家に帰って、ご飯も何も食べずに私はベッドで横たわっていた。とてもじゃないけれど身体が食べ物を受け付けられる状態ではなかった。
お姉ちゃんが、私の知らない男と楽しそうに歩いていた。私にも見せた事もないくらいのとびきりの笑顔を浮かべながら。
外の世界では私の知らないお姉ちゃんがいる事なんて頭では分かっていた。
けれど、その現実を目の当たりにした事が何よりもショックだった。
私には狭い世界しか無い。その狭い世界にはお姉ちゃんしかいない。けれど、お姉ちゃんは違う。お姉ちゃんには広い世界があって、その世界にはお姉ちゃん以外にも色々な人達がいる。
私にはお姉ちゃんしかいないけれど、お姉ちゃんにとって私は世界のごく一部でしかない。
住んでいる世界が違うのだから仕方のない事なのは分かっている。
けれど、お姉ちゃんがどこか遠くに行ってしまう様な気がして、私の心は苦しくなってしまった。