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第66話

「ふぇ?こ、これって……」


「アンナ、何をした?」


「えっと、わ、わからないです……ただ、元気になってってお祈りしたんですけど……」


 そういうと旅人様はお馬さんを見てから再び私を見ます……するとなにやら考えているようです……


「正直驚きと戸惑いしかないが……可能性がある……」


「可能性??」


「あぁ、4つ目の天啓が覚醒した可能性……たぶん、今までのパターンを考えたらそれだとおもう」


「えっと、天啓って4つも持てるんですか?」


「あぁ、世界で確認されてる中で一番多いのは4つの天啓を持ってる人間だ……」


「じゃあ、私も4つの天啓が?」


「多分そうだろうな……」


「私、まだ力、あったんですね……」


「それは俺も驚いてるよ……ただ、天啓を得たとしたら何を使えるかわかるんじゃないか?」


「えっと……はい、や、やってみますっ……」


 私の中にある力を感じるように頑張ってみます……そうすると、使える魔法が頭に浮かんできました……


「わ、わかりましたっ」


「そうか、なにができそうだ?」


「えっと、や、やってみますっ!」


 さっきは、なんとなくで使ったから完全じゃなかったし……私はお馬さんに手をかざし、魔法を発動させる。


「行きますっ!《体力増加》」


 私の魔力がお馬さんに流れるのがわかります……するとさっきより元気に走っています…


「これは、驚いたな……付与魔法か」


「付与魔法、ですか?」


「あぁ、人や物なんかに魔法の力を与えることができる魔法だ……噂程度だがな、もってる人間は国でも重宝されるって聞いたことがある……これまでの力を考えればその付与魔法も破格の性能をしてる可能性が高い……実際、疲れてた馬がここまで体力が増えてるのを考えるとな……」


「そう、なんですね……」


「他にもなにか付与はできそうか?」


「えっと、はい……えっと……あっ!《速度増加》っていうのが役に立ちそうです」


「いいな、使ってくれ」


「はいっ!行きますっ《速度増加》」


 再び魔力がお馬さんに流れると、さっきよりもずっと速い速度で走りだしました!


「わぁ、は、はやいですっ……キャッ!」


「ほれ、捕まってろ」


「あっ、ありがとうございます///」


 旅人様に抱きかかえてもらって嬉しいですが、恥ずかしくもありつつ……どうにか後方を見ると、どんどん騎士の馬を引き離していくのが見えます。


「す、すごい」


「そうだな……やっぱり規格外の力だな……」


「や、役にたちましたか?」


「あぁ、最高だっ!このまま、引き離すぞっ!」


「はいっ」


 それから、走る馬車はぐんぐんと騎士たちを置き去りにして進み、すっかり見えなくなってしまいました……ただ、ただ、今回のことで予想外なことがあるとすれば……


「うぷ……きもちわるぃ……」


 そう、あまりにも速い速度で動いてますし、地面は舗装されてるわけでもないので揺れが激しく、すっかり酔ってしまったのです……


「大丈夫……じゃ、ないな……もう少ししたら流石に休憩をとるから、もう少し頑張ってくれ」


「は、はぃぃ……」


 リバースだけは出来ません……旅人様の前でそれだけは……とにかく必死に耐えていると、いつの間にやら馬車はとまっていました……


「大丈夫か?」


「あ、あぅぅ……きもちわるい……」


「ほら、水だ」


「あ、ありがとう、ござましゅ……」


 旅人様からもらった水を飲んで一息つきました……どうにかリバースすることだけはなかったのは安心です……


「とりあえず、ここで一度休もうか」


「はい……ごめんなさい」


「気にするな、完全に撒いたみたいだしな……少し長めにやすんでも問題ないだろう……それに、付与魔法があれば予定より半分程度の時間で国境にいけそうだな」


「そんなに……」


「あぁ、ただな……スピードを出しすぎると、アンナがダウンしちゃうからな……だからここからは速度増加はつかわない方向でいこう……もし追いつかれるようなら使ってくれ、基本的には体力増加をメインにつかおう」


「わ、わかりました……あっ、そういえばカペラは?」


「きゅ、きゅぃぃ……」


「だ、大丈夫?」


 私の外套から出てきたカペラもすっかり目を回していました……


「きゃーっ!カペラぁーーー」


 旅人様から水をもらい、カペラにも飲ませました……どうにか回復したカペラは水を一杯飲んで満足したようで、そのまま眠ってしまいました……


「ごめんねぇ……疲れたね……」


「カペラも問題はないようだな?」


「は、はい……今は大丈夫みたいです……」


「そうか……すっかり日も暮れてきたし、今日はここで野営だな」


「騎士は大丈夫でしょうか?」


「あぁ、あの速度を考えても直ぐには追ってこれないだろうし……あちらも休憩が必要になるから」


「そうですか……なら、ゆっくりできそうですね……」


「あぁ……とりあえず、食事の準備をしようか」


「はい……」


 それからは、旅人様特製のお料理を食べることにしました……あぁ、久しぶりの手料理、とっても美味しいです♪


「きゅぃ」


「あっ、カペラ起きた?はい、ご飯だよー」


「きゅぃいl~」


「カペラもすっかり旅人様のご飯がお気に入りですね」


「まぁ、それなら嬉しい限りだがな、未だに撫でさせてはくれないが」


「あぅ、たしかにそれは……」


 そうなのです、ここまで結構長い間、一緒にいるのに未だにカペラは旅人様に身体を触らせません……触ろうとすれば未だに威嚇しちゃうのです……


「さて、食べ終わったら今日はもう寝てしまえ」


「はい…えっと、お片づけは?」


「俺がやっておく、気にせずに休め」


 旅人様はそういって、私達は用意していただいたテントでゆっくり眠ることができたのです……


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