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第134話 自覚の足りない女とアミー水を求める男

【8月30日の朝】

「はぁ…やってしまいましたわ…」


ロミータと揉めてしまった梨香。ロミータが亜沙美に会いに出掛けて行くのを、ただ黙って見送ることしか出来なかった


「梨香…若いうちはよくある事だ。あまり気にするのも良くないよ。梨香は今、自分が正しいと思うことに頑張りなさい。いずれ理解してもらえるさ……さぁ、今日は太一君と会う日なんだろ?」


「そう…ですね…ロミータにはまた明日にでも話し合ってみますわ。太一君との約束に遅れてもイケませんし、そろそろ私(わたくし)も出掛けますわね」


初めてロミータと口喧嘩した梨香は、動揺を抑えきれていなかったのだが…今日は太一とデートの約束をしている。中学時代は入退院を繰り返し、人並みな学生生活を全く送れなかった梨香は、今日のデートを楽しみにしていたのだ。彼女なりに一生懸命身支度をして家を出た。そう、太一に喜んで貰う為に…




【8:50分駅前】

几帳面な梨香は、太一との約束に十分間に合う時間に家を出たおかけで約束の10分前には落ち合う予定の場所に着いていた。のだが…


「ねぇ。そこの彼女…キミだよ。ねぇ!」


「!!(๑º ロ º๑)えっ!?私(わたくし)ですか?」


突然、背後から20歳過ぎくらいの見知らぬ男から声を掛けられた梨香。チャラチャラした服装に口調も軽く、女のナンパなんて軽いゲーム感覚でしてそうな感じの男だ


「そうだよ美人のキミだよ♪何してんの?友達との待ち合わせをドタキャンされた口かい?…だったらさ、俺と今から遊ばない?」


「い、いえ…まだ約束の時間になっていないだけですので…お構いなく…」


梨香は今日、太一を喜ばせようと見栄えの良さそうな服を着て、軽く化粧もし家を出た。ただ、今日も8月の陽射しと高い気温に少し露出の高い服を着てきたのだが…梨香は自分がかなり良い女として目立っているという自覚がまるで無かったようだ


「そんな事言わずにさ〜、俺良い店知ってんだよね〜。ちょっとだけ付き合ってくれよ〜」


「で、ですけど…私(わたくし)大切な約束がありますので…」



それだけ見た目の良い梨香が、胸をオープンにして高めの露出にしていたらナンパ男に声を掛けられても、全く不思議ではないのだが…その事を梨香はまるで分かっていない


「まーまー、少しだけで良いんだからさ〜。先っちょだけでも相手してくれよ〜。ギャハハハ♪」


ナンパ男は加えて下品な男だった。完全に梨香が苦手とするタイプだ。どうして良いか分からずに、シドロモドロしていた時だった


「遊ぼうって言ってんだろうがよっ!…ガシッ」


「い、嫌です。離してください!」


煮えきらずハッキリとモノを言わない梨香に我慢の限界に達したナンパ男は、強引に梨香の手首を掴みどこかへ連れて行こうとした!



「みっともないな…その手を離すでござる」


「誰だよてめぇ!今イイとこなんだから邪魔すんじゃ…!?で、でけぇ!!」


「どう見ても、その女子は嫌がっている。カッコ悪い事はヤメろ!でないと、少し躾(しつけ)られる事になるぞ。どうする?…あ!?」


「ヒイィィィ!!(゜ロ゜ノ)ノ すんませんしたー!!」


梨香を助けに入った頭にハチマキを巻いている、いかにも鍛えてます!と言っているような立派な体格をした身長2メートル弱の男の迫力に、完全にビビったナンパ男は梨香の手を離し素早く路地裏へ逃げて行った



「あ、あの有難うございます…」


「無事だったでござるか?余計なお世話かも知らぬが…そんな立派な胸をさらけ出してる服装で、街中を1人で歩くのは「ナンパしてください」って言ってるようなものでござるぞ」


「( •ㅁ• )あっ…!?そうですね…今後気を付けます。助けていただいて……」


ゴツイ青年に助けられたお礼を言っている最中だった


「ヽ(`Д´#)ノ コラー!!てめぇ、俺の梨香に何してやがんだー!」


明らかにタイミング遅れで太一がやって来た!どうやら梨香を助けた男に、梨香がナンパされていると勘違いしているようだ


「なんだ?……もしや、この子の彼氏か?」


「そうだよ!俺の梨香に軽々しくナンパしてんじゃねーよ!」


梨香を助けてくれた男は、かなりゴツイ体格をしているのだが…小さい頃から空手を習っている太一は臆すること無く、ナンパ男から梨香を守ろうとした。ただ…太一は約束の時間に5分遅れての登場だったのだが…


「ち、違うのよ太一君。むしろ、その人がナンパされてた私(わたくし)を助けてくれたのよ」


「(; ꒪ㅿ꒪)えっ!?そうなの?」


梨香の説明で自分(たいち)がとんだ勘違いをしている事を理解した太一


「大切な彼女と待ち合わせするのであれば、彼女よりも早く来て待っているようにするのが男の役目であろうな。太一君…」


「そ、そうですね。すんませんでした」


どうやら自分が間違っていた事を理解した太一は、その男に深々と頭を下げた


「そうですわ。危ないところを助けていただいたのですから、何かお礼をさせてください」


「いや、良い。そんな大した事はしていないでござる。それに拙者も待ち合わせをしているのでな」


「いや、でもそれじゃ…そうだ!何か欲しいモノとか有りませんか?高いモノは無理ですが、何かお礼を…」


「そうです!せめてお名前だけでも…」


律儀な梨香と太一の言い分に少し考えた男は…


「本当に良いんですよ。拙者は服部と申します。それに、拙者が欲しいのは【アミー水】だけでごさるから…これにて失礼します!」


そう言うと男は、かなり速い脚で2人の前から立ち去って行った


「何だか喋り方が忍者か?侍みたいだったな…」


「そうですわね…ねぇ太一君…」


「ん?どうした?」


「今あの人【アミー水】って言わなかった?」


何やら怪しい単語を口にして足早に去って行った服部という男。果たして彼は何者なのだろうか?




続く

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