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第155話 大先輩からの試練

【亜沙美の部屋】

「ジリリリン♪」


時間は20:45。間もなくオリビア・ショーツとのコラボ配信が始まる時間なのだが…


「あっ、あっ…あぁ!ちょっとロミータちゃん!?もう止めてったらぁ!オリビアさんの配信にお邪魔する5分前だよぉ!」


「えっ!?…あ、あはは…ごめんね亜沙美…でも濡れちゃったんじゃないの?(ニヤニヤ)」


「馬鹿ぁ!!結局、心構えとか全然教えてもらってないよぉ…どうすんのよぉ…」


ロミータ以外面識の無い相手と突然コラボ配信する事になり、緊張しまくってある亜沙美をリラックスさせ、ロミータが半契約している今夜のコラボ相手であるオリビアとの対談について、レクチャーをする約束だったのだが…結局は亜沙美が辱められている内に約束の時間が迫ってきた



「( ̄▽ ̄;)あはは…ごめん亜沙美。でも緊張はほぐれたでしょ?それにオリビアさんは基本優しいし、今回もロミーと同じように「会社と半契約したい」と言ってきた亜沙美の配信者としての実力を軽く見に来た程度だと思うわ」


「うぅぅぅ…そうだとイイんだけどぉ…」


ロミータのセクハラに弄ばれた亜沙美だが恥ずかしさでイッパイになっていたので、緊張感はほとんど消えていた


(結局、何の話をしたところで亜沙美の性格じゃ緊張は抜けなかっただろうからね)


「それにさロミーが横に居てあげるから、万が一オリビア先輩が無理難題行ってきたらフォローしてあげるから安心なさいな!」


「本当に本当?信じても良いのぉ?」


「あったり前よ!泥船に乗ったつもりでいなさいっ!」


「それじゃ沈んじゃうよォ……」


終始冗談を言い亜沙美にマジメに考えさせないようにしているロミータだが、ソレが彼女なりの気遣いと理解出来る余裕は亜沙美には無かった




【コラボ配信10分前】

「ハーイ!貴女が亜沙美ね?お会いできて嬉しいわ。ワタシはロミータが所属してる【ホームステーション】のライバーの【オリビア・ショーツ】よ。ライバー名は【ショーツ・アメリカン】よ。今日は宜しくね♪」


「わ、わ、わ、私は今のところ個人勢でVTuberしてましゅ亜沙美です。ライバー名は「朝宮アミ」です。こひらこそ、宜しくお願いしまちゅ!」


(( ̄▽ ̄;)亜沙美ったら噛み噛みじゃないw)


「ꉂꉂ(´▽`)あはは!亜沙美ね、アミって呼ばせてもらうわね。そんなに緊張しなくて良いのよ。今日は軽く【遊び全集】しながらお話しましょうね♪」


【ショーツ・アメリカン】はロミータが半契約している企業【ホームステーション】の最古参のVTuberである。所属ライバーが10人チョイの小さめな箱の看板ライバーだ


「は、はい。有難うございます!」


「21時になったらオープニング流してそこから1分ほど挨拶したら亜沙美…アミを呼ぶから、そうしたら話し始めてちょうだいね♪」


「わ、分かりました!」



オリビアとの打ち合わせを簡単に終えた亜沙美は、彼女が立てたdiscordのグループチャット内に残ったまま、マイクをミュートにした


「はあぁぁぁ…緊張したよぉ!」


「何言ってんのよ?まだ挨拶しただけで本番はこれからでしょ?…でも話しやすい人でしょ?」


「う、うん。そう思うよ…でも、やっぱり緊張するよぉ…最後までちゃんと出来るかなぁ?」


取り敢えず肉声での挨拶を済ませた亜沙美は、少しではあるが落ち着いたようだ。あと3分で21時になるが、それまでロミータがオリビアという人の性格を簡単に話していた




【21時】

「皆さんこんばんわ。【ホームステーション】の1期生ショーツ・アメリカンよ♪今夜もみんなに逢えて嬉しいニャン♪

Good evening, everyone.[Home Station] 1st-grade shorts American ♪ I'm happy to see everyone again tonight nyan」


