目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第149話 取り引き材料は…

【竹取家20:50】

「それじゃあロミータちゃん。私は今夜の配信【西麻布9番出口】って間違い探しのゲーム配信してるね」


「分かった。じゃあロミーは亜沙美のお母さんの部屋を借りて最近噂の縦型画面で雑談配信してるわ。配信は22:30までだっけ?」


ロミータは配信用の機材(PC関連)が立華家に有るので、亜沙美の家ではいつもの配信が出来ない。なのでスマホ1つで縦型雑談配信をするようだ



「うん。90分で終わるつもりだよぉ。色々とありがとうね、ロミータちゃん♪」


「良いのよ。大好きな亜沙美の為だもの。お風呂は別々に入るんだよね?」


ロミータは、亜沙美が自分と一緒に風呂に入るのを警戒してるのを知っている。同じベッドで寝るのは許容してくれるが、裸となるとまだ羞恥心に負けているのだと。しかし…


「あ、あのねロミータちゃん…今夜からはお風呂も一緒に入ろう!私、ロミータちゃんを信じる事にしたから!」


「(◍ ´꒳` ◍)ウハ♡ありがとう亜沙美♪…それとね、今和泉さんの事はロミーに任せておいて。アテになりそうなコネを頼ってみるからさ」


「(꒪˙꒳˙꒪)うん。ありがとうロミータちゃん」


毎夜21時キッカリに配信を始めている亜沙美は、その後スグに配信準備に入った。同じ部屋で別の配信をすれば互いの声が入ってしまう可能性が高いので、ロミータは亜沙美の母親の部屋を借りる事にした




【母親の部屋】

「ブルルル……はい。服部さんの携帯で良かったかしら?…ええ、貴方に任せたいと思ってるの。詳しくは言ってないけど、亜沙美からの了承も得ているわ」


「それは話が早くて助かるでござるな。拙者は既に太一殿には話を通しておいたので、明日には決行出来るでござる」


ロミータは自分の配信を始める前に、服部に電話を入れている。告白を断った今和泉の事で、これ以上亜沙美に火の粉が降りかからないようにする為だ


「本当に助かるわ。貴方には何てお礼を言えば良いか?分からないわ」


「お礼の言葉は不要でござるが…拙者も無料(タダ)で行動はしないでござる。ロミータ殿には是非ともお願いしたい事が有るでござる」


「ギブアンドテイクってヤツね。良いわ、貴方は何を望むの?…えっ!?アミー水を!?」


「拙者は伊賀流を継ぐ者として、企業などから依頼を受けて仕事をしているでござる。学友から金を取るなどと考えてはおらぬ…しかし、個人的に所望しているが拙者では入手の難しい【アミー水】でござるが…今夜も亜沙美殿の家に泊まるロミータ殿なら、それほど難しい話ではないでござろう?」


「アンタ!ロミーが亜沙美ん家に泊まる事まで知っているの?」


「もちろんでござる。忍びの情報網を甘く見られては困るでござるな」


服部が伊賀流忍者の後継者という話を半信半疑で聞いていたロミータだったが、亜沙美が女子生徒に囲まれたのを目撃していた事や、今夜竹取家に泊まっている事まで知っているとなると、その情報網は半端なモノではないと感じた


「なるほどね…けどさ、どうして【アミー水】を欲しがるのよ?【VTuber浅宮アミ】はロミーとのコラボや、ホラゲ配信中の号泣事件で一時的にバズった程度の配信者よ?そんなに価値が高いとは思えないけど?」


「拙者は別件で…三重県のある市で起きている事件を調査しているでござる。もちろんながら詳細は説明出来ないでござるが…その情報収集でネットを徘徊していた5月に【浅宮アミ】つまりは、亜沙美殿の初配信を見掛けてな…1目で推しになってしまったでござる」


「へぇ〜…そうなのね……Σ(゜□゜)あっ!!もしかして貴方…【エロコメダイスキー】じゃないの?頻繁に亜沙美の配信にコメントしてるでしょ?」


「はっはっは!ロミータ殿もなかなか鋭いでござるな!…では、亜沙美殿と今和泉殿の件は拙者に任せるでござる…くれぐれも【アミー水】の件、よろしく頼むでござるよ!」


「わ、分かったわ。こういう事は信頼関係が大切よね。ロミーはベストを尽くして必ず入手して、服部さんに渡す事を約束するわっ!」


「それでは、お互い良い仕事を!」


そう言って服部は電話を切った


「あの問題視聴者が同じ学校の先輩だったなんて…さて、亜沙美からどうやって【アミー水】を奪取するかよね……別のモノを代用で渡しても服部さんにはバレる気がする…なんたって忍者の末裔だものね」


海外では日本以上に、日本の侍や忍者、芸者などへの関心は高くヒーローチックに見られることも有るらしい

ロミータからすれば、忍者は日本の諜報機関のスペシャリストと見ている部分もあるのかも知れない




【ロミータの雑談配信】

「日本て素晴らしいわよねっ!風情が有る、ってヤツかな?それらに触れると度々感動しちゃうわっ!」


✱「何に興味ある?」

✱「日本には慣れた?」

✱「風情と言えば温泉」

✱「露天風呂いいよ」

✱「草津、下呂、熱海…」


「あ〜、温泉良いわねっ!今度行ってみたいわっ!」


✱「アミちゃん誘えば良いやん」

✱「裸の付き合い」

✱「百合配信よろ」

✱「2人の入浴姿見てー」

✱「頻繁にお泊まりしてるよね」


「アミと温泉かぁ…良いわねっ!今度アミに提案してみるねっ!行けたらお土産話するからねっ♪」


半契約VTuberとして3年目のロミータは雑談配信も手慣れた感じで、スマホ1つでの配信にも関わらず視聴者たちと楽しく配信を過ごしていた




【22:40】

「ガチャ…ごめん亜沙美。遅くなっちゃったわ」


「んーん良いよ、ロミータちゃん。じゃあ…一緒にお風呂入ろっか?」


亜沙美から言い出したことだが…ロミータと一緒に入る事に、まだ少し抵抗があるようだ


(けど…亜沙美だいぶ心許してくれてる…今ならお願いしても頷いてくれるかも?)


「あのね亜沙美。1つお願いしたい事があるんだけど?良いかな?」


「どうしたの改まって?そんなに難しくない事なら…ロミータちゃんの頼み事なら何でも私するよ?」


「あ、あの…実はね…」


……………………………………………


ロミータは亜沙美に「亜沙美を囲った女子生徒を牽制する為に、どうしても【アミー水】が必要だ」と伝えた!


「∑( °口° )ふえっ!?【アミー水】が必要なの?服部さんて人が【エロコメダイスキーさん】で、その人に亜沙美がアミだってバレてて、ロミータちゃんが頻繁にお泊まりしてる事までバレてるのぉ!?嘘よねぇ……」


「それが…本当なのよ亜沙美…」


亜沙美が驚くのも、もっともだ。いかに亜沙美が純粋天然とは言え、彼女なりに身バレがしないように「三重県在住で鈴鹿市によく遊びに行く」以上の情報は出していなかったから


その中で亜沙美がアミだと見抜き、ロミータに接触してきた服部が只者ではないという事が、亜沙美にも容易に理解出来た。果たして亜沙美は腹を括(くく)って【アミー水】を提供するのだろうか?




続く

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?