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学園のツートップ◇2

 見えてきたのは童話に出てきそうな白亜の城。立派な門の前に近づいた時、暇そうな門番の顔がパッと輝く。余程暇だったのか、顔が生き生きと輝いて見える。



「アカツキさんとカナタさんじゃない

ッスかあ!! 今日は星夜せいや様からの呼び出しッスか?」


「アカツキじゃないって、何回言えばわかるのお前」


「そうも読めるから問題ゼロッスよ!」



 黒衣を纏った少年、暁が溜息をつく。この門番は昔から人の話を聞かない。かれこれ腐れ縁の如くよく会うため、いつの間にか緩い関係になってしまった。暁からしたら子犬が戯れてくるようなものだ。



「そうそう。学園王からの呼び出し。今の時期って丁度、春の大祭の準備でしょ? なのに呼び出しなんてーー暇なのかな」



 背の高い青年ーーカナタが答える。



「確かにカナタさんの言う通りッスよねえ。暇そうには見えなかったんスけどね~ここ最近春の大祭の準備とかで、バタバタしてますから。みんなピリピリしてるんッスよ」



 緊張感のないやり取りを交わしていると、城の中からもうひとりの門番が出てきた。がっしりとした身体つきの強面の男は、いつもの如く雑談に花を咲かせる後輩にため息をつく。



 毎度注意しても「了解ッス!」と返事だけはいいのだが、その後は言うまでもない。



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