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第221話 美人局

【7:00】

「社長さん…社長さん…」


「んっ?……朝か?…キミは…」


ブイチューバー事務所【コンサートプリンセス】の雇われ社長 兼 会計を務めている男は、とあるホテルの1室で目を覚ました


(えっと…この女は誰だったか?…確か昨夜…飲み屋をハシゴした後で…)


「ソアラです。キノウはアブナイところを…タスケテもらて…アリガトござました…」


「あ、あぁ…そうだった。怪我とかは無いんだな?…疲れてないか?腹減ってないか?」


「チンピラにからまれたよりも、社長さんにアイしてもらった…ヨルのスモウのほうが…疲れました(笑)」


「そ、そうだったか?…すまんな。キミが可愛過ぎて張り切り過ぎたかもな?(笑)」


(あっれ?そうだったか〜?)


「良かったらまたシューマツに…僕のアイテをしてください。お金欲しいし…社長さん優しいから…」


(そうだった。飲み屋を出た時に金で雇った奴らから「依頼に失敗した。金は口座に返却しておく。標的には2度と関わらない」ってメールが来ていて…)




【昨夜の繁華街】

「くっそが!何が裏社会のエリートだ。小学生女子(ガキンチョ)に怪我させられて手を引くだと!?…おかげでオリビアから1日中、質問責めじゃねーか…」


唯一、メルルが契約解除通告を受ける前に彼女が妊娠していた事を知っているオリビアの口を封じる or 亡き者にしようとした計画が失敗に終わった雇われ社長は、夜の繁華街を練り歩くように居酒屋をハシゴしていた。そんな時…



「や、ヤメテください。僕は…まだ…あ、嫌だぁ!」


繁華街の外れの方にまで足を伸ばしていた社長は薄暗い路地の中で、若い女の悲鳴を聞いた


「金が欲しいんだろ?ちーっと相手してくれちゃら、気持ち良くして金もやる。って言ってるらろーがよ?」


(ん?20後半くらいか?酔っ払いのガイジンが黒人の…中学生くらいの女をホテルに連れ込もうとしているのか?警察を呼ぶか?)


ガタイも良く背も高い喧嘩の強そうなアメリカ系の男だが、完全に酔いつぶれる寸前で足はフラフラだった


(シラフで相手したら勝てる気しないが、今にもぶっ倒れそうなあの感じなら、黒人ガールの王子様になれそうだぜ♪)


雇われ社長は、無難に勝てそうな男に絡まれている中学生女子を助けることで、都合良く自分の相手をさせるメルルの代わりを作ろうと考えた


……………………………………………


「あわぁぁぁ、やられたぁぁぁ!覚えてやがれぇぇぇ、ちくしょうめぇぇぇぇ…」


黒人ガールにしつこくナンパしていた男(レオン)が黒人少女(ソアラ)の手首を掴んだのを合図に、雇われ社長の本気のパンチ1発で情けなく逃げて行った外国人男(レオン)




【ホテルでの朝】

…という訳で、カッコ良くナンパ兄ちゃんを撃退した雇われ社長さんは黒人ガールを優しい言葉でホテルに連れ込み、美味しい食事と温かい風呂を提供した


「あ、あの…タスケテもらってアリガトござます。僕…お礼できるモノがナニも無くて…」


……………………………………………


「そうか。父親(シングルファザー)と日本に出稼ぎに来て、交通事故で父親を失って東京で1人になってしまったのか…災難だったね」


雇われ社長さんは最初、ソアラと名乗った黒人少女(ソアラ)に対して紳士的な対応で済ませようと考えていたのだが…


「14歳の僕が、1人で生きてくのムズカしくて…ゴハンも1日1回なんです…」


よく見ると…ソアラという中学生くらいの少女は、かなり細めなスタイルをしている


(金が無いから満足に食べられないのだろうか?…そうだっ!都合良く相手をさせられたメルルとはもう会えないだろうな…代わりに金でこの子に夜の相手をさせれば…ゴクッ)


社長さんから見ても一目瞭然な安い服を数日間も着ていたであろう彼女(ソアラ)の服を、室内に備え付けられている洗濯機で洗って乾かしている間、バスローブに身体を包ませていたのだが…


「て、提案があるんだが…俺にキミの生活費を援助させてもらえないだろうか?」


「えっ!?社長さんが僕の生活費を?」


「キミの身の上に同情するのだが、もちろん後腐れ無いように「ギブ アンド テイク」を提案したいのだが…どうだろう?」


「ガシッ」


「ぼ、僕は…その…社長さんが優しくしてくれるなら…お願いシタイです…」


先に風呂を使わせてもらったソアラ。まだ若く、これから咲き誇りそうなその身体は、メルルという都合の良い女を失った社長の心を魅了した


「俺たちの関係は絶対に秘密。他言無用の仲と言うやつだ。キミが裏切らない限り、キミの生活費は俺が面倒見てあげるよ♬」


「社長さん❤︎…ゴメなさい。オフロお願いします。僕、待ってますから…」


「そ、そうだな…背中を流して欲しくもあるんだが…どうだい?」


「ゴメなさい。まだ、僕、恥ずかしいから…」


「分かった。数分待っててくれ」


社長は財布だけポケットに入れて風呂に向かった。仮に飯とシャワー代を踏み倒されて逃げられても別に構わないのだが…シャワーをしている間に財布を盗まれるのはシャレにならないからだ




