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第23話 休息

「……お姉ちゃんから誘ってくるなんて、珍しいね。何かあった?」

 脱衣所で服を脱ぎながら、私はお姉ちゃんへ問う。基本は私がお姉ちゃんをお風呂に誘う事が多かったので、少し不思議に思う。

「いやいや、ここ最近は別々だったじゃん? だから、葵が寂しい思いをしてるかなーって」

「べ、別に寂しくないし! お風呂くらい1人で入れるから!」

 お姉ちゃんに揶揄われて、私は少しムキになる。

 確かにお風呂くらい1人で入れるけれど、ここ最近は家でもずっと1人だったし、人恋しいというのが本音だ。

 ……よくよく考えたら、お姉ちゃんに甘え過ぎなのかなとも思うけれど。

「じゃあ、1人で入る?」

「……一緒に入ろ」

 わざとらしく脱衣所から出ようとするお姉ちゃんの手を、私はそっと握り締める。

 それを見て、お姉ちゃんが笑う。


 私はこんな日常が続くだけで良かった。

 身の丈以上のものなんて要らない。

 ただ、この小さな幸せがいつまでも続いてくれるだけで良かったのに。


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