【繁華街】
「ねぇ。あのお店さ、良い服が揃ってそうな気がしない?」
「そ、そうかもな…」
市内で1番大きなショッピングモールに来ている2人。たくさんある店の中から良い店を探していた
(あっれ、おかしいなぁ?亜沙美って少し前まで引き籠もりだったよなぁ…なんで、こんなに積極的なんだ?)
太一の脳内では…亜沙美は引き籠もりなので、極力外に出たがらないハズだった。仮に外へ出ることがあったとしても…こんなに楽しそうに繁華街を歩く姿など想像出来なかったのだが…
「これなんか、どうかな?似合う?」
スポーツ用品店に入った亜沙美は、今年の流行水着コーナーの中から色々な水着を手に取っては身体にあてて、太一の反応を見て楽しんでいた
太一が思っている様に、今の亜沙美からは引き籠もり要素は全く感じられなかった
(なんだろう?太一と出掛けてると楽しいなぁ♪♪)
亜沙美は初めて家のスペアキーを渡せるまで気を許せる事が出来たのが嬉しかった。そして、ソレを幼なじみで異性の太一に渡す勇気を出せた事が、亜沙美のテンションを爆あげしていた
【竹取家】
水着の買い物に付き合ってくれた太一を家にあげた亜沙美。…というか、最近は一緒に出掛けたらお約束のように太一を家にあげている
それほど気を許しているようだ。ただ「軽々しく距離を詰めるのは異性としては良くないだろ!」と太一から言われた言葉は一応、亜沙美なりには心に留めているようだが…
「じゃーん!今日買った水着だよぉ♪どうかな?似合ってるかな?」
「あ、あぁ…凄く似合ってるよ…」
「やったぁ!嬉しいなぁ♪」
(コイツ…この前、俺が注意した事あんまり分かってねーなw自分の部屋で水着に着替えた姿を異性の俺に見せるか?普通しないだろ?)
太一を自分の部屋に残し部屋の前の廊下で水着に着替え、部屋に戻ってきて半裸と言っても良い水着姿を披露して喜んでいた
「来月のプール配信楽しみだなぁ♪太一も絶対に来てよね!」
「分かってるって。行くから!」
(コイツ…マジで不安だ。見守ってないとそのうち変な男に騙されて、危ない目に合わされる可能性高過ぎだろw)
前にアレだけ身体を張って亜沙美に注意を促したにも関わらず、今またこんな無防備に彼のスグ近くで生着替えをして、水着姿を晒す亜沙美の感覚に恐怖を覚える太一
「ねぇ太一。私、可愛いかな?」
「か、可愛いと思うぞ…」
「え〜、感情がこもってないなぁ…」
「すっごく可愛いから!」
以前、亜沙美の無防備さを強く指摘した事が結局、亜沙美の強い信頼を得ることになっていたので今まで以上に甘えられている感じだった
【立華家】
「ねぇロミー。この水着どうかな?…太一君に変に思われたりしないかな?」
亜沙美と違い水着を何着かストックしている梨香は、亜沙美の様に着替えたりはしないが(ロミー相手とはいえ家の中で水着姿になるなんて、恥ずかしくて梨香には耐えられないからだ)
「良いと思うよっ!…男女関係なく好感を持つよ。まー、梨香はスタイル良いからねっ。そのパイは反則級だよっ!」
「ムネのサイズは、関係ないんじゃない!?」
亜沙美は無防備過ぎるが、梨香はそんなところは無く常識人かと思ったが…自分の大きな胸のサイズが性別抜きで、人を惹き寄せる魅惑の兵器である事を理解してない時点で、単に方向性が違うだけで亜沙美とどっこいどっこいと言えるかも知れない
それに、前のショッピングモールでのスペアキー事件で動揺していたくせに、いざ一緒に4人でプールに行く事が確定したら、太一に喜んでもらいたくて何10分も水着選びをしているのだから、梨香の感覚も少しおかしいと感じるロミータ
「ねぇ梨香…」
「何?」
「梨香って太一の事が好きなんでしょ?」
「∑(๑ºдº๑)ブハッ!な、な、な…何を言ってるのよ…ロミーったら…」
さっきまで水着選びで落ち着きなく動き続けていた梨香だが、ロミータの質問ひとつでその動きが急に止まった
「価値観は人それぞれだから梨香をおかしい!とか言うつもりは無いけどねっ!…なんでそんなに太一の事が良いの?悪いけどロミーにはよく分かんないよ?」
亜沙美以上に異性に興味の無いロミータは、どうして亜沙美も梨香も太一に好意を寄せているのか理解出来ないでいた
「んぅ…それは…」
「太一ってさ。悪くはないけど別にハンサム。って程でもないよね?貧弱ってこともなさそうだけど絶対守ってくれそうっ!って程は鍛えてないよね?背もそんなに高くないしさっ」
「あのねぇロミー。男の人の価値って見た目じゃないんですよ。分かりませんか?」
「うーん。ロミーはよく分かんないな…あ、そうそう!プール配信は8月じゃなくて今月の月末に…来週の土曜日にするからねっ!」
「そうなのね…………Σ(˙꒳˙ )えぇ!?それって来週の土曜日って事ですか?」
プール配信は8月と配信中に亜沙美に言った。と聞かされた梨香。けど実は来週の土曜日にすると聞かされて驚く梨香だった
続く