アルマー大陸に位置している魔族の大国。その名は「サラマンドラ王国」 竜人族の国だ。旧ドラグニア領地にて大規模な戦が起こっている一方で、この国も同じくらいの規模の大戦が勃発していた。
「服従か滅亡か、選べ―――げしゃ!?」
「何か言ったか、ガキが」
斥候役として現れた魔人族を、エルザレスがブレス技を放って消し飛ばした。「限定進化」を発動することなく魔人族を一撃で葬ってみせたのだ。それが引き金となり、サラマンドラ王国にモンストールと魔物の大群が襲い掛かってきた。
100を超える竜の戦士たちが、その倍の数あるモンストール・魔物を圧倒している。
特に、各地に散らばって応戦している「序列」戦士たちは、Sランクの敵が来ようとも圧倒していた。
“撃砕”
「グオオオオオオオオ......ッ!!」
巨大で長い顎でモンストールの胴体に噛みつき...否、嚙み砕く。その一撃は相手の骨・内臓など簡単に砕いて潰して、真っ二つにしていく。相手が災害レベルでもそれは同じ結果。
鰐竜の姿になった男―――序列5位「
「ガアアアアアア!!」
「ふん。デカい顎だけだと思うな......“神速”」
後ろから襲い掛かるモンストールの攻撃を紙一重で躱して回り込み、さっきと同じように嚙み砕いて屠る。敏捷性も戦士の中では指折りである彼に隙など無い。
「さて......あのいちばん強そうであろうモンストールを屠ったら、俺も族長たちのところへ加勢するか」
ゲーターは異形のモンストール...Sランクモンストールを睨みつけてそう呟く。教頭している戦士たちとともにそれと相対する。
「――っ!俺の顎で嚙み砕けないとは!」
これまでと格が違うと瞬時に察したゲーターは距離を取って態勢を立て直す。
「けど俺は何も噛むことだけじゃねーぞ...。“極大魔力光線”」
彼の大口から発射された巨大で濃密な魔力光線が、異形の怪物を穿った――
「シュ――――」
彼女の一声にバチィバチィと耳を劈く雷鳴が次ぐ。彼女とすれ違った敵は皆力無く倒れ伏していく。それらの体には致死レベルの傷がつけられている。そして雷の残滓もついている。
「災害レベルでも私の動きを捉えられてないのに、お前ら雑魚に私の姿を捉えるなんて無理よ」
緑色の雷を纏っている獣竜の女戦士―――序列8位「
“
彼女の四本の手足から繰り出す雷の爪と彼女の鋭い雷の牙が、瞬く間に敵を屠る。裂いて刺して斬って抉って...様々な攻撃で多くのモンストール・魔物を葬っている。
「Sランクといったところかしら。あんたは私の動きを見切れるかしら」
次に現れた敵…扇状の羽を生やした蟷螂と獅子の合成獣のような怪物にそう挑発して、全身からさらに鋭く色の濃い雷を放ちながら、メラルは閃光の如く駆ける――
「当たらん、当たらねーぞ!!ハアァ!!」
空中でひらりと敵の攻撃を躱して、衝撃波を放って数体のモンストールを同時にバラバラに斬り裂く。
序列9位「
「俺の“大咆哮”は怯ませるだけじゃなく風の刃も含んでいる。そら、これで俺の刃が通りやすくなった」
怯んで動けない敵群にシャオウは己の武器である両翼を振るって大きくて切れ味最高の刃を放つ。敵は全て彼の刃でバラバラに斬られ生命を終えていく。
「“
バラバラに落ちていく敵を見ることなくシャオウは次の敵と対峙する。
「お前が相手なら...本気を出して良いかもな。」
両翼に魔力を纏って殺意を向けながら、シャオウは己の最強の武器を振るった――
「オラオラオラオラァ!!こんなもんか災害レベルどもォ!!」
中ビルよりもデカいサイズの魔物を軽々と投げ落として、そこからさらに豪雨の如く連打を叩き込んでいるのは、序列6位「
彼の猛攻が一度始まると、敵が息絶えるまで止まることはない。全身に深緑色の分厚い皮膚と硬い鱗を持ち、その下にさらに分厚く柔軟な筋肉を持つ恐竜の攻撃の手は止まらない。爆撃を思わせる彼の殴打は確実に敵の生命を削っていき、やがて獲物を仕留めることに成功する。
リーザスのサイズはせいぜい3m程度。対する先程の敵はその3倍はあるサイズの怪物だったのだが、そんなサイズ差など彼にとっては何の弊害にもならなかった。
一人で小国を落としたことがあるという彼の強大な膂力と過激な闘争心は、災害レベルの敵をも圧倒している。
無類の戦闘狂の彼を同胞たちは畏怖するも、今この時ばかりは頼もしく思うのだった。
「さァドンドンこぉい!!俺が全員殴り殺してやるからよォ!!」
吼えるリーザスのもとに一体の巨大モンストールが現れる。恐竜やゴリラ、幻獣が混じった合成獣は高く吼えてリーザスに巨大な拳を振り落とす。
「良いぜ......俺に力で勝ってみろよSランクッッ!!」
両者ともに渾身の拳を振るってガキィンと耳を劈く音を出しながらぶつかり合う。
「そんな、モンかよおおおおおお!!」
「―――!!」
競り勝ったのはリーザス。モンストールの拳を砕いてその顔面に思い切り拳をぶつけてその巨体を吹き飛ばした。
「パワーだけで戦士“序列6位”にまで上りつめた俺が、力負けするわけねェだろ」
殴った拳から血をダラダラ流しながらも、リーザスは獰猛にかつ愉快そうに笑ってみせた―――