その日は雨が降り、空気もとても冷え込んでいた。私は高熱にうなされ、お姉ちゃんが私の看病をしてくれている。
「ごほっ……」
「大丈夫? 顔色悪いと思ったらこんな高熱だったなんて……」
元々身体が弱い事もあり、熱を出す事自体は珍しくなかった。けれど、ここまでの高熱はかなりの久し振りだった。
「ごめんね……学校休ませちゃって」
「平気平気。どうせ授業なんか聞いてないし、後でノート見せて貰えば余裕だから!」
私の様子を見て、お姉ちゃんは学校を休んだようだ。
ここ最近、自分の身体も顧みず外出をし過ぎたツケが回ってきたのか。それもあるだろうが、それ以上に供物の『調達』が体力的にも、精神的にもかなり負荷があったのだろう。
「それより、これだけの高熱だし病院行く? 竹島先生の所」
「……大丈夫」
「けど、葵にもしもの事があったら……持病の事もあるし、心配だよ」
「本当に大丈夫、横になっていれば治るから……」
こんな時に竹島に会うなんて、冗談じゃない。
あんな男がお姉ちゃんと援助交際だなんて……吐き気がする。
早く徳を積んで、お姉ちゃんの運命を変えなければならないのに……私の中で焦りが積み重なる。
「そっか……でも、少しでも悪化したら絶対に病院行くからね!」
お姉ちゃんはそう言って、一旦部屋を出て行った。