✱「ナイスショーツ!」

✱「Good evening, Olivia」

✱「ショーツちゃーん❤︎」

✱「It's so beautiful tonight too」

✱「こんばんはオリビア」

✱「Nice to meet you.」


ロミータの先輩であるオリビアの配信が始まった。2ヶ国語を器用に話す彼女の視聴者は日本人だけじゃなく、米国人も多いようで国際的なコメント欄になっていた

前口上の挨拶を日本語で話した後に、同じ内容を英語でサラサラと話していた


「今夜は後輩ライバーのロミーから紹介されたキュートな新人ライバーをゲストに呼んでいるの♪今夜はその子と楽しくゲームとおしゃべりしたいと思ってるニャン…さぁ、どうぞ!」


どうやらオリビアは配信中は、語尾に【ニャン】を付けるようだ。アバターも猫の擬人化美少女にしているので、猫好きなのが伺える


「ど、ど、ど、どうも皆さんこんばんは!…あっ!初めまして!AA(ダブルエー)VTuberの朝宮アミでしゅ、よろしくお願いします!」


✱「聞いたこと無いな?」

✱「アミちゃん宜しく!」

✱「She's such a cute girl」

✱「アミー!こんアミーゴ♪」

✱「おどおどして可愛い」

✱「It looks like a Japanese doll」



「さてさて、それでは早速【遊び全集】始めましょうか?お互いの自己紹介とかはゲームをしながら話しましょ♪5ゲームプレイして3勝した方が勝ちニャン!という事でOKアミ?」


「は、はい!分かりましたぁ!」


「ꉂꉂ(´▽`)あははアミったらカチンコチンね♪そんなんじゃボコボコにしちゃうわよ。それじゃ肩慣らしに…そうね【FIGHT boxing】をしましょうニャン」



【FIGHT boxing】

りんぐの左右にキャラクターが立ち、プレイヤーはパンチボタンとガードボタンの2つを使い殴り合うゲームだ。30秒後に押されているか、リング外に落ちたら負けになるゲームである


「READY?……FIGHT!カーン♪」


試合開始のゴングの音が鳴ると、2人とも無我夢中でボタンを叩いた。緊張で固くなっている亜沙美には、深い思考を要求するような頭脳戦タイプではないこのゲームは、始めにプレイするには良いゲームだったのだが…


「リングアウト!…WINNER ショーツ!」


✱「ショーツ最高!」

✱「Excellent!」

✱「アミちゃん頑張れ」

✱「呆気なかったw」

✱「次があるで」

✱「センス無いな」


オリビアは【ホームステーション】の看板ライバーで、チャンネル登録者47万人を超えている大物ライバーだ。彼女の視聴者たちのほとんどが、初めて見るアミに対しても様々なコメントが多数飛び交っていた



「それにしても…ちょっと余裕過ぎたわね…もしかしてワタシ舐められてたのかニャン?」


✱「ショーツさんが舐められた?」

✱「いやいや、無いやろ」

✱「煽られてんで」

✱「Never give up!」

✱「アミはそんな事しない」


「(;゜∀゜)イヤイヤイヤイヤ...舐めるなんて…一生懸命にやって、それで…あのその…」


「ふふん♪やっぱり何か賭けないと燃え上がれないのかしら?さっきのはノーカウントにしてあげるから、今日負けた方は相手の言うことを1つ何でも聞くってどうニャン?」


「Σ(・ω・ノ)ノえっ!?」


何かの魂胆が有るのか?それとも配信を盛り上げる為に提案された事なのか?突然、罰ゲームありきの勝負を提案されてしまった亜沙美


(ま、まさか…ロミータちゃんみたいなエッチぃ要求をオリビアさんまでしてこないよね?)


最近やたらとロミータから何かある度にエッチぃ事に結び付けられていた亜沙美は、初対面のオリビアにも警戒心を抱いた

果たして、2人の初対決の配信はどうなるのか?




続く

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