あれからどのぐらい経ったでしょう……気づくと、会議が終わったらしく旅人様やマグナスさんたちも戻ってきました。
「あっ、お帰りなさい旅人様」
「あぁ」
「どうなりましたか?」
「あぁ……とにかくフレイムワイバーンの動向を確認してからだな……数日は調査に費やすから出立はおくれる……食材に関してはここ数日で狩った魔物の肉を使うことになった」
「あっ、なるほど……魔物のお肉美味しいですもんね」
「わぁ……アンナちゃん、意外とワイルドなのね」
「あれ、ラニィさん?」
「お邪魔するわね」
「いえ、どうしたんですか?」
流石に何度も優しくしてくれて話しをしてくれるラニィさんには警戒心がだいぶ薄れたから、普通に話せるようになりました。
「あぁ、数日ここでキャンプになるじゃない?せっかくだからもっと交流しておこうかなって」
「なるほどぉ」
「ここいいかしら?」
「は、はいっ、どうぞ」
「あぁ、安心して、あのバカは縛ってあるから、カルナたちが見張ってくれてるしね」
「そ、そうですか……あ、あの、気になってたんですけど」
「なぁに?」
「マグナスさんって、ラニィさんの、その……恋人、だったり、するんですか?」
「あら?どうしてそう思ったの?」
「えっと……お二人とも、その、遠慮がないので、信頼しあってるのかなって……」
「なるほどねぇ……んー正直いうとねぇ……恋人ではないの、ただ私はそうなれたらぁって思ってるんだけど……あのバカ、女に弱いからさ……隙を見せるとすぐにナンパするし……だから……こっちもつい勢い任せで殴ってね……はぁ……」
「あぅ、そうなんですね……えっと、私も、その原因が……」
「いやいや、アンナちゃんは被害者だから、誰がどう見たって彼とお似合いなのにねぇ」
「はぅっ///」
「ふふふ、赤くなって可愛いなー」
「あぅう/// そ、それに私は旅人様は、その、そういう関係じゃ///」
「ふふ、アンナちゃんも一緒だねぇ~まぁ、追及するのは止めておいてあげよう」
「あ、ありがとうございます?」
「うんうん、さて、話しを戻すけど、アンナちゃんは魔物のお肉平気なんだね?」
「え?はい、旅をしてる間は、旅人様が魔物を倒して料理してくれたので」
「なるほどねぇ…」
「あ、あれ?魔物のお肉、食べないんですか??」
「なるほどなるほど、純粋なんだねぇ……それだけ、彼のことを信頼してるわけかぁ」
「??」
「あぁ、ごめんね、普通は魔物のお肉って毒素があったりするから食べないのが一般的なんだよ」
「ふぇ?そうなんですか??でも、私も旅人様も毒になったことないですよ?」
「それは、彼の処理の仕方が完璧なんでしょうね」
「なるほど」
「んーまぁ、もう慣れちゃってるなら今更、言ったところで気にならないか……あ、でも彼が作った魔物肉以外は食べちゃダメだよ?」
「はい、もちろですっ」
「それにしても……すごいね」
「え?」
「いや、旅の途中で食べてたわけでしょ?普通は専門の調理道具とか毒を抜くための道具とかいろいろ必要なはずなんだけど……」
「そうなんですか?んーとくになにか使ってる覚えはないんですけど……ま、まぁ……私はお料理できないので、火を見てるぐらいしか出来ないんですけど……」
「そうなのねぇ……まぁ、私もお料理はちょっと……もっぱらカルナの役割で……」
「うぅ……」
「はぁ……」
女子力のなさに2人で絶望感が……で、でも……私は非力なだけだしっ!お料理はできるはずだしっ!前世の記憶はあるしっ!
「んーとにかくしばらくは魔物肉が中心だねぇ……でも、アンナちゃんの話しを聞いて希望が見えたよっ」
「え?なんでですか?」
「だって、彼にお願いすれば毒の処理はしてもらえるわけでしょ?」
「あぁ、なるほど、確かにそうですね」
「えぇ……気合を入れて毒を受け入れる必要がないとわかるだけでもよかったわ……」
「そうですね……そういえば、普段もみなさんは携帯食が多いですよね?」
「そりゃねぇ、というか毎度毎度お料理できるそっちが羨ましいよぉ……皆羨ましがってるのしってる?」
「い、いえ、しらないです……」
「まぁ、あとは一部はアンナちゃんの手料理じゃないかって思ってるからだけどね」
「私は、お料理できません……」
「うん、あはは……まぁ、可愛い女の子がお料理してると思ったら期待しちゃうのよ男ってやつはね」
「なるほど?」
「とにかく、食事の心配がなくなっただけでもよかったわ……さって……そろそろ戻るね」
「あ、はい、えっと、ありがとうございました」
「ん?別にお礼言われることじゃないけど」
「えっと、マグナスさんのこととか色々?」
「ふふ、まぁ、そっか……さて、そろそろマグナスが抜け出しそうだから、また縛ってくるね♪」
「はい!」
そうして、ラニィさんは戻っていきました……
「終わったか」
「あ、はいっ……えっと、魔物のお肉を」
「あぁ、毒抜きだろ、任せておけ」
「毒なんてあったんですね、知りませんでした」
「あぁ、まぁ俺はちょっと普通とは違う方法を使ってるからな、というかなんならアンナのほうが俺より上手くできると思うぞ」
「え?」
「なんなら、試してみるか?浄化魔法をかけてやればいいだけだ」
「それで、いいんですか?」
「あぁ、魔物の毒は浄化魔法で消し去れるからな」
「なるほど……あれ?でも、旅人様は神聖魔法使えませんよね?」
「あぁ、だから特殊な方法だ……んーどうする、やってみるか?」
「は、はいっ!やりますっ!私も出来ることがあるならお手伝いしたいですっ!」
「わかった、じゃあ行くか」
「はいっ!」
旅人様と一緒に商人さんたちの元に向い、毒抜きの手伝いをさせて貰うことになりました。
「いやぁ、助かります……まさか、浄化魔法まで使えるなんて」
「えっと、がんばりますっ!」
私はみなさんに見られながら、緊張しつつも浄化魔法をつかって肉の毒を消し去るのでした。