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「それぞれの動向」2

 皇雅とアレンがサント王国を出てから一週間後。ガビル国王は世界に存在する全ての大国……イード王国・ハーベスタン王国・ラインハルツ王国の各国王に、連合国軍結成の話をもちかけた。

 ガビルは大国の国王たちに映像越しでここ最近起こった出来事(獣人族と魔人族のこと)を報告し、いずれ来る魔人族による大規模な世界への侵攻の脅威を訴え、連合国軍の結成の必要性を説いた。

 連合国軍の結成と加入に最初に賛成したのは、ハーベスタン王国のニッズ国王だった。ハーベスタンでは過去に百を超える数のモンストール群による大規模な襲撃事件が起こり、モンストールの脅威を深刻に受け止めていた。ガビルの提案を聞くと大いに賛同し、すぐに加入の意思を表明した。

 それを見たイードの国王…ルイム・イードも、ラインハルツの国王…フミル・ラインハルツも賛同の意を表して連合国軍に加入。こうして百数年ぶりに複数の大国から成る連合国軍が結成された。

 それに伴って各大国の兵士団を一同に集めて連携の訓練などを取り入れるようになた。


 それから数日後……


 「カミラさんが国を出たのですか……!?」

 「ああ。彼女はこの国の軍略家であることを辞めた。同時にこの国からも出て行った…」


 ある日ハーベスタン王国との連携訓練を行うべく美羽とミーシャが王国に訪れたところ、ニッズ国王からそんな報告を聞かされた。美羽はもちろん、同じ軍略家であるミーシャにとっても衝撃的でショックなことだった。


 「カミラさんは、今どちらに……」

 「それは分からない。ただ彼女は最後に、“私が本当に仕えたいと思える人が出来ました。私の本当の居場所に行かせて下さい” と言っていた」

 「…………やっぱり、のところへ行ったのかも…」


 カミラの行く当てを察した美羽は苦笑いを浮かべる。同時に安心もした。「彼」のところなら大丈夫だろう、と。


 一方ラインハルツ王国では、縁佳をはじめとする3年7組の生徒たちが、ラインハート兵士団長による鍛錬を再び行っていた。更なる成長を求める縁佳は今まで以上に鍛錬に精を出していた。


 「殺す気でいく。死んでたまるか!って気持ちで来い」

 「はい――――」


 ラインハートの超スパルタに対しても縁佳は音を上げることなく必死についていった。


 連合国軍は魔人族との決戦に備えて着々と力をつけていった。軍が目標としている戦闘レベルは、百数年前に存在していたとされる初代異世界転移組の戦士たちがいた軍以上としている。

 敵はさらに強化された魔人族に加えてモンストールもいる。過去を凌ぐ歴代最強の軍をつくることは必須とされていた。

 それを理解している兵たちは日々強くなることを考えて日々を生きていたのだった。


 一方の魔人族勢力も、ヴェルドとベロニカの指示の下で戦力を順調に確保していった。世界中のモンストール(屍族)を魔人族の号令の下に集め、魔物を従わせていった。従わない魔物は殺して死体に変えてから瘴気を取り込ませてモンストールに変えていったのだった。


 そして………皇雅もまた、来る決戦に備えるべく修行の旅へ出たのだった。



                 *


 皇雅たち桜津高等学校3年7組がこの世界に召喚されてから約7か月経ったこの時―――

 人族大国の連合国軍・魔人族・皇雅と鬼族………この三勢力がそれぞれ大戦の準備を始めてから約半年経った今―――



 物語は再び大きく進むことになる――――――

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