【翌朝の立華家】
「(人˙꒳˙ )いただきますっ!」
「いただきマース♪」
土曜日の立華家の朝食
家政婦の佐藤さんが作ってくれた、いつもの美味しい朝食を気持ち良く食べ始める梨香とロミータ
「今日のロミータちゃんは、なんだかご機嫌だねぇ♪」
「美味しそうに食べてくれて私も嬉しいわ♫」
立華パパから見ても、佐藤さんから見ても今朝のロミータは元気絶好調だった。まだ太一と亜沙美のスペアキーの件で気持ちが晴れていない梨香も、ロミータの元気の良さが気になっていた
「ロミー、昨夜。楽しそうな声が部屋から聞こえていましたけど…誰か友達とお話していたのですか?」
「えっと…梨香にはロミーがVTuberしてる。って前に話したよねっ」
「……そうでしたわね…(๑°ㅁ°๑)えっ!?YouTuberじゃなくて、ロミーもVTuberでしたの?」
ロミータが母親の実家であるイングランドに戻っていた時に、寂しさを紛(まぎ)らわす為に配信活動を始めた事は聞いていた梨香
だが、それが亜沙美と同じVTuber形式でやっている事は今初めて知ったようだ
……………………………………………
「それで昨夜、亜沙美と格闘ゲームで勝負してたんだけどさっ!…まぁ、話の成り行きでプール配信しよう!って事になってね…」
「Σ(*oωo艸;)ええ!?VTuberってCGの姿でしょ。プール配信なんて出来ますの?」
「機材を持ち込めば出来るよっ。パパに頼んでスポーツジムを1日貸し切らせて欲しいって、もう頼んじゃったんだ……どう?梨香も行かない?」
「私も?…えぇ良いですよ………あの、ロミー…太一君も呼ぶの、かな?」
「うん!そのつもりよっ。だって女の子3人だけのお出掛けって危ないでしょっ?彼が居たら少しは安心じゃない?」
「そ、そうね…その方が良い、わよね…」
そう言うと梨香は俯(うつむ)いてしまう。亜沙美を呼べば当たり前のように太一が付いてくる。それは梨香にとっては嬉しくもあり、少し嫌な気持ちにもさせられた
「そんなイベントを企画していたのか。良し!それなら私も機材搬送を手伝おうじゃないか!ロミータちゃんのお父さんの手伝いをしなければな♪」
「パパの会社のスタッフがやってくれると思いますよ?」
「貸し切りのスポーツジムを私の娘も利用させてもらうんだ。私が何もしない訳にはイカないからね」
立華パパも妙にヤル気になっている。父親が気を利かせて一緒に来てくれるので、亜沙美と太一に会うことが少し楽になった梨香
【亜沙美と太一】
「やっほ太一!あの…どうかな?普段はこんな可愛らしい服は着ないんだけどさ…もしかしたら太一が喜ぶかなぁ…って思って…」
「いやいや、良いんじゃないか!凄く可愛いぜ…似合ってるよ」
亜沙美が自分の為に服を選んで着てくれた事を理解した太一は、いつもと違い可愛い亜沙美と並んで歩く事に少し恥ずかしさを感じたが…それ以上に亜沙美が自分の為にしてくれた事が嬉しくて、素直に彼女の服装を褒めた
2人は前回スペアキーの受け渡しを見られてしまったショッピングモールに、敢えてまた来ていた。前回鉢合わせして、今回もまた!…なんて偶然はそうそう起こりえないだろうと判断したからだ
「ところで今週は買い物がしたい!って言ってたけど…亜沙美は何か買いたい物があるのか?」
「昨夜ね。ロミーちゃんと約束したんだ」
「ロミーちゃん?ロミータちゃんの事か?」
太一はロミータがロミーの名前で、VTuber活動をしている事を知らなかった。亜沙美は太一にロミータもVTuberである事を教えた
「ヾ(ヽ0Д0)ェエエ工ー!!マジかよ!ロミータちゃんもVTuber?…それにチャンネル登録者が30万人超えてるのかよ!すげぇな…」
「コラコラ~ 声が大きいって!誰に聞かれてるか分からないんだからさ。そういう事は小さな声で話してよね。身バレしたら大変なんだからね!」
「あぁ…すまない。で、それが今日の買い物とどういう関係があるんだ?」
「( ´艸`)ムフ♪今度ロミータちゃんとプール配信する事になってさ、スクール水着以外の水着なんて持ってないから、今日の太一とのお出掛けで買っておこうかな?って思ってね…そうそう!その日は太一も一緒に来てね。ロミータちゃんが太一も来て欲しいってさ」
「そうなのか…うん。分かったよ」
(ロミータちゃんが?おかしいなぁ…前回の失言の時から嫌われてるんじゃないか?って思ってるのに、何で俺まで呼ばれるんだ?)
あの時ロミータからキツく言われた太一は、どうして自分までも呼ばれているのか?その理由が分からなかったし、少し嫌な予感もした
もちろん横を歩いている天然系の亜沙美は、そんな事まで気が回っていないのだが…
続く