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第135話 太一の優しさ

【四日市駅前】

ナンパ男と助けてくれた服部という男との間で少しトラブルがあったが、梨香と太一は鈴鹿駅から四日市駅へと移動していた


「あの太一君。さっきの助けてくれた人が言ってた…」


「うん。オススメの料理屋さんを見つけたんだ。そこで昼を食べながら話しようよ」


「そうですね…エスコートをお願い出来ますか?太一君(笑)」


「( ̄▽ ̄;)お、おう…」


中学時代を入退院とリハビリに費やした梨香は、年頃の日常を楽しみたいと日頃から考えていた。今日は同級生で親戚の太一とのデートだ。少女漫画などに出てくるイケメン男子とのデートシーンを思い浮かべながら、太一とのデートを楽しんでいる




【オーガニック料理店】

「(; ꒪ㅿ꒪)す、素敵なお店ですね太一君。あの…料金とか大丈夫ですか?凄く雰囲気の良いお店ですけど…」


あまりに見栄えの良い店内に、流石に学生が来るには場違いなのではないか?と心配する梨香


店内には無数の観葉植物が植えられていて、JAZZをBGMに身なりと対応の良いウェイターが数人店内を回っていた


「も、もちろんさ。あらかじめネットで料金は把握しているよ。す、少しは値は張るけどそんなにビビる事はないよ。うん…」


「心配ない」と言ってはいるが、あまりにもお洒落過ぎる店内に圧倒されているのが、態度に出ている太一だった



「あら?確かに値段はそんなにも高くはないんですね。でしたら仔羊のリブステーキを五穀米とコーンスープのセットでお願いしますわ」


ウェイターが置いたメニュー表を見てひと安心した梨香は、素直に食べたい物を注文していた。太一もあらかじめ決めていた煮魚のセットメニューを頼んでいた



「あの太一君。先ほど助けてくれた服部さんの事ですけど…」


「うん。確かに【アミー水】って言ってたよね?亜沙美の視聴者なんだろうか?」


亜沙美は幸運なアクシデントと、中堅VTuberと言えるロミータと仲良くなりオフコラボを数回配信する事で、個人勢VTuberとしては僅か4ヶ月でチャンネル登録者が1万人を超える。という偉業を成してはいたが…


それでもまだまだメジャーな存在には程遠い。VTuber浅宮アミはまだ、極1部の人にしか知られていない存在だ。その配信内でのみ知られている【アミー水】の単語を口にした服部という男は、彼女(あさみ)の強い視聴者(アミーゴ)なのだろう


「たぶん、そうじゃないかと思うのですけど…やっぱり亜沙美ちゃんに教えてあげた方が良いですわよね?」


「そうだね。…あ!そうだ、スポーツジムの件でギスっちまった後だった。どうしようか?難しいな…」


(太一君ならバシっ!と答えを示してくれるかと思いましたけど、やっぱりデリケートな問題ですわよね…)


梨香の中での太一は…

入退院を繰り返していた中学時代、みんなの話題などからどうしても取り残されガチな自分(りか)を、常に助けてくれた頼れる男なのだ


先ほども「俺の女に手を出すな!」と力強く言って守ろうとしてくれたし、お昼にしても見た目ほど身体が健康的ではない梨香を気遣って、ヘルシーメニューで有名なこの店を選んでくれていたのだから、太一への信頼は高いのだ



「確か亜沙美は21時から毎日配信してるハズだから、今夜の配信が終わった頃を見計らってメールで教えるのはどう?」


「そうですね。配信の後ならこの話を聞いた後でも考える余裕もありますよね?」


太一なりに考えて出した答えは…電話で話す事に抵抗があるだろうから、亜沙美が配信を終えた後にメールで知らせようという事だ


「もしも、亜沙美に良くない事を企んで近づこうとしている男だったら危険だからね」


(確かに【アミー水】って口にしている視聴者(アミーゴ)さん達には少し恐怖を感じましたけど…あの服部さんからは、そんな感じはしませんでしたが…)



信頼している太一の口からは控え目な方法を提案されたし、太一もその場に居たのに自分(たいち)が言うとは言わなかった事と、紳士的に助けてくれた服部という男に疑いを掛けているような言い方が、真面目で実直な梨香の考え方に少し引っかかっていた



「ご馳走様でしたわ。有難うございます!」


「梨香が喜んでくれたみたいで、俺も嬉しいよ。少し外を歩こうか?」


昼飯を美味しくいただいた2人は、適当に駅前通りを歩く事にした




【駅前通り】

隣の県の名古屋駅前通りと比べると小規模な四日市駅前通りだが、高校1年生で初デートをしている2人にとっては、ただ歩いているだけで十分に楽しい時間だった


「( „❛ ֊ ❛)んっ?どうかされました?」


「い、いや。何でもないよ…あのさ梨香。この後プールに行かないか?梨香、泳ぐの好きだろ?」


これは梨香の中学時代のリハビリに、よく付き合っていた太一だからこその提案だった。いくら梨香が真面目だと言っても、来る日も来る日も同じようなリハビリメニューに嫌気がさしていた彼女(りか)の事を思い、太一が「プールでリハビリしよう!」と誘って付き合い、梨香もプールでのリハビリがお気に入りだったからだ


「良いですわね!気温も高いですし、プールに入って泳いだら一石二鳥ですわね♪…あ!でも、私(わたくし)水着を持ってきていませんわ…」


「買ってあげるよ。ほら、この前言ってたろ?急に成長してきたからサイズが大きくなって今までのが、少し苦しくなったって…」


「まあ!?そんな事を覚えてくれてたんですの?」


太一の前で「ボソッ」と言った程度の言葉を覚えていてくれた事に感激した梨香は、太一と一緒に水着を見に行くことにした




【スポーツジム563】

ここは有名なゲーム会社コムミが経営しているスポーツジムで、24時間営業しているジム。ここなら前に亜沙美たちと行ったスポーツジムとライバル関係の会社が経営しているので、亜沙美と鉢合わせする事も無いと連れてきたのだが…


「あの…せっかく買ってもらったばかりの水着なのですけど…これでも少しキツく感じてしまいますわ…」


スポーツ用品店で太一を待たせるのも悪いと思い、今まで使っていた水着より2サイズ上の物を買ったので大丈夫だろう。と思っていたのだが…高校生になって急成長した梨香の身体(特に胸)は、本人も驚くほどの成長を魅せていた




続く

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