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第156話 駆け引き

【遊び全集】

での対戦中。初戦であまりにも圧勝し過ぎたオリビアは、亜沙美が手を抜いたと思ったのか?配信の盛り上がりを考えてなのか?


「今の勝負はノーカウントにしましょう。その代わりアミちゃんに本気になって欲しいから、負けた方が勝った方の頼みを何でも1つ聞く。というのはどうかニャン?」


という提案をしてきた


「え、その…ショーツさんは勝ったら私に何を頼むのですか?」


ほぼ対等な者同士での配信だったなら、その提案を断る方法もあったかも知れないが…相手は亜沙美が契約を希望している企業の看板ライバーで、チャンネル登録者も47万の大ベテランの先輩が相手なので断れるハズもないのだ


「実はね…今その提案を考えたばかりだから…内容までは考えてなかったのよ。そうね…どちらかがマッチポイント…つまり2ポイントを取った時点で両方ともお願いを言う。って事でどうかニャン?」


「わ、分かりました…その条件でお受けします…ま、負けませんからぁ…」


(うわぁー、ロミータちゃんどうしよう?こんな事は予想外だよぉ!…私勝てるかなぁ?負けたら何お願いされちゃうんだろう?ねぇロミータちゃーん…)


亜沙美は横に居るロミータに、何かアドバイスを求める様な顔を見せた…が、これは亜沙美とオリビアのコラボ配信だから、ロミータが横から口出しする訳にもいかない。ましてやロミータが亜沙美の部屋に居ることすら内緒にしているのだから…



「そうね…罰ゲームはワタシが言い出したのですから、奇数の時はアミがゲームを指定して良いニャン♪」


✱「流石ショーツさん余裕っすね」

✱「流石クィーン!」

✱「アミ負けんな!」

✱「声裏返ってんぞ」

✱「鳴き声可愛いやん♪」

✱「先輩からの洗礼きたな」


オリビアは単純にこの【遊び全集】を、今まで別の配信者とのコラボ配信で何度もプレイしているのもあるが…明らかに亜沙美が緊張しているのが分かっているので、精神的にも優位だと勝利は揺らがないと確信していた


「さあアミちゃん。最初は何のゲームで勝負するの?何でも良いニャ〜ン♪」


「何でも良い」という余裕を見せることで、更に精神的なプレッシャーを掛けてきたオリビア。オリビアとコラボするのも初なので、彼女の得意不得意とかもまるで分からない


困った亜沙美は冷や汗をかきながらロミータを見る…するとロミータは、高速でタブレットに何かを書いて亜沙美に見せた


「オリビア先輩はリバーシが苦手」


半契約という形ではあるが、オリビアと同じ事務所に所属しているロミータは、彼女が苦手な(勝敗の分が悪い)ゲームを知っている



「えっと…その、リバーシでお願いします!」


「え!?…あ、あぁリバーシね。分かったニャン…」


(この子…ワタシの配信を見て研究していたの?イキナリ苦手なリバーシを指定してくるなんて…ワタシがどのゲームが苦手なのか知っている?)


【遊び全集】の中のゲームは、ほとんど苦手意識の無いオリビアだが…数少ない苦手意識のあるリバーシを、いきなり選ばれて少し動揺していた



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「ま、負けたニャン…」


「やったぁ!勝てたァ♪」


罰ゲームを賭けた5本勝負の大切な1戦目を、何とか勝利できた亜沙美は本気で喜んだ


「先輩は反射神経系や運ゲームが得意だけど、頭脳系のゲームは苦手よ」


ロミータは配信に声を乗せる訳にはイカナイので、タブレットに文字を打ち亜沙美にアドバイスを送り続けていた



「次は流石に負ける訳にはイカナイから…【エアーホッケー】で勝たせてもらうニャン♪」


✱「出たー!」

✱「エアホのクィーン!」

✱「これはショーツの勝ちよね」

✱「アミちゃん、すまんな」

✱「ここ勝てたらデカイぞアミ」

✱「これは決まったな」


チャンネル登録者47万人のオリビアの枠での配信なので、1.5万人の亜沙美を応援するコメントの方が圧倒的に少なかった


「い、良いですよ。受けて立ちます!」


「オリビア先輩は勝ってる内はガンガン前に出てくるから、その間はゴール前で何とか死守するのよ!」


オリビアを知っているロミータから、またしても勝利の為のアドバイスが飛ぶ!

(うん。分かった頑張るね!)


ロミータのアドバイスに無言で頷く亜沙美。だが、亜沙美と知り合ってからの1月半、濃厚な付き合いをしてきたロミータには、亜沙美が何と思っているのか?だいたい理解出来ていた!



「ほらほらアミちゃん。そんなゴール前で縮こまっていても勝てないニャンよ♪」


ロミータの指示通りゴール前を固める亜沙美。だが、反射神経系のゲームはオリビアの得意とするモノ。必死に守るも亜沙美の方が押されている


10点先取した方が勝つルールなのだが…守りに徹している亜沙美の健闘は及ばず5-3と、オリビアの方が少し優位だった


「くっ!強いぃ…いや、ヤメテぇ!!」


【6-3】


「ꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)あはは!アミちゃんったら可愛い声で鳴くのね。思わず興奮してきちゃうニャン♪」


✱「クィーン流石っす」

✱「これは決まりか」

✱「It's your fault」

✱「頑張ってショーツ!」

✱「いけるいける」

✱「アミ可愛いぞ」

✱「アミ負けんな」


ようやく調子が上がってきたオリビア。コメントもこのゲームはオリビアが取ると確信したのか?オリビアを応援するコメントが増えてきた


【7-3】


「うあああっ!強い、強いよぉ…」


「ふふふ、良い声で鳴くニャン。もっと、その鳴き声を聞かせて欲しいニャン♪」


「ふぇぇ!こんなに強いなんて、どうしたら良いのよぉ!!」


ロミータから様々なアドバイスを受けて色々な方法を試し、実力以上に健闘している亜沙美だったが…得手不得手の差を埋めるには及ばなかった


✱「もろたで工藤」

✱「エアホは仕方ないわな」

✱「Shorts are the best♪」

✱「もっと鳴いて♪」

✱「アミまだまだや」


オリビアの登録者の怒涛のような応援に気圧されているのか?次第にアミを応援するコメントも減ってきていた


「まずは、エアーホッケーで引き分けにするのニャ〜ン♪」


精神的余裕が強くなったオリビア。このまま2ゲーム目は、オリビアが取って引き分けにするのだろうか?




続く


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