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第78話 亜沙美とロミータ

【クラス内】

「竹取さん、おはよう!」

「おはようございま〜す♪」

「なんか竹取さん変わってきたよね?」


最近の亜沙美は前に比べれば、それほど学校に行くのが苦痛ではなくなっていた。再登校するようになってからひと月が過ぎたので、学校の雰囲気に慣れたのもあるだろうが…クラスメイトたちの話題の中心が自分から、異国の転校生であるロミータに変わった事もあるだろう


(ふふーん♪今夜の配信はどうしようかな?昨日のグレハイの続きかな?まだまだ先は長そうだから頑張りたいしなぁ…)


クラスメイトからも以前と比べたら、少し話しやすくなった。と見られている亜沙美。クラスメイトからの挨拶も普通に返事し、今夜の配信内容をどんな感じにしようか?と頭の中で考えている余裕があるようだ

が、その分困っているのは…


「( >ᯅ<。 )ふえーん…梨〜香〜」

「みなさーん!良い加減ロミータさんに群がるのは控えてくださいね!」


異国から来た【ロミータ・アナメル】

日本人と違う。という点もあるし、何よりお人形さんの様な可愛らしい容姿と亜沙美のようなVTuberでなくとも分かる透き通った声なので、本人にその気はなく普通にしてても目立ってしまっていた




【昼休み】

「ねぇ梨香〜」

「はいはい。一緒に食べましょうね」


「ガラガラ……立華は居るか?各クラスの委員長を集めて話し合いたいのだが?」


「えっ!?そうですか…分かりました」

「梨〜香〜(>_<。)一緒に〜…」

「ご、ごめんなさい。なるべく早く戻るから…」


クラス委員長の梨香は、職員室で他のクラスの委員長たちと話し合いに呼ばれてしまい、ロミータとお昼ご飯を一緒にできなくなってしまった



「(๑✧ꈊ✧๑)キラーン✧」

「ロミータちゃん。話があるの…」

「お昼を一緒に…」


「ヒイィィィ!!(゜ロ゜ノ)ノ あ、あのロミーは…」


学校では常に梨香という守護者(ガーディアン)に守られていたロミータにとって、彼女の居ない時間は怖くて仕方ないようだ。クラスメイトたち(女だけでなく男からも)から目を付けられたロミータ。だが…


「ロミータちゃん。太一と3人でお昼ご飯を一緒に食べない?太一もお話したい。って言ってたしさぁ!」


なんと!意外なことに、今まで口数を最小限にして学校生活を送っていた亜沙美が、他のクラスメイトたちを押し退けてロミータをお昼ご飯に誘った!




【屋上】

「えへへ♪亜沙美、太一ありがとうございますっ!おかげで助かりましたっ!」


「良いの良いの。前にも言ったけど…私も似たような経験したからね」


亜沙美は梨香とロミータの事を完全に無視していた訳ではなかった。今夜の配信内容を考えながらも…以前の自分と同じように、クラスメイトたちに囲まれると対応しきれないロミータの様子が心配だったようだ


「それにしても……あの亜沙美が人助けするようになるなんてな。いや、ビックリな成長だよな(笑)」


「たーい〜ちー!いったい、どの私の事を言っているのかなぁ…今の私で出来る範囲の事くらいならするって!」


「ありがとうね。2人ともっ!」


ロミータは軽くちを叩き合いながら、楽しそうに昼ごはんを食べている亜沙美と太一の様子が何か気になったようだが…実際、何がどう気になっているのか?までは分からないロミータ




【帰り道】

昼休みの自分が居られなかった時に、ロミータの相手をしてくれた亜沙美と太一に感謝を述べている梨香


「良いって良いって♪」

「そうだよ!亜沙美なんかずっと梨香に助けられてたんだからさ、梨香の従姉妹の助けで返してもらえば良いんだよ(笑)」


「ちょっと太一、アンタが言うことじゃないでしょ〜!」


「あはは、わりぃ♪」


そんな感じで4人は帰宅途中のあるポイントで梨香とロミータは南へ、亜沙美と太一は東へ。それぞれの家の方角へ帰っていく

太一との帰路も楽しい話題が続きながら下校出来ていることに、順調な日々だな!と喜ぶ亜沙美だったが…【人生山あり谷あり】なのだ




続く

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