それからまた1週間が経った。
お姉ちゃんの帰りは毎日遅い日が続いていた。
「ただいま……」
「おかえり。ねぇ、お姉ちゃん……大丈夫なの?」
「何が?」
お姉ちゃんは疲れの蓄積か、ここ1週間は元気もなくなってきている。そんな姿を見てしまうと、流石に心配になってくる。
「いや、毎日毎日帰りが遅いし……いくら生徒会って言っても忙し過ぎない? 学校に言おうか?」
「大丈夫だって……モンスターペアレントみたいな事やめてよね~。本当にヤバかったらちゃんと自分で言うから」
「けどさ……お姉ちゃん、最近疲れてるし」
お姉ちゃんは昔から我慢強い。だからこそ、無理をし続けてしまう。子供の頃からそうだ。
「疲れてるのは私だけじゃなくて皆同じだからさ。何だろ……嫌々だけど、何か手は抜きたくないんだよね!」
そう言ってお姉ちゃんはニコッと笑った。
この笑顔は私の事を安心させる為でもあるんだろうけど、お姉ちゃんが大丈夫と言うのなら私はそれ以上は何も言えない。
「お姉ちゃんが平気なら、良いけどさ……」
「面倒くさいけど、皆で何かやるのも悪くないなーとも思うし。だから、心配しないで」
「うん……」
お姉ちゃんは私の世話を優先して中学校では部活にも入らなかった。だから、皆で1つの事を協力しながら進める事をようやく楽しめているんだ。
邪魔しちゃいけない。ここで今、私がわがままを言えばお姉ちゃんは生徒会を投げ出してでも早く帰って来てくれるかもしれない。
けれど、それでは中学校時代と同じくまたお姉ちゃんの自由を奪う事になる。
お姉ちゃんの邪魔をしちゃいけない、自分にそう言い聞かせる事で、私は自身の寂しさを押し殺そうとした。