「おはよ、茜」
「お、亜里沙じゃん」
私はいつも通り学校に登校すると、背後から友人である松田 亜里沙に声を掛けられる。亜里沙とは少し前、共通の友人である玲くんを介して仲良くなった。
「てか見た? ネットニュース。マジびっくりした」
「うん……見た」
亜里沙との会話は、早速だが竹島の行方不明についての内容だった。
「身近な人が行方不明って、なんか怖いよね~」
「うん。この前、病院行った時に会ったんだけど……別に普通だったし……」
亜里沙も竹島の事は知っている。
何故なら、竹島は元々亜里沙のパパ活相手だったからだ。元々何人もの客を抱えていた亜里沙だが、そのうちの1人である竹島を玲くんを介して私に譲って貰った形になる。
「病院って妹の付き添いか。茜は子供の頃からの知り合いなんでしょ? あのおじさん」
「うん、うちの親父が昔からの知り合いで」
「それに、葵にとっては太客だもんね」
「ちょっと……こんな所で変な話しないでよ……」
「ごめん、ごめん。でもさ、太客いないと茜も困るでしょ? 玲くんに相談してみたら?」
「あー、うん……今度、聞いてみる」
元々、パパ活のバイトは玲くんから割りの良いバイトとして紹介された。
確かに、少しの時間をおじさんと過ごすだけで万単位のお金が簡単に手に入る。
けれど、こんな事でお金を稼いでいる自分に、少し嫌気が指し始めている事も事実だった。