それからまた数日後、雨の日だった。
夕方、お姉ちゃんが傘もささずにずぶ濡れの状態で学校から帰ってきた。
「……うわっ! お姉ちゃん! 帰ったなら声かけてよ……」
「どうしよう」
「え?」
「亜里沙の行方が分からないって……それで、亜里沙の親が行方不明届けを出したって……どうしよう……もし、亜里沙が見つからなかったら……」
お姉ちゃんはその場で泣き崩れた。
周りもとうとういつまでも帰ってこない亜里沙に何かが起こったと悟ったようだ。
そして、お姉ちゃんもようやく亜里沙が消えた事に気付いたのだ。
「落ち着きなよ、お姉ちゃん。まだ何も分からないじゃん」
「竹島先生だってまだ見つかってないんだよ?! 落ち着いてなんて……」
お姉ちゃんは私の手を払いのけ、叫ぶ。
お姉ちゃんはかなり感情的なっていて、私も驚く。それほどまでにお姉ちゃんにとって亜里沙は特別な存在だったのだろう。
「お姉ちゃん……」
「……ごめん。何か、体調しんどいから部屋で休むね……」
お姉ちゃんはそれだけを言い残し、すぐに2階の自室へ行ってしまった。