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第34話:体育祭②

 ここから先はダイジェストでお送りします。


「まーちゃん!? 今100メートル走で、9.27秒って記録が出てたけど!?!?」

「えー、機械の故障じゃない? いくら私でも、そんなに速くは走れないよ」


「ぷぎゃっ」

「美穂ッ!?」

「……おぉ。マジで肘コレの時みたいに、ゴール手前でコケちゃったよ……」


「微居! 玉入れで岩を入れようとするのはやめろって!」

「止めるな絵井。岩は俺の全てだ」

「全てなの!? お前はそれでいいの!?」


「先輩! 二人三脚頑張りましょうね!」

「む? うむ(うおおお! 今なら古賀の耳の裏の匂いが嗅ぎ放題だッ!!)」


「ヒャッハー! ママ! 俺と一緒に来てくれよ!」

「ヒャハッ! 借り物競争ヒャい? 何て書いてあったんヒャい?」

「『一番ヒャッハーな人』ヒャよ!」

「ヒャハッ! それはアタシが行くしかヒャいねえ!」


「あさいくんあさいくーん」

「え? 何だい未央ちゃん」

「おひるいっしょにたべよー」

「あ、うん、いいよ」

「あさいくんのひざのうえのっていいー?」

「えっ!? ま、まあ、いいけど」

「……ともくんがまた幼女に目覚めようとしている」

「し、してないよ! い、言いがかりはよしてよッ!」

「未央ちゃん未央ちゃん、俺は智哉の兄貴なんだよ。何なら俺の膝の上乗るかい?」

「ごえんりょさせていただきます」

「HEEEEYYYY。あァァァんまりだァァアァ」


「美穂ー! 美穂ー! お父さん美穂のために、5時に起きてサンドイッチ作ったんだぞー! 一緒に食べよーなー!」

「…………勇斗くん」

「え? な、何だ?」

「私、勇斗くんのご家族と、お昼ご一緒してもいいかな?」

「えっ!? 俺は別に構わないけど……。お父さんはいいのか?」

「HEEEEYYYY。あァァァんまりだァァアァ」


「フッ、ではここで、私のチアリーディングをお見せしよう!」

スモックその格好でですか!? 企画モノのA〇みたいだからやめてくださいッ!」




 そして迎えた最終種目の騎馬戦。

 我が紅組は、まーちゃんが一騎当千の活躍を見せてくれたものの、一郎率いる白組も意外なチームワークを発揮し、点数は僅かに紅組がリードという結果になっていた。

 つまり、実質この騎馬戦で勝った組が優勝となる。

 ……ってか、今更だけど、一郎は先週転校してきたばかりなのに、団長に抜擢されたのか?

 やけに弟達からも慕われてるし、何気にカリスマ性あるのかな……?


「ねえねえ、ともくんともくん」

「え? 何、まーちゃん」

「ちょっときて」

「え? え?」


 そう言うなりまーちゃんは、いつもみたいに僕の左腕をグイグイ引っ張ってどこかに連れていこうとした。

 例によってたわわわわわなおっぷぁいが僕の二の腕を襲う。

 どこに行く気なのまーちゃん!?

 ……ハッ。

 久しぶりに、後ろの方からゴトッていう音が聞こえた!?

 待ってくれ微居君!

 おっぷぁいに罪はないんだッ!(意味不明)


 そして僕が連れてこられたのは、何と朝礼台の上だった。

 何故!?

 全校生徒が、奇異の目で僕とまーちゃんを見ている。


「ま、まーちゃん? いったい何をするつもりなの?」

「んふふー、それはね、『漫才』だよ!」

「漫才!?」


 って、あの漫才!?


「ヤだよ僕! そんなのやったことないしッ!」

「まあまあ、大丈夫だよ。ともくんはいつも通りツッコんでくれてればいいから」

「いやそういうわけにはいかないでしょ!? 一切練習もしてないのに! なんでまた急に漫才なんか!?」

「ホラ、もう少しで日本一の漫才師を決める大会の決勝があるでしょ?」

「あ、うん」


 あの年末にやってるやつだよね。


「だからその決勝に向けて、ここでも練習しておこうと思って」

「僕達は決勝出ないけど!?」


 そもそもエントリーすらしてないしね!


「大丈夫大丈夫、ここで大爆笑を掻っ攫えば、運営さんも出さざるを得なくなるって」

「なんで高校の体育祭に運営さんが来てるの!?」

「じゃ、始めまーす」

「HEEEEYYYY。あァァァんまりだァァアァ」




「どーもー、まーちゃんでーす」


「と、ともくんでーす」


「二人合わせて、『ともくんともくん』でーす」


「『ともくんともくん』はおかしいでしょ!? まーちゃんどこいったの!?」


「いやあ、世間はすっかりニャッポリート一色ですねー」


「どういうこと!? どんな状況なのそれ!?」


「でも実際、ニャッポリートがあれば何でもできると私は思うんですよ」


「元気があれば何でもできるみたいに言わないで!」


「例えば就職活動にだって大活躍です」


「ニャッポリートが!? 適当なこと言わないでよ! 就活生が真に受けたらどうするの!?」


「じゃあ今から私が、ニャッポリートを使ってビシッと面接に受かってみせるから、ちょっと見ててね」


「えええぇ、凄く嫌な予感がする」


「コンコン。失礼します。ニャッポリート! 足立茉央と申します。ニャッポリート!」


「はいアウトッ!! お祈りメール不可避!!」


「御社を希望させていただいた理由は、御社なら、私のニャッポリートを活かせると思ったからです」


「バカにしてるの!? 御社の経営理念をバカにしてるの!?」


「私が御社に入社させていただいた暁には、毎朝朝礼で『ニャッポリート!』と叫ぶことをお約束します!」


「役員会議不可避!! 『あの新人は何なんだ!?』って話題で持ち切りだよ!」


「因みにニャッポリート検定は、準1級を持っています」


「1級は持ってないんだ!? まーちゃんでも1級はムズかったんだ!?」


「それでは、色よいお返事、お待ちしてます! ニャッポリート!」


「不採用ッ!!」


「「どうも、ありがとうございましたー」」




 いや何だったの今の!?!?

 何で僕、全校生徒の前で漫才やらされたの!?


「フッ、なかなかよかったぞ智哉」

「梅先生……」

「だが、最後の騎馬戦も、なかなか面白いことになっているぞ」

「え?」

「あれを見てみろ」

「?」


 梅先生が指差した方向を見ると、そこには――。

 なっ!?

 あ、あれはッ!?(露骨な引き)

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