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第54話:あさいくんあさいくーん⑤

「みんな~、今日は『ちっこいズ』のライブに来てくれてありがとー! ちっこいズの監禁担当、『未来から来た監禁姫』、tamaだよー!」

「今日はみんなの生命エネルギーを、ごっきゅんごっきゅん吸い取っちゃうお! ちっこいズの魔王担当、『異世界の妹系魔王』、mawoだお!」

「会場にいるお兄さん達のハートを、私が癒してあげるからねー! ちっこいズのリーダー、『絶壁のブチギレ妹』、maiだよー!」

「「「ウオオオオオオ!!!!(野太い声)」」」

「tamaちゃーん! 俺のことも監禁してくれー!!(野太い声)」

「mawoちゃーん! 俺の生命エネルギーを、一滴残らず搾り取ってくれー!!(野太い声)」

「maiちゃーん! そのカッチカチの胸板で、俺をボコボコにブン殴ってくれー!!(野太い声)」


 ふーーーーーーーー。

 まいちゃんふーーーーーーーー。


「しかし意外だったよ。未央ちゃんがちっこいズのファンだったなんて」

「そう? 未央は幼稚園の学芸会でオタ芸を披露するくらいの、生粋のちっこいズオタなんだよ」

「親御さん困惑ッ!!」


 きょうはみおとあさいくんとおねえちゃんのさんにんで、ちっこいずのらいぶにきてるの。

 ちっこいずはぞくにいう『ごとうちあいどる』ってやつで、ひじかわではしらないひとはいないってくらい、ゆうめいなあいどるなんだよ。


 ――えいえんのしょうがくごねんせい。

 しゅみは『かんきん』のやんでれきゃら、『たまちゃん』。


 ――みためはようじょ、なかみは『まおう』。

 ねんれいはよんけたごえとのうわさもある、まおうきゃらの『まをちゃん』。


 ――そしてみおのおしめんにしてちっこいずのりーだー。

 はたちをこえてるとはおもえないちゅうがくせいなみのひんそうなたいけい、いもうときゃらの『まいちゃん』。


 ちっこくてかわいいこたちがあつまったあいどるゆにっと――そのなも『ちっこいず』。

 みおはらいぶにはまいかいあししげくかよってるんだー。

 ふーーーーーーーー。

 きょうもまいちゃんはかわいいよふーーーーーーーー。


「それにしても僕、アイドルのライブって初めて来たけど、何ていうかこう……、凄いね」

「あはは、大分含みのある『凄いね』だね」


 たしかに『とーしろ』にはしげきがつよいかもね。

 じゃっかんあせくさいし。

 せんごくじだいのかっせんかよってくらい、のぶといこえがこだましてるしね。

 みおくらいの『べて』になると、このふんいきが、『らいぶにきた』ってかんじがしてたまらないんだけどね。

 あ、そうだ。


「あさいくんあさいくーん」

「ん? 何だい未央ちゃん」


 えへへー、よんでみただけだよ。

 あ、ちがうちがう。

 だいじなようがあるんだった。


「あさいくん、かたぐるましてー」

「え!? ここでかい!?」


 そうだよー。

 じゃなきゃ、らいぶがよくみえないんだもん。


「ダメだよ未央。未央はただでさえライブ中よく暴れるんだから、ともくんが疲れちゃうでしょ。肩車ならおねえちゃんがやってあげるから」

「やだやだあさいくんがいいー」


 らいぶをたんのうしつつ、あさいくんもゆうわくしようというこんたんなのです。


「ま、まあまあまーちゃん、僕なら大丈夫だよ。立派に肩車の大役、務めてみせるよ!」

「……そんなにタダで幼女を肩車したいの?」

「お金を払ったら逆にいかがわしいくない!?」


 いかがわしいってなにかなー?

 いながわじゅんじのしんせきかなー?


「……まったく、ネット上じゃ、すっかりともくんは幼女に目覚めてるという意見が趨勢を占めてるよ」

「いつの間に僕はそんな有名人になったの!? 適当なこと言わないでよ!」


 めざめちゃってもいいんだよ、あさいくん?




「今日もこんなに沢山の方にお越しいただいて、本当にありがとうございます」


 ふーーーーーーーー。

 まいちゃんふーーーーーーーー。

 きょうもみおのまいちゃんはてんじょうにかがやくほしぼしよりもきらきらしてるよー。


「ちょっ!? 未央ちゃん、そんなに動いたら危ないよ!?」

「だから言ったでしょともくん。今からでも私が代ろうか?」

「い、いや、大丈夫だよ」


 んふふー、そんなこといってー。

 ほんとうはあさいくんも、かたのうえでみおにあばれられてうれしいんでしょ?


