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「新たなる3人」

 「アレ、ン…!?」

 「あ……!あなたは、スーロン!?」


 生き残りの鬼たちに会うべくダンクの案内のもと、里の奥地へ移動していた俺たち。

 その道中で向こうから3人の鬼たちが俺たちのところにやってきた。


 「そっちの方向から昂った戦気がいくつも感知したから何事かって行ってみたら、まさか………そんな!こんなところでまた会えるなんて……!」

 「スーロン!良かった、また会えて……本当に良かった!!」


 灰色の髪の女鬼……スーロンは、涙混じりの笑顔でアレン・センとともに再会を喜んだ。


 「ギルス……お前も来てくれたのか…!」

 「ああ、久しぶりだな、キシリト!ソーン!」

 「ううっ!ギルス!もう会えないかと思ってた!」


 一方残りの二人の鬼はギルスの友人らしく、3人で喜び合っていた。二人の鬼の髪は同じ薄めのピンク色だということから兄妹かと思われる。

 盛り上がった筋肉を持つ典型的な鬼の体躯の青年がキシリト、小柄体型の少女がソーンだ。



スーロン 20才 鬼族(鬼人種) レベル66

職業 戦士

体力 3000

攻撃 3900

防御 3900

魔力 2500

魔防 2900

速さ 2900

固有技能 剛力 堅牢 鬼族拳闘術皆伝 咆哮 大地魔法レベル6 限定進化



キシリト 21才 鬼族(吸血鬼種) レベル72

職業 戦士

体力 5000

攻撃 3500

防御 3500

魔力 5000

魔防 3500

速さ 3900

固有技能 吸血 炎熱魔法レベル7 雷電魔法レベル6 嵐魔法レベル6 暗黒魔法レベル7 魔力光線(炎熱 雷電 暗黒) 魔力障壁 神速 咆哮 自動回復 限定進化



ソーン 13才 鬼族(吸血鬼種) レベル50

職業 戦士

体力 3000

攻撃 5100

防御 5000

魔力 1000

魔防 2500

速さ 5000

固有技能 吸血 金剛力 絶牢 水魔法レベル5 火魔法レベル5 神速 

咆哮 見切り 鬼族拳闘術(皆伝) 自動回復 限定進化



3人とも初めて会った時のセンやルマンドらと比べて強いステータスだ。こんな危険地帯で暮らしているからだろうか。


 「……あいつは優しい男だった。俺たちを奴隷扱いしているこいつら亜人なんかの窮地を救うくらいにな」


 キシリトはダンクを睨みながらそんな話をしている。少し前に死んでしまった3人の鬼たちのことを話しているらしい。


 「今でも亜人どもを俺は…俺たちは憎いと思っている。あの時…命からがら逃げて追い込まれていた俺たちを捕えて無慈悲に殺そうとまでしたこともあった。だけどあいつはそんな亜人たちを命がけで助けて逝ってしまった...。正直あいつの意図は分からないままだ。俺たちをこんな目に遭わせている亜人たちに助ける価値なんてないはずなのに…!」


 キシリトの話にソーンは悔しそうに涙を溜めている。スーロンの顔も険しげだ。


 「今ばかりは以前みたいなクソな扱いを受けていないとはいえ、まともな生活環境を用意してくれているとはいえ、亜人たちを赦す気にはならない、絶対に…!

こいつらのせいで仲間たちが死んだのだから!」


 3人ともダンクに憎しみを込めた目を向ける。3人に共感したアレンたちもダンク

に怨嗟の目を向ける。全員の鬼たちに睨まれているダンクは何も言うことなく瞑目している。


 「待って下さい!ダンクさんが何故あなたたちに理不尽な仕打ちを強いていたのかについての理由があったんです!」


 険悪な空気を察知した藤原が割って入ってダンクを庇う姿勢をとる。そしてダンクの姉が過去にアレンの母に殺されたことを話した。


 「なんだって…!?」

 「あの人がそんなことを…」


 キシリトとスーロンは驚きの声を出す。3人ともこの話は初耳だ。そのせいあってか先程までの怒りや憎しみの感情が薄まった気配がした。


 「………わざわざ話すことではないというのに」

 「そうやって何でも隠していると、ずっと険悪なままになってしまいますよ」

 「かといって彼らの憎しみは無くなるわけではあるまい。俺たちはそれだけの仕打ちをしてしまったのだから。それに俺たちのやっていることは八つ当たりの他でもない。さらにはモンストールとの戦いにも巻き込ませてもいる。理不尽を強い続けてしまった俺に…俺たち亜人は、彼らに赦される資格はないだろう…」


 ダンクの言葉を聞いた藤原は悲しげな眼差しで彼の顔を見つめる。アレンたちもそんな二人の様子を見て険悪さが削がれているように見える。


 「………家族を殺されたのは気の毒だとは思う。けれどお前たちだってかつては戦いの中で俺の仲間たちを殺してきたはずよ。仕方なかったっていうのは違うけれど…それが戦いってものよ。やっぱりお前のしてきたことは赦されないわ」

 「…………そうかも、しれないな」


 スーロンの辛辣な言葉にダンクは肯定の意を表す。その態度に3人は少し戸惑う。ダンクは……鬼族に対する憎悪が以前よりも薄まっているように思える。自分がしていることはお門違いだと本当は分かっていたのだろう。しかし姉を殺されたという事実がある以上その元凶となった鬼族を憎まずにはいられなかった。仕方ない死だったと思いたくなかったから、誰かを憎みたかったのだろうか。

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