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第59話:あさいくんあさいくーん⑥

「みんな~、今日は『ちっこいズ』のライブに来てくれてありがとー! ちっこいズの監禁担当、『未来から来た監禁姫』、tamaだよー!」

「今日はみんなの生命エネルギーを、ごっきゅんごっきゅん吸い取っちゃうお! ちっこいズの魔王担当、『異世界の妹系魔王』、mawoだお!」

「会場にいるお兄さん達のハートを、私が癒してあげるからねー! ちっこいズのリーダー、『絶壁のブチギレ妹』、maiだよー!」

「「「ウオオオオオオ!!!!(野太い声)」」」

「tamaちゃーん! 俺のことも監禁してくれー!!(野太い声)」

「mawoちゃーん! 俺の生命エネルギーを、一滴残らず搾り取ってくれー!!(野太い声)」

「maiちゃーん! そのカッチカチの胸板で、俺をボコボコにブン殴ってくれー!!(野太い声)」

「えー、ここで今日は大事な発表があります。何とこのたび、我らがちっこいズに新メンバーが加わることになりました」

「「「ウオオオオオオ!!!!(野太い声)」」」

「はじめましてー。ちっこいずのあざとたんとう、『あらふぉーぎわくのはらぐろようじょ』、みおだよー」

「「「幼女キタアアアアアア!!!!!(野太い声)」」」

「mioちゃーん! 俺のことも誘惑して、沢山貢がせて破産させてくれー!!(野太い声)」

「みなさん、今後はmioちゃんを含め、ちっこいズは四人で頑張っていきますのでよろしくお願いしまーす」


 うはー、みわたすかぎりかねづるふぁんでいっぱいだあ。

 ついにみおもきたんだね、いただきのけしきってやつに(とうちほう)。


「未央ー! 頑張れー!」

「未央ちゃーん、緊張しないでねー!」


 あ、さいぜんれつにおねえちゃんとあさいくんがいる。

 こころづよいぜ。


「あさいくんあさいくーん」

「ちょっ!? 未央ちゃん!? 本番中に名前呼ぶのはマズいよ!!」


 おっと、そうでした。

 きょうからみおはあいどるなんでした。

 『かればれ』はげんきんだよね。

 ――でもここはあえて。


「あさいくんあさいくーん」

「勇者かな!?」


 がんがんせめてくぜ。


「え、えー、どうやらmioちゃんのお兄さんが会場にいらっしゃってるみたいですね。どうかなmioちゃん、今日がデビュー初日だけど、ちゃんと歌とダンスできそうかな?」

「はいできます。むしろみおは、とっくにはたちをすぎてるのにそんなひんそうなおむねのまいちゃんがしんぱいです」

「クソがああああああ!!!! さてはあなただったんですね、今まで私の胸をイジってたのはーーー!!!!」


 そうでーす。

 えへへ、ついにばれちゃったー。


「リーダー、それよりもそろそろ曲を始めないと」

「そうだおリーダー。お客さん待ってるお」


 お、さすがたまちゃんとまをちゃん。

 ないすさぽーと。


「ぐぬぬ……、まあそれはそうですね。で、では、気を取り直してまずはこの曲から聴いてください。『中身も頑張って』」


 はじまるぜ、みおのかいしんげきが(とうちほう)。


「表紙の絵がメチャ上手いから買った~、同人誌を~」

「「「フワッ! フワッ!(野太い声)」」」

「家に帰ってワクワクしながら開けたら~」

「「「ファイボー! ワイパー!(野太い声)」」」

「中身の絵は~、メチャクチャ下手だった~」

「「「イエッ! タイガー!(野太い声)」」」」

「なかみもちゃんと~、がんばってよ~」

「「「エル・オー・ブイ・イー・ちっこいズー!!!(野太い声)」」」

「アイドルの歌じゃねーな!?」


 わかってないなーあさいくん。

 これからのあいどるにはこういうのがもとめられてるんだよ。

 これだから『とーしろ』は。




「――今日は本当にありがとうございました。最後は私達の代表曲でもある、この曲で締めたいと思います」

「「「うおおおおおおおおおお!!!!(野太い声)」」」

「聴いてください。『エール』」


 きめるぜ。


「何かこのアニメ~、作画怪しくな~い?」

「「「止め絵も多いー!!!(野太い声)」」」

「声優の演技も棒だし~」

「「「無名の声優ばっかー!!!(野太い声)」」」

「……と、思ったら~」

「「「おやおや~?(野太い声)」」」

「まんをじしてのそうしゅうへんきたーーー」

「「「あっ……(察し)(野太い声)」」」

「「「アニメ業界のみなさん、頑張ってくださーい!」」」

「がんばってくださーい」

「「「エル・オー・ブイ・イー・ア・ニ・メー!!!(野太い声)」」」

「余計なお世話だよ!?」


 わかってないなーあさいくん。

 これはみおたちからの、ぎょうかいにたいする『えーる』なんだよ。

 これだから『とーしろ』は。




「お疲れ様未央ちゃん。デビュー初日とは思えないくらいのハイクオリティなパフォーマンスだったよ」

「あ、ぷろでゅーさー」


 えへへー、ぷろでゅーさーにほめられちゃった。

 これはでんせつのあいどるへの、たしかないっぽとなったといってもかごんではあるまい。

 ところで『かごん』ってなんなのかな?

 かもんたつおみたいなものかな?


「未央ー、よかったよー!」

「凄かったよ未央ちゃん! 僕ビックリしちゃったよ!(いろんな意味で)」


 あ、おねえちゃんとあさいくんだ。


「あさいくんあさいくーん」

「うおっと!?」


 きょうはいちにちあさいくんにだきつけなかったから、いっぱいあさいくんのふとももをたんのうしちゃうぞ。

 すりすりすりすり。


「……まあ、今日は本当に頑張ったもんね未央ちゃん。……あれ? 未央ちゃんちょっと震えてる?」


 ぎ、ぎくっ。


「ふふ、それは当然だよ浅井君。いくら未央ちゃんが鋼のハートを持ってるとしても、デビュー初日で緊張するなってほうが無理な話さ。――ずっと気を張ってたんだよ」

「……そうだったんですか」


 むうー、ぷろでゅーさーのめはごまかせなかったか。


「本当によく頑張ったね未央ちゃん。よしよし」


 えへへー、あさいくんになでなでしてもらっちゃった。

 がんばったかいがあったぜ。


「――ところで足立さん、浅井君、実はちっこいズに、テレビ局からオファーがあってね」

「「テレビ局から!?」」


 お?


「一日密着型の、ドキュメンタリー番組を撮りたいらしいんだ。受けてもいいかな?」

「「うへええ……」」


 ふーーーーーーーー。

 さっそくてれびでびゅーだぜふーーーーーーーー。

 これでまたかねづるふぁんがふえちゃうぜ。


「未央ちゃん! ダメだよファンの人をそんな呼び方しちゃ!!」


 さすがあさいくん。

 『るび』にまでつっこんでくるとは。


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