次の日の放課後、クラスの友人達に声を掛けられる。
「茜、今日みんなで駅前のカラオケ行くけど、茜も行く?」
「あー、ごめん。今日は無理だわ」
けれど、私はその誘いを断る。
行きたいのは山々だが、流石に今日くらいは真っ直ぐ帰ろうと思っていたからだ。
昨日も結局、駅前で時間を潰していたら門限を過ぎてしまった。家に帰る頃には葵は既に寝ていて、結局あれからちゃんと話せていない。
「え、なんで~?」
「ここ最近は帰り遅くなってるからさ、今日ぐらいは早く帰らないと」
「何、また妹に怒られるって?」
「……まぁね」
朝は葵と顔を合わせたけれど、殆ど会話らしい会話はしなかった。
流石にずっとこのままという訳にもいかないし、今日は早く帰って葵としっかり会話しようと思っていた。
「茜の妹、確か病気で身体弱いんだっけ?」
「そう、だからたまには早く帰ってあげないとさ」
「へぇ~、何か……大変だね、茜。頑張って~」
「まぁ、仕方無いよ……生まれた時からこうだから」
今までは姉だから仕方ない、ちゃんとしなきゃと思い続けていた。けれど、高校に入って今まで知らなかった世界を知った事で、今まで自分の自由と楽しみがどれだけ抑圧されていたのかを知った。
葵の事は好きだし、それは今後も変わらない。けれど、葵がいなければもっと自分の人生を生きられたのに……そんな感情が少しずつ湧き出てきているのも事実だ。