翌日、早速だが私は塚原とコンタクトを取った。
理由はただ1つ、私が『繋命会』に入る事を決めたからだ。今日は入会手続きの為に塚原を自宅に招いた。
「では、確かに」
「お願いします……」
私は集めたお小遣いを塚原へ支払う。
決して安い額では無いが、私が持っていても仕方がない。僅かでも可能性があるのなら、塚原と『繋命会』へ希望を託そうと決意した。
「この事は、茜さんには秘密にしてありますか?」
「はい……」
勿論、塚原の事も繋命会の事もお姉ちゃんには話をしていない。仮に話をしても止められる事は明白だし、原因がお姉ちゃんの援助交際だなんて言える訳がない。
「その方が良いでしょう。世の中には宗教というものに対して嫌悪感を持つ人も多いですから。葵さんの覚悟が上手く伝わらない事もあるでしょう」
「それで、私はこれから何をすれば良いでしょうか?」
人生でまさか自分が宗教に入る事なんて全く想像もしていなかった。今でも半信半疑ではあるけど、でも、それで私の運命が変わるというのならそこに賭けてみる価値はある。仮に効果がなければすぐに辞めてしまえば良いし、仮に騙された所で私にはもう失うものもない。
「葵さんにはまず、我々の考えを知る為に座学で講座を受けて貰います。勿論、葵さんのように外へ出る事が難しい方向けにオンラインでも受講出来ます。その上で葵さんに何が必要で何をすべきなのか……我々と共に考えていきましょう」
「はい……」
「そこで、講座の教材がいくつかありまして……それを一括で購入頂く必要がありますので、後日私宛に振り込みをお願いできますか?」
「あっ、はい……」
まだお金が掛かるのかと少し驚くが、まぁ良い。
お父さんのお金もあるし、支払えない程の額ではない。今までの仕打ちを考えれば、お金くらいは好きに使ってもバチは当たらないだろう。
「大丈夫ですよ、場所は離れていても、あなたには仲間が大勢いるのですから」
そんな私を見て、塚原は再び笑顔を浮かべた。
塚原の言う『仲間』という言葉が、何だかとても頼もしくて、温かいものに感じられた。