「え、これ美味しい! 普段と味付け変えた?」
「うん、マヨネーズ足してみたんだよね」
その日の夜、3人で食卓を囲んだ。
テーブルには豪勢な食事が並び、我ながらとても美味しそうだ。
「何かコクが出て良い感じ、 ねぇ、亜里沙も食べてみなよ!」
「あ、うん……」
唐揚げを頬張ったお姉ちゃんが亜里沙にもそれを勧めるが、亜里沙の反応は芳しくない。
「亜里沙? 何か顔色悪くない? 大丈夫?」
「え、そうかな……」
「何かボーッとしてるし、熱あるんじゃない?」
確かに亜里沙の顔色は良いとは思えない様子だった。血の気が引いているというか、とにかく辛そうな表情だった。
「布団敷きましょうか? もし熱あるなら、今日は泊まっていった方が……」
「……大丈夫だから!」
私の言葉を、亜里沙は大声で遮る。
今まで亜里沙が大声を上げた事など無かったので、私もお姉ちゃんも驚く。
「……亜里沙?」
「ごめん、でも本当に大丈夫だから……今日は帰るね」
「亜里沙さん……」
そう言って亜里沙は荷物をまとめ、足早に帰っていってしまった。