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第94話 秘密

「え、これ美味しい! 普段と味付け変えた?」

「うん、マヨネーズ足してみたんだよね」

 その日の夜、3人で食卓を囲んだ。

 テーブルには豪勢な食事が並び、我ながらとても美味しそうだ。

「何かコクが出て良い感じ、 ねぇ、亜里沙も食べてみなよ!」

「あ、うん……」

 唐揚げを頬張ったお姉ちゃんが亜里沙にもそれを勧めるが、亜里沙の反応は芳しくない。

「亜里沙? 何か顔色悪くない? 大丈夫?」

「え、そうかな……」

「何かボーッとしてるし、熱あるんじゃない?」

 確かに亜里沙の顔色は良いとは思えない様子だった。血の気が引いているというか、とにかく辛そうな表情だった。

「布団敷きましょうか? もし熱あるなら、今日は泊まっていった方が……」

「……大丈夫だから!」

 私の言葉を、亜里沙は大声で遮る。

 今まで亜里沙が大声を上げた事など無かったので、私もお姉ちゃんも驚く。

「……亜里沙?」

「ごめん、でも本当に大丈夫だから……今日は帰るね」

「亜里沙さん……」

 そう言って亜里沙は荷物をまとめ、足早に帰っていってしまった。


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