目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第398話 サーバー対抗戦Ⅱ⑦

 次に攻撃手段。 

 接近戦に関してはあの錫杖で殴っている所しか見ていないが、例のフィールドを纏わせてぶん殴っているだけの単純な攻撃だが威力は絶大だ。 喰らったエンジェルタイプがひしゃげてバラバラになった。


 恐らくは空間自体に作用する事によって単純な防御力を無視してくるので、防ぎたいのなら同系統の防御手段がないとどうにもならない。 要は躱すしかないのだ。

 次に不可視の何かを飛ばしてくる遠距離攻撃。 通常のセンサーでは観測不可能だが、シックスセンスでは視る事ができる。 謎の球体を飛ばしてくるのだが、こちらも喰らうと粉々になって即死だ。


 恐らくエネルギーフィールドなら防げそうな感じはするが、無傷で済まなさそうだったのでこちらも躱す必要がある。 少なくとも今のホロスコープの防御力では一撃でもまともに貰ったら終わりだ。

 機動力に関してはエンジェルタイプと同等かそれ以上。 現れた時に見せた動きから本気で動けば結構な速度は出るだろうが、欠点も同時に見えていた。


 ラーガスト、ベリアル、ユウヤとジェネシスフレームを扱っているプレイヤーを間近で見てきたヨシナリとしては彼等の機体に共通している弱点はエネルギー管理だ。 性能に任せた乱暴な動きも散見されるが、ああ見えて彼等はジェネレーター出力を完璧にコントロールしているのでオーバーヒートはます起こさない。


 その為、こいつを攻略したいのなら想定を超える攻撃を叩きこんで防御を飽和させる必要がある。


 ――まぁ、それが出来れば苦労はしないんだよなぁ……。


 実弾に切り替えて連射。 グリゼルダは躱しもしない。

 お返しとばかりに錫杖を一閃。 何もない所に適当に振っているように見えるが、空間の歪みのような物が錫杖の軌跡をなぞって飛んでくる。 変形して急上昇。


 そのままインメルマンターンから相手の攻撃を誘う。 グリゼルダが動いた瞬間に変形。

 この縦旋回の最大の強みは任意のタイミングで変形する事で制動をかけて相手の攻撃を躱しつつ、攻撃態勢に移行する事ができる点だ。 同ランク帯の相手なら早々見切られない動きなのだが――


 『お上手ですね』


 グリゼルダは余裕を一切崩さない。 バカにしやがって。

 アシメトリーでチャージしたエネルギー弾を叩きこむが、フィールドに阻まれて霧散。


 ――一人じゃ無理か。


 今は遊ばれているから生きてはいるが、本気になられたら終わる。

 そしてグリゼルダはそろそろヨシナリとのお遊びに飽きてきたようだ。

 恐らくは次か次の次ぐらいで仕留めに来る。 手段に関しても心当たりはあるが、果たしてうまく躱せるのだろうか? だが、狙うとしたらそこしかない。


 『サーバーが同じならユニオンにお誘いしたいのですが、本当に残念です。 では、さようなら』


 ――来る。


 グリゼルダの周囲の空間情報が変動。 空間転移の前兆だ。

 ベリアルのファントム・シフトを散々見てきたので、対処に方法に関しては確立できている。

 空間転移の際、転移前と転移先の空間情報が変動するので、シックスセンスを用いれば簡単に探知する事は可能だ。 手を翳すとヨシナリの居る位置の空間が歪む。


 変形して下へ逃げる。 

 これまで上に逃げ回って目を慣れさせたので、ここで下に逃げる事で多少なりとも思惑を外せる事を期待したのだが駄目そうだった。 ヨシナリの移動先に転移反応。


 回避先に現れるのは読めていたので、現れた瞬間に至近距離で食らわせてやる。

 そんなヨシナリの思惑は――転移反応が五つも出現した事で崩壊した。

 しかもヨシナリを取り囲むように配置しているのも嫌らしい。 


 よくよく考えればあの馬鹿げた数のリングを転移させたのだ。

 反応をいくつも出現させるなんて朝飯前かと納得したが、不味い事になった事には変わりない。

 目を凝らすが、何処に出てくるか分からなかった。 恐らくは直前で分かる仕組みなのだろうが、気付いてからでは遅すぎる。 


 グリゼルダが自信満々な理由にも納得だ。 

 これが個人戦なら間違いなくここで終わっていただろう。


 ――個人戦・・・だったなら。


 五つの転移反応のあった場所の三か所に銃弾が通り過ぎ、空間情報の変動に歪みが生まれる。

 残り二つから距離を取るようにバレルロールしながら錐揉みするように高度を落とす。

 銃弾の通り過ぎていない二つの内の片方にグリゼルダの機体が出現。 待ってましたと言わんばかりに無数の銃弾が飛んでくるが、フィールドに止められて停止。


 『――!?』


 グリゼルダは小さく息を漏らして回避運動。 僅かに遅れて巨大な弾体が通過する。

 ハンドレールキャノンだ。 回避先を狙って左右から二機のトルーパーが斬撃と打撃を繰り出すが、フィールドに阻まれて停止。 体勢を立て直したヨシナリがアシンメトリーのチャージショットを撃ち込む。 防ぐかと思ったがグリゼルダは回避を選択。 僅かに距離を取った。 


 『あぁ、だから下だったんですね』


 納得したように呟く。 正解だった。

 一対一で勝てる訳のない相手だったのでヨシナリは早々に仲間を呼んだのだ。

 空中にはふわわ、シニフィエ、ホーコート。 地上にはマルメル。 


 そして日本側の拠点――ここを狙える位置にグロウモス。 


 「流石に一人で勝てるとは思っていないので、俺の頼れる仲間達とで袋叩きにさせて貰いますよ」

 『それは楽しみですね』


 グリゼルダが動いた瞬間、ふわわが腰の太刀を一閃し、シニフィエが手裏剣を投擲。

 ふわわの斬撃が止められ、グリゼルダが反撃しようとしたと同時に手裏剣が炸裂し閃光を撒き散らす。 その隙にふわわが距離を取り、何かに気が付いたグリゼルダが錫杖を一閃。


 彼女目掛けて飛んで来たレールガンの一撃が曲がってあらぬ方向へと飛んでいく。

 グロウモスの一撃だ。 畳みかけるようにマルメルがアノマリーと突撃銃の二挺を連射。

 それに合わせてヨシナリもアシンメトリーを連射する。 大半が命中するが障壁に阻まれて通らない。 だが、シックスセンスで視ればジェネレーターに負担がかかっているのが分かる。


 僅かに遅れてホーコートが旋回で背後に回って至近距離から散弾銃を一撃。 

 こちらは躱される。 回避運動を取ったという事は消耗している証拠だ。

 行ける。 ヨシナリはそう確信し、マガジンを交換しながらエネルギー弾を連射。


 畳みかける場面だと察したのかホーコートも得意の旋回を駆使して追い打ちを喰らわせようしていたが、手を翳して握る。 


 直後、攻撃態勢に入ったホーコートの機体が捻じれるようにひしゃげて爆散した。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?