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黒猫と竜は白薔薇に恋をする
黒猫と竜は白薔薇に恋をする
椿灯夏
異世界恋愛ロマファン
2024年11月02日
公開日
2,155字
連載中
幻想学園ローズクオーツには不思議な力を宿した秘女(ひめ)がいる。 その名は“白薔薇姫” 傷ついたものを癒し、不浄を祓う聖女。しかしこの度の白薔薇姫である白月シアノは、まだ覚醒していない。そんな彼女の覚醒を任されたのは。 黒の騎士と呼ばれる、通称黒猫の少年と、 伝説の竜と謳われた末裔の青年だった。 今始まるーー学園幻想物語。 「シア」 「ねえ美しいオヒメサマ」 「「俺(オレ)たちが必ず護る」」 白薔薇姫としても、たったひとりの「愛した君」としても――永遠に誓おう。

学園のツートップ◇1

「ねー黒猫君。また縁談蹴ったんだって?高貴な血を引くお嬢様。性格は高飛車だけど、綺麗なんだからOKすれば良かったのに」


「嫌だね。そういうお前こそ、いい加減嫁もらえよ。伝説の竜と謳われた末裔の血が絶えてもいいわけ?」



 桜道をスラリと背の高い青年と黒衣を纏った少年が、そんなどうでもいい会話をしながら歩く。


 黒猫と呼ばれた少年はいまだに信じられないでいた。この軽薄男が伝説の竜の血を引いているなんて、悪夢でしかない。


 季節は春。どこもかしこも満開で、早く咲き過ぎた桜は既に散り始めている。



「いいよ別に。どうせいつかは滅びるんだからさ、生きているものは。黒猫君だって、同じでしょ?」


「多少は同感。俺は、女なんてめんどくさい生き物は更々ごめんだしな」


「だよねー君は。オレは好きだけどー」




 桜道は淡く染まり、夢と現実の境がわからなくなる。綺麗で、不思議で、異質な光景。


 恋人同士ならもっと盛り上がるだろうが、男ふたり。


 しかも最強に仲が良くないのだから、一緒にいる理由と呼び出しがなければ一緒に行動するわけがない。



 何度目かのため息をつきながら歩く黒猫の隣で、竜だけが通常運転の笑顔。



(こいつの笑顔は相変わらず気持ち悪い)



 桜道を通り抜け、自分たちを呼んだ学園王がいる城へ向かう。



 あまり気は進まないが。



 学園王が一番偉いから仕方ない。



(偉いというか、偉そうの間違いだけど)



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