社長はシャワーに入っている隙に、財布を盗まれる事を警戒していたが…黒人少女(ソアラ)の狙いは違った


彼女(ソアラ)はバッグの中から、口紅型のアイテムを取り出して本体を捻ると…


「これだね…パシュ…しゅーぅぅぅぅ…」


部屋には薄い霧のようなモノが立ち込めた。2-3分で透明化したので、ソアラが何かを散布したのをシャワーから出てきた社長は分からなかった



「俺は決してキミに手荒な真似はしないよ。寂しいオジサンの相手をしてくれたら、生活に困らないお金を提供するだけだからね」


「うん…相手が社長さんなら…」


「そうか♪…なら1つ頼みがあるんだが、良いかな?」


……………………………………………


「…着ました。コレで良いデスか?」

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「思った通りだ。可愛いよ、良く似合ってるね❤︎…これからキミは僕専用のメイドさんになるんだ。良いね?」


シャワーから出てきた社長は、趣味全開の裸の上に、メイド服のエプロンとホワイトブリム(メイド服のカチューシャの名前)だけをソアラに着させ、ベッドの上で向かい合わせに座った



「あの社長さん。僕からも…お願いイイですか?その…首筋や背中をナメられるの大好きなんです…昔からパパにしてもらってて…」


「ははは。なるほど!キミは実の父親もそういう関係だったんだね。なら、遠慮はしなくても良さそうだね…エッチだ、実にエッチだねキミの身体はっ!俺もキミの父親同様に興奮してきてしまったよっ!」


「社長さん。意外と遊んでる?…僕、パパ以外の人とは初めてだから…優しくして、ください…ね?」


ソアラの言葉(セリフ)から、彼女は彼女を男1人で育ててくれた実の父親と、中学生の時点で既に肉体関係になっていたと察した


「ソレを聞かされたら…優しく出来るかは自信が持てないな(笑)どぉれ、まずは首筋からたっぷり舐めてやるぞ♪」


実の父親と肉体関係に及んでいた外国人の黒人中学生少女と、身体の付き合いを持てることを確信した社長は暴走ギミに、ソアラの首筋や背中を舐め回した


……………………………………………


「はぁはぁ…やってやる。俺無しでは生きられないようになるまで…やってやるからなぁ…俺のキカン棒にフィットさせて…やるからなぁ……zuzuzu…ぐかぁ……」


「ガチャ」


ソアラの身体を舐めた社長が、電池が切れたかの様にベッドの上に倒れ込むと…隣りの部屋で待機していたリオンが入って来た


「悪かったなソアラ。そんな男に身体を舐められて気持ち悪かったろ?」


「んーん、隊長(キャプテン)の為なら僕は…このくらい全然平気!ですから…」


「ありがとうな。でも無理はしなくて良いからな…さて。カメラは…バッチリだな。良く撮れてるぜ、依頼は完了したようなもんだな」


リオンはソアラに右手を伸ばした。「ガシッ」彼女はその手を両手で握り返した。無言の挨拶が行われた



こうして、ソアラの全身に塗られた睡眠薬を直接舐めとっている社長の姿は、バッチリとカメラに納められた


ついでに、仰向けに押し倒されたソアラに馬乗りになって身体を動かす社長の姿も撮影された


カメラを社長の身体の背後に固定し、カメラに映らないように社長の身体を揺らすリオン。後撮りしたリオンにくすぐられるソアラの悶え声を合成したこの映像は、誰が見ても無理やり社長に抱かれる黒人少女(ソアラ)の姿にしか見えないだろう



「ふはHAHAHA(笑)ソアラよ、朝までその間男に添い寝してやると良いぞ!リオンはワラワがベッタリと寄り添ってやるからの、心配するでないぞ!ふはHAHAHA♪」


「隊長(キャプテン)の初めてを奪ったら、スナイプしますから…ね!」


リオンの背中に張り付いていたメイビーが「リオンの事は心配するな」と言わんばかりにソアラを挑発した。感情表現が控えめな彼女(ソアラ)の目にも、静かに殺意が芽生えていた


「こらこら。揉めるんじゃない2人とも…ソアラ、朝まで嫌な思いをさせてしまうな。俺たちは隣りの部屋に待機してるから、ナニかあったらスグに呼んでくれ。秒で駆けつけるからなっ!」


