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第110話 体調

「ごほっ……ごほ」

 私は洗面台の前で、激しく咳き込む。

 先程、気分が悪くなって何回か嘔吐して少し落ち着いたのだが、今度は咳が止まらない。

「……除霊の後は、やっぱりこうなっちゃうな」

 私は正しい事をしたはずなのに、何故だろう。とても悲しいし、悪い事をした気分だ。

 あれは必要な事で、亜里沙にとっても最善の最期だった……何度自分にそう言い聞かせても、私の心は晴れない。

「……まだ、人なのかな、私も」

 けれど、こうして『痛み』を感じられている事に少し安心している自分もいた。

 この痛みを感じる事が出来なくなったら、私はどうなってしまうのだろう。

 それこそ、私こそが本物の『悪霊』だ。

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