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第114話 閑話 やけ酒芽依の美味しい時間


魎皇様リクエス作品

ヤケ酒する芽依とそれに付き合うシャルドネと、芽依を慰めるメディさん。

大変お待たせ致しました。




 既に深夜に近い時間、満月の今日はキラキラと輝く月の雫をたっぷりと溜め込み幸福の祝福を授けてくれる夜。

 そんな祝福は月光を浴びる人に授けられる為、芽依も自分の庭の一角に可愛らしい妖精と満月、キラキラと光るエフェクトのような物が描かれた敷物を敷いてまったりと座っている。


 今日の参加者は芽依にメディトーク、そして珍しいシャルドネだ。

 こんな素敵な夜なのに、芽依は半眼になり足元には様々な種類の空き瓶が転がっている。

 その半数以上が芽依の作った葡萄酒で今の芽依はだいぶ酔っていた。


 この間のマール公国での話の後、芽依はパーシヴァルがリルワーマを寝室に呼んでいたらしいと風の噂で聞いていた。

 勿論好みはそれぞれでその事に口出しなどしないが、カテリーデンで見た白の奴隷を気に入り、芽依を迎えに来た我が家の大事なハストゥーレをパーシヴァルが、内密に寝室に来るようにと声を掛けていたらしい。


「あんっっっの!クソ野郎が!!」


 ダン!!と瓶を置いた芽依にメディトークははいはい、と頭を撫でる。

 美しい森の妖精は、シャンパンゴールドの酒を飲み、芽依に微笑みかけた。


「あの者は小さな頃からわがままが叶う位置にいましたからね、言うこと全てが許されると思っているみたいです……かといって、貴方の物であるハストゥーレ君を無断で呼び出すのは頂けませんがね」


 今回、他国の殿下である為と芽依に聞かなくてはと思っていたハストゥーレは、芽依が目を離した間に連れて行かれたようだ。

 ほぼ無理やり2人がかりで部屋に連れ込まれるギリギリの所でシャルドネに会い助けられたハストゥーレ。


 ハストゥーレは今までの仕事内容にそういったものは含まれておらず、顔を青ざめさせていたらしい。


 流石にブチ切れた芽依が箱庭から巨大な南瓜を取り出しぶん投げ頭に直撃させてもアリステアは怒ることは無かった。


「うちのハス君を変な目でみやがってぇぇ」


 グイッ!と男らしく酒を煽る芽依の頭をまた撫でるメディトークだが、話を聞いた時メディトークもまるで雪の妖精のように機嫌が氷点下に下がっていた。


「なんなんでしょうあの人、本当に話を聞いていなぁい」


「そうですね、今回の訪問も半ば国の方が厄介払いな感じによこしてきましたし」


「面倒事を……押し付けられた感じではないですかぁ……」


 むぅ……とイラつきながらも酔いが回っている芽依はシャルドネを見る。


「シャルドネさん、シャルドネさんも気を付けて下さいね……あの人妖精好きかもしれません……」


「妖精好き……それは考えていませんでしたね」


「ハス君だけじゃなく綺麗なシャルドネさんまで手を出そうなんて………………なんでやつ!!」


『出されてねぇからな』


 ぐるるる……とまるで獣なら威嚇しそうな酔っ払い芽依に、シャルドネは優しく微笑んだ。

 そんなシャルドネに気付いた芽依はポスリと倒れ込みシャルドネの膝に頭を乗せる。


「おや」


『おいメイ』


「………………なぁんで奴隷とかいるんですかねぇ……ハス君の存在を否定したい訳じゃないんですけどハス君だって生まれて自由に生きる権利が……あってもいいのに……」


「そうですね、私達には普通でも貴方にとっては常識の外側にある事なのですよね……それでも理解しようとしてくれる貴方に敬意を」


 頭を撫でてくれるシャルドネを見上げてほにゃりと笑い、サラリとおちるハストゥーレとは違う緑の髪を手に取った。

 シャラシャラと髪飾りが音を奏でて両手の指に絡ませ笑う芽依を見下ろすシャルドネは幸せそうに美しく微笑む。


『…………相変わらず人たらしというか……おい、セクハラやめろ』


 重なるシャルドネの布の服はフワフワと風に揺れ足が見えていた。

 頭を乗せている膝も少し素肌が出ていて頬に触れている。

 艶めかしく白いシャルドネの足は柔らかく、吸い付くような肌触りて、酔っ払い芽依は布の中に手を入れふくらはぎを撫でていた。


「ツルスベ……いい匂い……このまま抱っこして寝たい……」


「寝ますか?」


「勿体ないから、だめ…………あむー」


『齧るな!』


 撫でながら足に齧り付く芽依を抱えて持ち上げると、プラン……と手足がユラユラしているが光のない眼差しはシャルドネをロックオンしている。


「貴方の酔い方は可愛らしいですね」


『これを可愛らしいで済ますお前はすげぇな……フェンネルは叫んでたっつーのに』


「おや、フェンネルがですか?」


『噛みちぎる勢いだったからな……歯型すげぇぞ』


「それはまた……」


 苦情するシャルドネだが、素直に手を伸ばす芽依の手に指先を当てると、キュッと握ってくる。


「…………シャルドネさーんだっこー」


「ふふ、いいですよ」


「やったー……いい匂いー……美味しい」


『喰うな』


 風に揺れめくれる肩にあむっと歯を立てる芽依。

 痛みは無いらしく少し擽ったいのか肩を竦めて笑っている。

 あむあむあむあむ…………


「…………フェンネルさんもシャルドネさんも美味しいなぁ」


「メディトークはどうですか?」


「………………メディさんは……………………硬い」


「ふっ……」


『そりゃそうだろ』


「………………ハス君はどんな味かなぁ」


『やめろよ、お前が言ったら丸ごとどうぞとか言いそうだ』


「……………………今度聞くね」


「ふふ、ハストゥーレ君はいい主人を持ちましたね」


『マジかよ、お前までぶっ壊れんな……酔ってんのか?』



 深夜、既に出来上がっている芽依に付き合わされている2人は、変わらず朝から仕事をしていて、二日酔いの芽依はそんな2人に朝から土下座をして平謝りを繰り返えすのだった。






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