳躍して、一気に迫ってくる。
ゴーレムも、この数は捌ききれなくて、ひたすら、ゾンビ達に橫を通り抜けられてしまう。
「こっちも、相手しなければ…………ライルズ、そいつの事は任せたわよっ!」
「分かってるっ! スザンナ、背中は頼むぜっ!」
スザンナは、バリケードを飛び越えようとするゾンビ達の頭を、レイピアで切り裂く。
その間に、ライルズは相変わらず、彼女を庇うようにして、サーベルを右手で構える。
「ライルズ、この混戦は俺に有利に働いたなっ?」
「ああ、お前は昔から、白兵戦が得意だったな? それに、戦術も上手く使ってたな」
ショーンとライルズ達は、何度も剣を叩き合い、互いに首を狙っては、斬撃を繰り出す。
「撃ちまくれっ! 相手は、たった一人だっ!」
「火力集中させろっ!」
「たく、不味いわねっ! これじゃ、ショーンを援護できないわ」
「グオオオオオ」
「ウガアーーーー!!」
エリート兵は、HK416を単発連射しながら、正確に狙いを定めて、弾丸を放ち続ける。
スケルトンの海トカゲ団員は、M2ブローニングを射撃し続け、リズが隠れる壁をボロボロにした。
その間にも、続々と新たなゾンビ達が現れては、ゴーレムを倒していく。
マッスラーが突撃していき、ファットゲローは、バリケードに近づき、血液を橫凪に噴射する。
「うわああっ! 放水銃並みの威力だっ!」
「気を付けろっ! 次は、強酸を放つかも知れないぞっ!」
「今だっ! 敵は弱って来ているっ! 突撃開始ーーーーーー!!」
「撃ちまくってやるぜ、ヒャッハッハッハ」
エリート兵は、噴射された血液を受けて、ダメージを受けなかったが、怯んでしまう。
防弾兵は、ミニミを機銃掃射させながら、ゾンビの群れを押さえようと、必死で奮闘する。
だが、そんな海トカゲ団員を狙って、彼等から見て、右側にある多数の通路やドアから敵が来た。
ブラックアントを乗り回す、茶アリ人間は、三連散弾銃トリプルスレットを連射する。
機銃掃射しながら突撃する、豆戦車に乗ったBB団員は、MP5を乱射する。
「バルコニーを制圧しろっ!」
「勢いに任せて、突撃だっ!」
二階バルコニーにも、右側から黒アリ人間が、マテバを撃ちながら走ってきた。
BB団員も、AK47を乱射しながら猛烈な勢いで、突撃してくる。
「上からもかっ! 反撃しろっ! うっ!」
「グレネードッ! 離れろっ! うぐわっ!」
「ガソリン・カクテルを喰らえっ!」
「オマケに、くしゃみ爆弾だっ!」
「形勢逆転だなっ! ライルズ」
「はっ! 言ってろっ! ショーン」
イナゴ人間の海トカゲ団員は、斜め上に短弓を連射したが、頭をマグナム弾に貫かれてしまう。
落下してきた手榴弾に、防弾兵は身構えるが、やはり衝撃を受けて、後ろに転んでしまう。
更には、赤アリ人間や黒人BB団員たちが、火炎瓶や、円形の陶器を投げてきた。
海トカゲ団側が、混乱に陥る中、ショーンとライルズ達は、最後の決闘に挑もうとしていた。