✾人魚の眷属
寄せてはかえる
寄せてはかえる
追いかけては遠ざかり
繰り返し 繰り返し 鼓膜に刻む
人魚の泡を
人魚の泡を
いつか聴いたあの歌は
人魚の残した形見だろうか
ゆらゆら ゆらゆら 揺蕩い
鼓膜のに響く水の音
魅了という名の呪いの果て
僕らは月の輝く夜の海にかえる
“水底で骨になり。水底で、青い夢をみる”
足を海水に浸せば
僕らは魚になる
僕らは泡になる
ゆらゆら ゆらゆら 彷徨い
僕らは月の輝く夜の海にかえる
僕らは水底から生まれ
僕らは水底に帰る
――眠ろう眠ろう現の想い出とともに
――眠ろう眠ろういつか、ふたたび目覚め、陽を浴びる日まで