その日、結局夕方ごろまで亜里沙は家にいた。
2人で勉強したり、テレビを見たり……そんな事をしていたらあっという間にこんな時間だ。
「亜里沙さん、お姉ちゃんもう帰ってくるって」
「あ、意外と今日は早いね」
「せっかく亜里沙が来てるならご飯買って早く帰るって。食べていきますよね? ご飯」
「え、良いの? マジで」
「別に良いですよ、というかお姉ちゃんが一緒に食べたいって」
「やったー!」
「じゃあ、私もご飯の支度するのでゆっくりしててください」
この食卓にお姉ちゃんと私以外が加わるなんて、いつ振りだろう。お父さんももう何年も一緒にご飯なんて食べていないし、本当に久し振りだ。
いつもより豪勢なご飯を作ろうと、私は気合いを入れてエプロンを締める。
ひとまず家にある材料で料理を始めた頃、後ろから亜里沙が話しかけてきた。
「私も手伝おうか?」
「料理、出来るんですか?」
「……千切りくらないなら」
「余計に手間が増えそうなので、テレビでも見ててください」
「はい……」
失礼だけど、亜里沙が調理出来るとは思えない。
けれど、そんな風に声を掛けてくれるだけで私は嬉しかった。お姉ちゃんなんて、殆ど手伝ってくれないのに。
それから1時間ほど経ったか、ある程度の料理を作り終え、最後にスープを煮込めば完成という所まで勧められた。
「亜里沙さん。私、お風呂洗ってくるのでスープの鍋だけ見てて貰えますか?」
「おっけー! 任せて!」
そして、私はエプロンを外してお風呂場へ向かった。いくら亜里沙でも、鍋が沸騰しないようにチェックするくらいは出来るだろう。