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第95話 着替え中の2人

【鈴鹿市某スポーツジム】

「よく来てくれたね。亜沙美っ、太一っ♪」


「よろしくお願いします…」


亜沙美と太一は2人揃って、ロミータから指定されたスポーツジムにやって来た


「ふはぁ!でっかいジムだねぇ…市内にこんな大きいジムが有ったんだぁ…」


「これって【573グループ】じゃないか!」


「そうよっ!パパの仕事と付き合いのある関連業者がグループ経営してるスポーツジムなのよっ!亜沙美は聞いた事ある名前よね?」


「えっ!?うん。色んなヒット作を出しているゲーム会社だよね?…スポーツジムもやってるんだぁ…知らなかった…」


この国内でも最大手のゲームメーカーの1つでもある【573グループ】は、ゲーム制作以外にもたくさんの仕事を持っている。今回はそんなスポーツジムの1箇所を借り切って配信撮影が行われる


「亜沙美ちゃん。太一君。今日は宜しくね」


「り、梨香ちゃん。こんにちは…」


「おう、よろしくな…」


梨香もロミータと一緒に来ているのだが…前に亜沙美の家のスペアキーを渡される太一を見てから、どうしても態度がぎこちなくなったままのようだ


「スタッフが段取りしながら待っているわ。3人とも付いてきてっ!」


施設の入り口で気まずい空気が漂っても困るので、ロミータはジムの中に入るように3人を促した




【プール施設】

と扉の上にプレートが貼られている部屋の前までやって来た4人。ロミータはそこで立ち止まった


「さて亜沙美っ!まずは脱衣所で着替えながらのトークが撮影シーン1よっ!」


「Σ(*oωo艸;)エェ!?き、着替えのシーンも撮影するのぉ?…あ!私の下着姿が全世界に流れちゃうの!?…う、うそぉ!?」


着替えのシーンを撮影すると聞かされ動揺する亜沙美。しかしロミータは落ち着いていた


「そんな訳ないでしょ…今日の配信は全部配信用アバター…つまり3Dモデルで配信されるわ」


「でも私まだ、自分の3Dアバター持ってないよぉ?」


「そんなのロミーが作っておいたわよ♪」


「ええっ!?3Dアバターって、すっごく高いんだよねぇ?100万円近くするって聞いた気がするんだけどぉ…」


「ロミーのポケットマネーから出したわ。この撮影が終わったら、出演料として差し上げるわ。どう、悪くない条件でしょ?」


「い、良いのぉ?……うん、ありがとう。今回の撮影頑張るねぇ♪」


ロミータは少し気難しいところもあるが、やると決めた事には出し惜しみしない性格なので、今回の撮影が決まった翌日には3Dアバターの製作を発注していた


「ガチャ」

「ロミータ様。それに亜沙美様…それと御友人の方たちですね。今日は撮影が終わるまで御友人の方達には施設のご利用は出来ません。ロミータ様と亜沙美様の着替えを撮影し終わりましたら、中へご案内しますのでお待ちください」


中から出てきた20代半ばの、いかにもキャリアウーマンなスーツ姿の女性が現れ説明をしてくれた。脱衣所に入っていくロミータと亜沙美




【脱衣所】

「ロミータ様。亜沙美様。お待ちしておりました。早速ですが、まずは着替えを始める前にこのチョーカーを付けてください」


脱衣所には別のキャリアウーマンが居て、脱衣所での撮影の流れを説明してくれている。どうやら彼女が脱衣所のカメラマンも兼ねているようだ


「よろしくお願いするわねっ」

「お、お願いします」


まずチョーカーを付けた2人


「それでは早速、下着姿になってください」


「ヾ(ヽ0Д0)ェエエ工ー!!」


「いちいち驚かないのっ。段取りってのがあるんだから指示に従ってっ!」


不登校から立ち直りつつある亜沙美だが、まだまだ人見知りが治っている訳では無いので…見知らぬ女性の前でイキナリ下着姿になれ!

と言われて動揺してしまう


「(// ^//)ぬ、脱ぎました…」


「それは先程のと似ていますが…ポインターになっております。まずはコレを右手首に…次はコレを左手首に…そしてコレを右肘に……そしてコレを左足首に…お疲れ様です。それではもう1度服を着てください。ここに来た時の姿になって頂きます」


「(๑°ㅁ°๑)えっ!?もう1度着るのぉ??」


「いちいち驚かかないのっ!って言ったでしょ!今回の撮影テーマは【リアルさの追求】なんだから仕込みに手間が掛かるものなのっ!」


「うん。分かった…」


何が何やら理解出来てない亜沙美だが…取り敢えずロミータが今回の撮影の為に物凄い量の手間と段取りをしてくれていた事を理解した亜沙美

なのに何の準備もしていない自分が足を引っ張るのも申し訳なくないし、3Dアバターの事もあるので、ここからは極力ロミータの指示に従い協力的に振る舞おうとしたのだが…



「それでは撮影始めます!5.4.3.2……」


スタンド型で移動できる、テレビ局によくある大型カメラを覗き込む先程のキャリアウーマンが、撮影開始のカウントダウンをした


「へぇアミ。胸は控え目だけど…結構肉付きは良いのね♪」


「えっ?(꒪ꇴ꒪ ;)エエッ?」


「実はさアミ。ロミーはまだ生えてないんだけど…アミはどうなの?ちょっと隠さないで魅せなさいよ♪ほらほらっ♬」


「ちょっと…ロミーちゃん!?そんなに引っ張ったらラメぇ(汗)み、見えちゃうよぉ!」


「むしろ見せて!って言ってんのよ!良いじゃないのっ!ココにはロミーとアミしか居ないんだからさっ!」


「や、やだぁ!…きゃうっ!?」


「ちょっとアミ、大丈夫なの?」


身体の各所に取り付けられたポインターが、亜沙美とロミータのアバターと動きを連動させている。先に下着姿にさせてからポインターを付けて再度服を着て着替え始めたのは、女子高生2人の着替えシーンをリアルに映す為だった


もちろん大事なところが映ってしまったとしても、今回はライブ配信ではなく動画配信タイプなので、後からいくらでも編集出来るのだが…


「大丈夫そうね、良かった。でもアミも暴れるからよ?ほら、じっとしてロミーにアミの身体をもっと魅せてよ♪」


「んっ!あっ…嫌だぁ…大事なところが見られちゃうよぉ…」


「∑(๑º口º๑)!?ふぁ!?」

(な、何よ亜沙美ったら…そんな可愛い声なんか出しちゃって……ドキドキ❤︎……そんな甘い声出されたら世の男どもが……ううん。ロミーまで興奮してきちゃうじゃないのっ!!何なのこの気持ちはっ!!)


少し恥ずかしい想いをさせ、前に大好きな梨香を困らせた仕返しを軽くしてやろう!程度の気持ちで意地悪してみたロミータだが、予想の遥か斜め上を行く亜沙美の可愛い声と仕草に、逆に焦らされてしまった


こんな流れで始まってしまった今日のプール撮影は、この先どうなってしまうのだろうか?




続く

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