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第27話

 久しぶりにベッドでゆっくり眠れて魔力も全快……調子も問題なし……


「よしっ、がんばろう」


「きゅいっ!」


「あっ、カペラはまた隠れててね?」


「きゅ~」


 不満そうなカペラを外套の中に隠して、私は外に出ます……昨日よりは減ったとはいえ、まだまだ多くの人が病気で苦しんでいる……


「アンナさん、おはようございます」


「あっ、クレサさんおはようございます」


「ゆっくり眠れましたか?」


「はいっ、ベッドで眠れたのは久しぶりなので熟睡できましたっ!」


「それはよかったです……申し訳ありませんが、今日も治療をお願いします」


「はいっ、がんばります」


 昨日は教会の外に寝かされてる人を中心に治療しましたが、今日は教会の中や各家の中で寝込んでる人たちの治療です……街全体が病気でダウンしてるため、かなりの人数ですが……



「こちらの方たちからお願いします」


「わかりました《高位浄化》」


 さて、それからは激戦です……1人治療をしたら直ぐに次、次へと移動しながら浄化魔法をかけ続けます……体内にある悪い菌を消し去るイメージを強く持ち何度も何度も魔法を行使します……


「《高位浄化》」


「大丈夫ですか?」


「あっ、はい、魔力にはまだまだ余裕があります」


「それも心配ですが、体力は……」


「え?あっ……」


 気づくと私は汗だくになっていました……時間はわかりませんが、日が高くなってることからだいぶ時間が経っていることがわかりました……


「結構集中しちゃってました」


「一度休んでください。あなたが倒れてしまったら元も子もありませんから」


「あっ、はい……そうですね……」


 クレサさんが用意してくれた椅子に座って休憩させて貰い、水を受け取ってそれを飲みます……あたりを見ればまだ苦しそうな人が多くいる一方、間違いなく治った人達もいます……ただ、病気が治っても直ぐに元気に動けるわけじゃないので、多くの人は寝込んだままですが……


「アンナ」


「あっ、旅人様、おはようございます」


「あぁ、おはよう。調子はどうだ?」


「はい、ばっちりですっ」


「そうか、まぁ、関わってしまったものは仕方ないしな……とにかく倒れないよには注意しろよ?」


「えぇ、クレサさんにも言われました……気を付けます」


「そうか……そういえば、少しめんどそうなことになるかもしれない」


「え?な、なんですか……」


「いや、どうもな……」


「あっ、聖女様っ!」


「ふぇっ!?」


 そう声をかけてきたのは昨日治療した男の子でした……


「おおっ、聖女様、聖女様だっ」

「お願いします聖女様っ!うちの子を治してくださいっ」

「聖女様っ!聖女様っ!」


「えっ、えっえっ!?な、なんですか、これ?聖女ってなにぃっ!?」


「アンナこっちへ」


「きゃっ!」


「あっ!聖女様っ!待ってくださいっ!!」



 私は旅人様にお姫様抱っこされてその場を後にするのでした……ふぁぁ~♡ 抱っこされちゃった、きゃ~~~///


「降ろすぞ」


「ふぇ?あっ、は、はいっ!」


「はぁ、面倒だな……」


「あの、さっきのって?」


「まぁ、この絶望的な状況にあらわれた希望ってことで、どうやらシスター達が聖女があらわれたって騒いだらしいな……そこに実際治療を受けた人間も大量にいることで、教会から離れた場所まで話しが回ったらしい……」


「えっと……じゃあ、さっきの人達は私の話を聴いて教会に訪れたわけですか?」


「まぁ、教会にいたやつもいるだろうが、外から来た連中も多いだろうな」


「そんなぁ……」


「一応シスタークレサには注意しておいたがな……そもそも騒いだのは彼女だからな」


「え?クレサさんが?」


「あぁ、まぁ彼女は敬虔な信徒みたいだからな……今の現状でお前を神の御使いだと思ったらしいな……正直、1人が騒ぐだけならまぁ、そこまでと思ったが、この場には人が多いからな直ぐに話がひろがった…そのうえ動けるようになった人間が家にもどって話しを広めた……その結果が今だな」


「そんなぁ……私は聖女なんかじゃないですよ?」


「そんなことわかっている……大体本物の聖女は聖国にいるしな」


「あっ、本物の聖女様はいるんですね」


「あぁ、いる……まぁ、それは置いておくとしてだ……ここから一気に教会に人が増えるだろう……トラブルも間違いなく起きる……」


「ど、どうしましょう?」


「まぁ、治療の邪魔になるやつは放りだす。基本的には俺が処理するからアンナは治療に集中しろ」


「あっ、ありがとうございます……ただ、その、出来れば酷いことは……」


「わかっている……はぁ……お前は変わってるな」


「え?そ、そうですか……?」


 ど、どういうことだろう?私どこか変かな??き、嫌われたわけじゃないよね???


「普通なら、人間を恨んでもおかしくないのにな……」


「え?あっ、それは……そうかもしれませんけど……わ、私には恨みきれないというか……この国の人には関係ないですし」


「まぁ、そうかもしれないがな……いや、いい、とりあえず治療をしよう……騒ぎも広がってきてるしな」


「あっ、そうですね……1人でも多くの人を治さなと」


「あぁ、それと重傷者から順に治療しろ、昨日みたいに乱雑に治療するよりはいいだろうし、他の連中にも重傷者優先と言えば納得はさせられるだろう」


「あっ、確かにそうですね……」


「とりあえず、戻って治療を開始するぞ」


「はいっ」



「あっ、聖女様っ」


「シスタークレサ、聖女と呼ぶなと言ったはずですが?」


「あっ、ご、ごめんなさい……騒ぎにしてしまって」


「い、いえ……あ、あの、とにかく重症の方から治療をしたいのですが」


「え?あっ、そ、そうですね……えっと、こちらです」


 私が移動をすると、すぐに私に気づいた人達が集まって治してほしいって言ってくる……でも、旅人様が彼らを制してくれてどうにか私は治療に専念することができました……


「アンナさん、次はこちらの方をお願いします」


「わかりましたっ!」



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