【スポーツジム女子更衣室】
「ど、どうかな…似合ってる?」
「……………………………………………」
「太一君?」
「( °ᗝ° ).ᐟ.ᐟお、おう。凄く似合ってるよ!梨香はスタイルが良いから…その水着が良く合ってるよ…思わず見とれちまうくらいな…」
「……ありがとう(//^//)」
予想以上のべた褒めを受け、耳まで真っ赤になる梨香。太一の顔を見られないでいたので、彼の身体をチラ見すると…
「太一君って…結構鍛えてるのね。引き締まってるし筋肉質だし…そっか!中学はラグビーしてたって言ってましたよね?」
制服に隠れて普段は分からないが、中学の時ラグビーで鍛えられた太一の身体はそれなり以上に逞しい男子の肉体をしている
「3年の時の大会で左肩を折っちゃって…それからは何もクラブに入ってないけどな…」
最後の大会で大きな怪我をした太一は、そこでラグビーを辞めた。それ以降は帰宅部員と化していたが、筋トレ等は続けているらしい
「太一君がそんなに逞しくなってるなんて初めて知りましたわ!………あっ!?もしかして…亜沙美ちゃんはもう知ってるの?」
1度気になってしまうとソレに囚われやすくなる梨香の性格が、お互いの裸を見合った事がある程の仲なのか?と気になってしまった
「泊まった事とかは無いから流石にソレは……あ!1回あったわ…」
「(´º◽︎º`)え!?そうなのですか?」
「ほら、この前一緒にプールに行ったじゃないか!あの時くらいかな?」
「……あ、あー!なるほど、それくらいですのね…」
たは梨香から、亜沙美とは身体のスキンシップをし合うような恋人の仲になっているのか?と聞かれたのだと思ったが…
梨香はもっと深い妄想をしていた。同棲に近い状態で…もしかしたら身体を求めあったりしていないか?そこまで考えていたのだ
(!?か、身体を!?)
自分で妄想しておきながら、いざその光景を想い描いてみたら恥ずかしさが込み上げてきた梨香
「チラッ」と太一の様子をのぞいてみたが…太一は誤魔化そうとしているような苦笑いを浮かべているだけで、亜沙美や梨香の身体に興味があるんだ!…なんて雰囲気は全く滲み出ていなかった
(私は…いつか太一君と結ばれる事もあるかも知れない!と、身体を磨き上げましたのに…太一君のその態度はどうなんですの?本当に高校一年生の男子ですの?私の身体に興味はありませんの?)
太一の年齢の男であれば女の身体に興味を持って当たり前。しかし!今、梨香の問い掛けから読み取れる彼の態度からは、そんな感じは微塵も感じられなかった。それが梨香の女の【PRIDE】に火を付けた!
「……ねぇ、太一君?」
「ど、どうした?」
スタイル抜群の梨香の水着姿がスグそこに在る!それが太一の心拍数を爆上げしていた…ソレを悟られないようにする為に【賢者モード】で対応した事が予想外の事態を招く事になってしまったなんて…太一には全く理解できていない
(やっぱり…待ってたら駄目!【待つ者が得られるモノは余り物】と亡くなったママも言っていた…勇気を出すのよ…梨香!!)
「ガシッ!」
梨香は太一の右手首を掴んだ!
「えっ!?」
「私が…病弱な体質を改善しようと頑張ってたのは知ってますわよね?」
「も、もちろん知ってるぞ…」
恥ずかしがり屋の梨香が自ら太一の手首を掴んできた!彼の知る梨香は、そんな事が出来る様な女じゃない。それが太一の知る梨香なのだが…
「頑張ってたら…こ、こんなにセクシーな身体になっちゃった…ドキドキするでしょ?」
(心臓の音、静かになってくださいませ!太一君に聞かれちゃうわ!)
自ら行動を起こした梨香も、手首を掴まれた太一と同様に…いや、それよりも激しく動揺している
(このまま…何でもかんでも太一君の初めてを、亜沙美ちゃんに奪われちゃうのは…嫌、絶対に嫌ー!!)
心の中で魂の叫びをあげた梨香は、掴んでいる彼の手首を真下へ引き下げた
「ちょっと!?」
梨香が何をしたいのか?分からず、引っ張られた事で頭が下がった太一
「(*´³`*) ㄘゅ❤︎」
目が半開き状態だった太一の視界には…目の前にいる梨香が目をあわすと静かにまぶたを閉じて近付いて来る!そして、そのまま………
梨香の柔らかい唇の感触を味わった太一
「┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈」
自分の唇に押し付けられた彼女の唇。その状態がどれだけの時間、続いたのかは分からない。数秒だったのか?数分だったのか?
まもなく梨香は距離を取り、顔を真っ赤にして上目遣いで太一を見上げた
「あのね…好きなの!」
「……………………………………………」
不意打ちのKissに言葉が出ない太一
「やだぁ!ロミータちゃんったら!」
「もぉ!亜沙美ったら可愛過ぎっ♪」
隣のプール室からは亜沙美とロミータが楽しくはしゃいでいる声が聞こえてきていたが…更衣室は驚くほど静まり返っていた
続く