「隊長(キャプテン)…イエスサー♪」


証拠映像を撮影し終えたリオンは、メイビーを連れて隣の部屋へと戻って行った


……………………………………………


「それじゃ社長さん。また電話しますから、お金用意してマテテください…ね♪」


「お、おう…待っているよ」


社長はソアラと別れて歩き出した。シャワーを済ませて部屋に戻ると、彼女は逃げ出したりせずにベッドの上で待っていた


合体OKなのだ!と確信した社長は、自分の趣味である【裸メイドエプロン姿】を要求したが、彼女はそれに応えてくれた。若い彼女の黒い肌を、最高にハイな気分で味わっていたのだが…


何故かソコから先の記憶が無く朝になり、彼女に起こされてホテルを後にした


「疲れてたのか?…まぁ良い。連絡先は交換したんだ。次こそは忘れられない程に、俺のキカン棒を彼女の身体に刻み込めば良いさ♬」


社長は、身の拠り所の無い黒人中学生少女(ソアラ)と確かな肉体関係を持つことに成功した、と考えていた。何故か今回は、彼女と合体(ドッキング)した記憶が無いのだが、ソアラには頼るべき相手が自分しか居ないのだから、再び彼女と合体するのは容易だと考えていたのだが…




【事務所】

「社長。今までご苦労様でした。ですが、所属ライバーに手を出しあまつさえ妊娠させ、偽って契約解除させた罪は許されるモノではありません。本日付けで貴方を解雇しますっ!!」


「な、ナニを言っているんだオリビア!?」


オリビアに呼び出された社長は、ソアラという性玩具を手に入れてルンルン気分で出社したのだが…


「社長…まさか貴方が所属ライバーに手を出すとは思いませんでした。失望です」


社長席に座るオリビアから解雇通告をされた。彼女の横にはオリビアの旧友であるスノウの姿もあり、社長室でのやり取りはライブ配信されていた


「社長っ!よくもメルルをっ!絶対に許さないわっ!!」


「てんめぇ!上が腐っちまったら組織が成り立たないだろうがっ!バルハラに旅立つ覚悟はあるんだろうなぁ!!」


事情を聞かされていたロミータとイーグルは、社長の顔を見た途端に怒りが込み上げていた


社長室のライブ配信と同時接続している所属全ライバーは、蒼空メルルの突然の契約解除の本当の理由を知り、社長に対し殺意の眼光を向けていた



「し、しかしだな。オリビアの言っている事は単なる絵空事かも知れんぞ?」


「ソレに関しては、とある探偵事務所からこんなVTRが届けられました…ポチっ」


ソアラがリモコンのスィッチを入れると、壁に掛けられている50インチのモニターに、全裸の社長が黒人少女に馬乗りなって身体を揺さぶっている姿が映し出された



「んなっ!?ば、馬鹿な…この女を抱いた記憶が無いんだっ!信じてくれ、本当なんだ!」


「ラブホのベッドの上で、中学生くらいの女の子に乗っかって、こんなに激しく腰を振っていてナニが違うと言うんですか!?…蹴り飛ばしますよっ!」


普段、人の前に出て強くモノを言わない火影も怒りが抑えられないようだ


「ひいっ!俺が抜けたらコンプリの経営は…」


「もう貴方にそんな心配をしてもらう必要は無くなりました。我々は最高の営業コンサルタントを秘書に招き入れましたので♪入って来てください…皆さん、彼女は大手IT企業の女社長をしています【竹取 理々花】さんです」


「Σ( ꒪□꒪)ええぇぇぇっ!?お母さん!?」


「皆さん初めまして。こちらでお世話になっている【竹取亜沙美】…ライバー名は【浅宮アミ】をしている彼女の母親です♪」



亜沙美は腹の底から驚いていた!

同居している先輩配信者であるロミータとの同期であるメルルの突然の引退。その本当の理由を知らされてビックリしていたのも束の間、部屋の奥から現れた半年以上会えていなかった母親が、東京の事務所内に現れたのだから



「退職金です!コレを持ってサッサと出ていってください!貴方の荷物は後で貴方のマンションに送りますから」


「……くっ、ちくしょうがぁ!せいぜい頑張りやがれっ!」


社長だった男は、数十枚のお札が入った封筒をオリビアから叩き付けられ、ソレを持ってコンプリの事務所から去っていった



「さあメルル。私たちと一緒にもう1度、配信者として頑張って行きましょう、ね?」


「う、ううぅぅぅぅ。有難うございます!…で、でも…僕はもう蒼空の中を生きられません…僕は明日から…夜空メルルで頑張ります」


「…分かったわ。一緒に頑張りましょうね♪」


配信者として、視聴者(リスナー)に黙って異性と肉体関係を持ち、子供まで作ってしまった自分が今までのままで復帰するのは有り得ない!と考えたメルルは、自分の名前を少し変え新たな気持ちと覚悟で配信者として蘇る事を決意した!




続く


次回 最終回です


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