お姉ちゃんを送り出し、私はすぐに先生に電話を掛ける。
「先生、今日もお姉ちゃん遊びに行くみたいです」
『そうですか……』
「先生の言う通り、お姉ちゃんの行動には口を挟まない様にしていますが……これで本当に炙り出せるんでしょうか?」
『はい、茜さんの身近に悪霊が潜んでいる事は確実です。今、弱っている茜さんに積極的に近づいてくる者が怪しいでしょう。特に……あの男が怪しい時私は睨んでいます』
私がお姉ちゃんに優しく接し、自由に行動させているのは、全て先生からの指示だ。
お姉ちゃんが行動すれば、それに伴って身近に潜む悪霊が何かしらのアクションを起こしてくるだろうという先生の見立てだ。
「あの、玲っていう人ですか?」
「はい。元々は亜里沙さんとも親交があった人物ですし、援助交際の斡旋に関わっている可能性も十分あります。素行もあまり良い訳ではないようですから、現時点では最も可能性が高いでしょう」
「……なら、早く証拠を掴んで除霊しないと」
「私も玲という男について探ってみます。何かあればすぐにお知らせしますので、しばらくは茜さんを自由に行動させてあげてください」
「はい……」
お姉ちゃんを囮に使ってあるようで嫌な気分だが、先生がそう言うのなら従うしかない。どの道、私1人では諸悪の根源を突き止め、絶つ事は出来ない。
悪霊が何かアクションを起こすまで、今は待ち続けるしかない。