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第97話 梨香の弱点

【女性用更衣室】

亜沙美とロミータが撮影の為に居なくなり、女性用更衣室の中で無言で立ち尽くす梨香と太一


(こういう時って男の方から話し掛けるべきなんだろうけど…この前のスペアキーの件、ずっと梨香に説明できてないんだよな〜…)


太一が亜沙美から家のスペアキーをもらう現場を偶然的に見られてしまい、動揺した太一と梨香。実はさっきまでソコに一緒に居た亜沙美とロミータの間では、その件については折り合いが付いたのだが…この2人の間では解決していなかった。そんな2人がイキナリ女性用更衣室で2人きり


(…Σ(゜□゜)あっ!!もしかしてロミーったら、私たちに向き合って話し合う時間を作る為に今日、私と太一君までココに呼んだんじゃ?…有り得ますわ)


その通りである。勘の良い梨香はロミータから言葉で直接言われなくても、ワザワザこの時に太一と2人きりの状況をセッティングしたのは、ロミータからの気遣いだと察した


(ありがとうロミー♪だったら…私が今しなければならない事は…太一君に…)


中学に入るまでは病弱で身体の弱かった梨香は満足に学校に通えなかった事もあり、男女の恋愛事情とかにはめっぽう弱い


だから、この手の相談話しとかからは逃げていた。ましてや自分の事となれば、なおさら恐怖に襲われているのだが…「キュ!」梨香は拳を握り勇気を振り絞った


「あ、あのね太一君。前から聞きたい事があったんだけど、良いかな?」


「お、おう。なんだ?」

(キタ━━━(◍°꒳ °◍)━━━!)


「この前ショッピングモールで亜沙美ちゃんから…スペアキーを…もらってたじゃない?…あ、あれって…やっぱり……2人は…普通にお泊まりしてるくらい……仲が良いって事なのかな?」


(やっぱり梨香は、そう思ってるんだよな…)


「ちょっと梨香、良いか?よく聞いてくれよ」


「う、うん…」


更衣室の中に静寂な時間が流れた。太一は梨香にこれ以上誤解を与えないように説明する言葉を必死に選んでいた


「仲が良いか?悪いか?で聞かれると仲は良い方だ。とは言えな、亜沙美の家に泊まった事なんてないぞ」


「そ、そうなの?…じゃあ、なんで家のスペアキーをもらっていたの?」


「ほら、亜沙美ってVTuber配信してるじゃないか。アレで頻繁に夜更かしするからさ、俺と朝に待ち合わせしても結構な確率で携帯を鳴らしても、アイツ寝たままで起きないんだよ」


「そうなんだ…でも亜沙美ちゃんなら有り得そうだね…」


思い切った確信に迫る質問をした梨香の方も焦っている。今、心拍数を測れたら彼女の心拍数は爆上がりしているだろう


「だからさ、亜沙美モノグサだから俺に家に入って来て起こして欲しい。って言ってきたんだよ。だからスペアキーを貰ってくれって!…ってな感じでな…俺は異性としては見られてないのかもな(笑)」


「はぁ……ガクッ… _| ̄|○」


「理解してもらえたか?」


太一から聞いた話を頭の中でシュミレーションしてみた梨香。同い年の異性を平気で家に入れて、部屋で爆睡している自分を起こしてもらっている亜沙美の姿が容易に想像出来てしまった梨香は、身体からチカラが抜けてテーブルにもたれかかった


「その状況が目に浮かびましたわ…確かに亜沙美ちゃんなら、そういう事を平気で言えそうですね…」


「だよなぁ。亜沙美には普通の感覚を持って欲しいんだなあ…」


太一の口から改めて聞いたことで亜沙美と太一が恋人関係まで進んでいる!?…というのは不要な心配だったと理解した梨香



「男用の更衣室の場所を聞いてくるよ」


そう言って太一がプール室に入ろうとした時…


「それじゃ、ロミータ様と亜沙美様。次は全裸でシャワーするシーンの撮影に入ります!」


「えぇ!?」

「Σ(゜д゜;)なんですって!」


その話に驚く太一と梨香


(ぜ、全裸で…ですって?なのに2人とも少しも動揺していませんわ…ロミーはあれで度胸のある子ですから撮影ならば、やりそうですが…亜沙美ちゃんはなぜ平気なんですの?)


自分ならイキナリ「全裸撮影」などと言われたら、必ず驚きの声をあげる自信がある梨香


(コレって…まずいのでは!?こんなに動じない亜沙美ちゃんの家にスペアキーをもらってる太一君が何度も出入りしていたら、そのうち…)


梨香はノンビリしてたら、亜沙美に太一を取られてしまうのは時間の問題だと確信した!


(スペアキーの事を聞くだけで足踏みしていては…太一君は亜沙美ちゃんとその内に…くっ!勇気を出すのよ梨香っ!!)


何かを勘違いした梨香は大胆な行動に出る


「撮影も忙しいようですし…私は構いませんから…2人ともココで水着に着替えちゃいましょう。ね、太一君!」


「エ━(  Д ) ⊙ ⊙━ ッ !!!梨香…い、良いのかよ?」


奥手な梨香らしからぬ大胆な提案に驚く太一

しかし!梨香の気持ちが気になって振り向いた太一が見たものは…!?


「ん…しょ…」


既に着替え始めて半裸になっている、梨香の艶(なまめ)かしい生着替え中の姿だった!太一は素早く反対側を向き目線を外した


……………………………………………


「い、良いですよ太一君。コッチを見ても…」


「そ、そうか?」


今初めて見る感じを装って振り向いた太一

目の前に立っている梨香は、中学に入るまで病弱で細身だった頃の面影は全く無く、太一のキカン棒にクリティカルダメージを与える程のナイスバディに成長した梨香の水着姿だった


どうにも太一の事になると、梨香の冷静な判断は機能しなくなってしまうようだ。そこが彼女の弱点と言えるだろう




続く

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