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Love too late:恋するキモチ7

「小田桐さんが、どうかした?」

「おまえ、妙に見つめていたよな。その……気に入ったのか?」


 気に入ったというか、目の前にいることが、多かっただけなんだけど。


「確かにキレイ目男子で、目の保養だなぁとは思ったよ」

「しかも結構、話が盛り上がっていたよな」

「…………」


(もしかしてタケシ先生、小田桐さんにヤキモチ妬いているんじゃないか!?)


 体に回してる腕の力を抜いて、じっとタケシ先生の顔を見つめると、わざわざ横を向いて、俺から注がれる視線を逸らした。


「あんまり仲良くなるなよ。桃瀬に文句言われるの、俺なんだから……」


 横を向いて顔を隠したんだろうけど、そのお蔭でしっかりと見えてしまった。頬から耳にかけて、いい色に染まってるタケシ先生の姿。


 耳を赤くしながら告げられた言葉に、思わずニヤけてしまう。


「タケシ先生のワガママ、超かわいいんだけど」

「うっさいな、これはワガママじゃなく注意だよ。バカ犬っ!」

「じゃあ今度は、俺のワガママ聞いてよ。この恋するキモチに、是非とも応えてほしいんだ」


 そう言って大好きな泣きボクロに、そっと口付けをした。


「俺が嫌いな野菜を頑張って食べたように、タケシ先生にも甘いもの、進んで食べてほしい」

「甘いもの?」

「せっかく、甘い雰囲気に持っていこうとしても、頭突きとか力技で阻止するの、いい加減に止めてほしいんだ」


 困った顔して訴えると、心底おかしそうにクスクス笑い出す。


「しょうがないだろ、慣れていないんだから。正直、照れ隠しもあったりするし。だが、おまえのワガママだしな、なるべく頑張ってみるけどさ」

「じゃあ、頑張るついでに今、ここでしよ……」


 俺の言葉に一瞬眉根を寄せたけど、しょうがないなと呟き、触れるだけのキスをしてくれた。


「ホント困ったヤツ。わかったよ、いろいろ頑張ったご褒美にくれてやる」


 そんな投げやりな物言いなのに、嬉しそうに笑ったタケシ先生を、これでもかと強くぎゅっと抱きしめてから、美味しく戴いた。もう胸がいっぱいで、一度で終わらなかったのは言うまでもない――。

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