部屋の片隅

窓の隙間から香る金木犀

まだ聴こえる

ぎこちない彼のギターの音

寄り添い

語り合い

永遠だと信じた

落陽し

天に星が散りばめられても

いつまでも消えないギターの音

小さな部屋でいい

ふたりの秘密基地みたいで

下手でもいい

彼のギターが奏でる“今”の音が好き

金木犀が運ぶ秋の香り

このふたつさえあればいい

秋の儚さが居心地いい

わたしのマグカップのココアが

冷めても夢は覚めない