【校門前】
下校の時間。亜沙美はロミータを連れて梨香が出てくるのを待っていた。亜沙美と太一は学校から東の町に住んでおり、梨香の家は学校から南方向の町だから一緒に帰ろうとしても…わずか数分合わせるのが限界なのだ
「梨〜香〜」
「( ̄▽ ̄;)あっれ〜梨香ちゃん遅いね…」
クラス委員長たちの会議なんて、そんなに長引くとは思えないのだが…梨香はまだ校門前に現れなかった。いよいよ梨香が怪我でもしたのか?と心配し始めたロミータ
「(*」´□`)」<亜沙美〜ロミータちゃん!」
すると校舎から太一が亜沙美たちを目掛けてダッシュしてくる。……太一は梨香から伝言を受けていて……「今日は本当に遅くなりそうだから先に帰っていて欲しい」との事らしい
「梨香居ないんだ…ロミーは1人ぼっち…」
【帰路】
亜沙美も太一も帰宅部なので、梨香が居ないのにロミータちゃんを1人で帰宅させるのは危険かも?と判断したので商店街の案内をしつつ、ロミータを立華家まで送ることにした
「梨香も問題ナイで良かったよっ!…亜沙美も、太一も優しいねっ!ロミーの為にわざわざ遠回りしてっ!感謝ですよっ!」
立華家の帰り道の途中にある商店街の案内など、本当は梨香の方が確実に上手くしてくれるだろう。毎日通ってる道なのだから…
「私たちはコッチの商店街は…」
「そんなに詳しい訳ではないんだけど…」
「感謝っ!感謝っ!!亜沙美も太一も優しーよっ!!」
3人で帰ることでロミータの安全を確保する事はモチロンだけど、学校の外でも彼女と話をする時間を作りたかった2人
ましてやロミータと仲良しの梨香が居ない時間も考えようによっては、より貴重な時間とも言えなくもない
「実は親戚ではあるんだけどさ…年に2回くらいしか梨香とは会わなかったと思うよ」
「そうなのっ?」
「父さんの運転する車なら…片道15分くらいだけどさ……片道約8kmは小中学生が個人的に会いに行くには…」
「う……厳しすぎるね…」
高校生にもなれば片道8kmくらいなら…なんとかならないでもない距離だろうが、小中学生には厳しかろう
とりあえずロミータは、せっかく梨香の居ない今のうちに大好きな【お姉ちゃん】である梨香と、太一がどれほど仲が良いのか?探りを入れたのだが…
梨香を太一に取られたくない!と思っていたのだが…太一の梨香への想いに、異性に対するような熱い想いを全然感じ取れなかったのでロミータは一安心した
「ねぇ、亜沙美は不登校から立ち直るレアキャラだった頃、今のロミーと同じように囲まれた思いますっ!亜沙美はどうやって立ち直ったですかっ!?」
梨香が太一に取られる心配は、当面は有り得なさそうだ。と判断したロミータは、次は自分の事の心配を始めた
つい最近、似たような状況から立ち直った亜沙美なら良いアドバイスを得られそうだっ!と思ったからだ
「(;´・ω・)ウーン・・・そうだね…恥ずかしいんだけどね。私ね…あんまり立ちはだかる壁を乗り越える!みたいな事は苦手なの…」
「そうなのっ?」
「そうなんだよロミータちゃん。亜沙美はすぐ迷宮入りしちゃうんだよ」
「ε٩(๑>ω<)۶з 悪かったわね!」
「あははっ!2人は仲良しねっ!」
「そ、そうかな?」
「まぁ、そうかもな…」
ロミータに仲良しだと指摘されたが、その内容は決して否定しない2人を見てロミータは、梨香には悪いが太一は亜沙美を選んでいるのだろうと判断した
「太一が居てくれたから、こんな私でも前へ前へと行けたんだ。……そうだ!ちょうど最近ゲームでひたすらに上へ上がっていくゲームの配信をしてるんだけど…少しずつでも上へ上がって行く!って行為が大切だと教えてくれるよ。ゲームのクセにさ(笑)」
「……………亜沙美。配信者なの?」
「うん、そうだよ!最初は緊張したけど、最近は少しずつ楽しくなって……あっ!?」
「…亜沙美…お前また…」
ツイツイ熱く語ると、秘密にしておくべき内容でも「ポロッ」と口から出てしまう亜沙美の悪いクセは、簡単には治らない感じだった
「へ〜そうなんだ…亜沙美がね…」
「う!ロミータちゃん、内緒にしといてね。お願いだよぉ…」
知り合いが配信者である事を知れば、誰しもが多少なり驚くものだが…亜沙美を見るロミータの目からは、別の感情のようなモノが見える
続く