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第22話【夏休み企画 格付けチェック編】

「あ、二人とも来たね」


 私と透夜は集合時間の十分前にスタジオに到着した。

 結唯ちゃん達は既にスタジオに居て三人で楽しそうに会話をしていた。

 すると結唯ちゃんが私の所に来て透夜から遠ざけてきた。


「それでそれで? 昨日はどうだったのかな」

「そ、それが昨日の記憶が殆どなくて……私お店で変な事したりしてないよね?」

「えー、記憶ないの~つまんないの~。うーん、お店では透夜くんの肩にもたれかかって眠ったり透夜くんの腕に抱き着いて離れなかったりしてたね」

「ふぅ……それくらいなら良かった……」

「因みに私たちは三人とも透夜くんにお家でお楽しみにねって言っておいたから家ではどうだったのかなぁ~」


 そう言ってニヤニヤと笑みを浮かべる結唯ちゃん。


「二人ともー。そろそろ始めるよ~」


 円華ちゃんが手招きをしながら呼んできた。


「今行くね。まぁあの感じだと透夜くんから手を出すことはなさそうだね。だから秋奈ちゃんから攻めるしかないよ」


 そう言って私の肩をポンと叩き結唯ちゃんは円華ちゃん達の元へ向かった。





「よし! それじゃあ配信開始しますよ」


 夏休み企画もついに最終日。俺は配信開始ボタンを押して最後の企画を開始した。


「遂に今日で夏休み企画最終日となりました。最終日に行うのは格付けチェックです! 今回は皆さん最初のランクはSから始まり、間違える度にワンランク降格していき、最終ランクに応じて今日の夕飯が決まります。夕飯は以下の通りになりますっと」


 俺は予め用意していた表を配信に載せた。


【Sランク:高級寿司or高級焼肉】

【Aランク:回転寿司】

【Bランク:百合さんの手作り料理】

【Cランク:コンビニ弁当】

【Dランク:もやし炒めと白米】


:意外とBランク良いかも。

:Bランク結構価値高いぞ。

:百合ちゃんの手作り料理とかSSランクやろ。


「えーっと因みに百合さん自信がBランクに設定しましたね。それでは自己紹介してもらいましょう! まずは雫月から」

「はい! 超一流配信者として有名な雫月ならSランクは余裕ですね!」


:もやしはちゃんと買っておいたか雫月。

:良くてCランクだろうな。


「得意なジャンルは食べ物です! 食べるの好きです!」

「えーっとどうやら食べ物ならなんでもこいとの事です。続いてリサさん」

「はい! 私もSランクは余裕だと思うのでね。今日は美味しいお寿司を食べに行きたいと思います! 私は匂いに結構敏感なので匂いで判別できるものならめちゃくちゃ自信あります!」

「それでは続いてリンさん」

「はーい、皆で一緒に夕飯を食べれたらなと思います! う~ん、私は特にこれって得意なジャンルは無いかなぁ~けど頑張ります! それじゃあ百合ちゃん」

「Bランクだけはならないように頑張ります! 私は耳が良いので音質とかの違いには自信あります!」


:Bランクになったら自分の手料理食べることになるからな。

:いつものご飯と変わらないの草。


「それで予め皆さんにはアンケートをしていまして、皆さんに共通しているのはアニメ関連が好き、VTuberが好きという事ですね。それでは早速一問目の問題に参りましょう! 因みに簡単な問題から順番に出していきます。一問目のジャンルはこちら」


 そう言って俺はお題と写真を配信に載せた。


【お寿司】


「まずは簡単な問題からですね。一つは回転寿司屋の一貫三百円の大トロ。もう一つは某高級寿司屋の一貫千二百円の大トロです」

「それは分かるよ~。だって九百円も違うだよ?」

「まぁまぁ最初から難しい問題はね?」

「それでは皆さん目隠しをしてください。俺が一人ずつ食べさせていくので少し待っててください」


 四人は目の間に置かれた目隠しをした。


「それではまずはAの大トロから」


 そして俺は一人ずつ口に大トロを入れて言った。


「うん! 美味しい!」

「え、もう企画やめてみんなでお寿司食べながら雑談配信にしようよ」

「ダメです。それじゃあ次はBの大トロです」

「え!? 何コレ⁉ 口に入れた瞬間に溶けてなくなったんだけど⁉」


 俺も予め一貫ずつ食べているけれど、円華さんの言う通りに本当に口に入れた瞬間に無くなった。

 これは流石に分かるだろうと思い一番最初の問題にした。


「これは流石に皆分かるよね~」

「それでは皆さん目の前にある札を一斉に上げてください。どうぞ」


雨音雫月:B

沢村リサ:B

早乙女百合:B

柊リン:B


「全員Bという事で正解は……Bの大トロです。まぁ流石に皆さん分かりましたよね」

「これは分かりやすすぎるよ。一瞬で分かっちゃったもん」


:大トロの写真見てたら寿司食べたくなってきた。

:それに加え美味しそうに食べられたら尚更。


「それじゃあ二問目のお題はこちら」


【ネックレス】


「こちら値段が高くて実物は流石に用意できなかったので画像のみで当てていただきたいと思います。片方のネックレスは三千円。もう片方のネックレスはお値段約五十万円になります」


 そう言って俺は二つの画像を同時に載せた。


「え~、なんかAのネックレスは宝石が大きくて高級感が凄いあるけどBの宝石の方が価値があるかもしれないもんなぁ~」

「因みに相談とかは無しですからねぇー」

「えーケチぃ~」


:まぁ流石に無しだよな。

:それだと皆同じ結果になっちゃうしな。


「それじゃあ皆さん一斉に札を上げてください」


雨音雫月:B

沢村リサ:A

早乙女百合:A

柊リン:B


「因みにリサさんは何でBを選んだんですか?」

「Aのネックレスの方があきらかに宝石が大きいから逆にBのネックレスの方が高いと皆考えるかな三葉君が思ってるのかなって思ってAにしました」

「つまり分からなかったから俺の考えを読もうとしたという事ですね」

「まぁー悪く言えば?」

「さて、その思考は合っているのでしょうか、正解はこちらです」


【B】


「ということで正解は雫月とリンさんですね。不正解のリサさんと百合さんはAランクに降格になります」

「えー三葉くん絶対そうすると思ったのに~」


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