「まいちゃーん。きょうもまないたみたいなたいらなおむねがかわいいよー」

「未央ちゃんッ!?」

「クソがああああああ!!!! 誰ですか今私の胸をイジったのはーーー!!!!」

「えっ!!?」


 ふーーーーーーーー。

 でたー、まいちゃんのおはこ、「くそがあ」。

 まいちゃんはひんにゅーをいじるといつもああやってぶちぎれてくれるから、たのしくてついついいじっちゃうんだよね。

 あさいくんもまぢかでまいちゃんの『きれげい』をみてめんくらってるみたいだね。

 でも、なれてくるとあれがやみつきになるんだよ?


「え、えー、ごほん。お見苦しいものをお見せしました。――では気を取り直して、先ずは先日発売したこの新曲を聴いてください。『初めてのデート』」


 しんきょくきたーーーー。


「今日は~、君との初めてのデート~」

「「「フワッ! フワッ!(野太い声)」」」


 ふわっ。ふわっ。


「奮発した~、高めのレストラン~」

「「「ファイボー! ワイパー!(野太い声)」」」


 ふぁいぼー。わいぱー。


「何だい~、話したいことがあるなら~、何でも言ってごらん~」

「「「イエッ! タイガー!(野太い声)」」」」


 いえっ。たいがー。


「何何~? その絵を買ってほしい~?」

「「「フワッ! フワッ! フワッ! フワッ!(野太い声)」」」


 ふわっ。ふわっ。ふわっ。ふわっ。


「ついでにその壺も~?」

「「「ハーイハーイハッハッハーイ!!(野太い声)」」」


 はーいはーいはっはっはーい。


「わかった、買うよ~」

「「「君を~、愛して~るから~」」」

「「「エル・オー・ブイ・イー・ちっこいズー!!!(野太い声)」」」


 きょうのまいちゃんもどちゃくそかわいー。


「歌詞エグくない!?!?」


 わかってないなーあさいくん。

 そこがちっこいずのみりょくなんだよ。

 これだから『とーしろ』は。




「――今日は本当にありがとうございました。最後は特別に、来月発売する新曲のサビだけを、この場で先行発表しようと思います」

「「「うおおおおおおおおおお!!!!(野太い声)」」」


 せんこうはっぴょうきたーーーー。


「聴いてください。『大好きなお兄ちゃん』」


 おにいちゃんけいかー。


「「「好き・隙・鋤・梳き・好き・隙・鋤・梳き・大好きよ~」」」

「「「俺達も大好きー!!!(野太い声)」」」


 みおもだいすきー。


「「「愛・相・藍・哀・愛・相・藍・哀・愛してる~、マイスイートお兄ちゃ~ん」」」

「「「エル・オー・ブイ・イー・ちっこいズー!!!(野太い声)」」」


 まいちゃんまいちゃんおれたちのまいちゃん。


「「「はい、お時間でーす。7000円になりま~す」」」

「「「そりゃないよー!!!(野太い声)」」」


 とほほー。


「仕事だった!?!?」


 わかってないなーあさいくん。

 しごとだからいいんじゃないか。

 これだから『とーしろ』は。




「お、浅井君、足立さん、君達も来てくれてたのかい」

「え? ――ふ、普津沢さんッ!?」

「なんで普津沢さんがちっこいズのライブここに!?」


 およ?

 誰だろうこのいけめんのおにいさん。

 まあ、あくまでみおのほんめいはあさいくんだけどね。


「なんでって、俺はこう見えても、一応ちっこいズのプロデューサーだからね」

「プロデューサー!?!?」

「忍者ってアイドルのプロデュースもするものなんですか!?!?」


 へー、このひとがぷろでゅーさーだったんだ。

 ふだんはぜんぜんおもてにでてこないから、『べて』のみおでもしらなかったよ。

 いつもかわいいちっこいずを、ほんとうにありがとうございます。


「……浅井君、君の肩に乗ってるその娘は、もしかして」

「あ、ああ、この娘はまーちゃんの妹で――」

「あだちみおです。まいちゃんおしです」


 ここはしっかりとあぴっておかないとね。


「なるほどなるほど。――どうだろう、足立さん、浅井君、実は今、そろそろちっこいズにという話が出ていてね。よかったら未央ちゃんを、ちっこいズにスカウトしたいんだけど」

「「スカウト!?!?!?」」


 ふおおおおおおおお。

 すかうときたーーーー。

 これでみおも、あこがれのまいちゃんといっしょに、すたーだむをかけあがれるってこと?


「やります。みおも、ちっこいずにはいります」

「ちょ、ちょっと未央ちゃん!?」

「一人で勝手に決めないの! 先ずはお母さん達とよく話し合ってからだよ!」

「ふふ、まあ、返事はすぐでなくともいいから。じっくり考えてみてよ」

「はーい」


 ――これがのちにでんせつのあいどるとなる、みおのだいいっぽなのであった。


「いや勝手なモノローグ入れないでね未央ちゃん!?」


 さすがあさいくん。

 ものろーぐにまでつっこんでくるとは。

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