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T046  伝説のビル爆破事件はここから始まった!





 《サーチ開始まで3…2…1…》



「「GO!」〜」


ピピッ!!



 サーチが示す場所は私たちから見て真正面。これは…



「近いね〜闘技場の手前か〜…。ナユカ〜、急がないと闘技場には人が集まるから〜、オーブの競争率がものすごく高くなるよ〜」


「うん!急いで行くよ!!」


 私はすぐさま〔ジャンプ〕を起動。ユキもすぐに〔飛行〕で追いかけてくる。闘技場に近いということは、かなりのひとが来るはず…、なんてったって昨日の人の量、半端なかったからね。そんな人達よりも先に取らないといけない。別に諦めてもいいけど、15分もまた暇つぶしするのは少しめんどくさい。


 闘技場までの距離は、飛んで行けばあっという間で、もう目の前に大きな建物が見えてきている。あれが闘技場。そしてその近くにサーチが反応したということはもう付近にあるはず。


「ユキ!!オーブの場所わかる!?」


「ちょっと待ってね〜。〔地図〕〔立体〕〔表示〕!見つけた!!このビルの中!上だね〜」


「え?ビルの中って結構でかいビルなんだけどなぁ」


 ほんとにこの中なの?


「早くしないと〜、たぶんもう何人かはビルに突入しているよ〜。いこいこ!」


「う、うん!」


 なんかすごい高いビルの上にあるみたい…。何階建てかな?100階位はありそうだよね。


 ユキはそのまま突っ込んで行く。ビルの壁に…。いや!?ぶつかるよ!?全面ほぼガラス張りみたいな見た目してるけど、今の時代の窓ガラスはめっちゃ硬いよ!!(窓にタックルかましてぺちゃんこになった経験者は誰かな?)


 私たちは建物を避けるためにかなり高めに飛んでいる。ビルの40階ら辺。てっぺんまでまだまだあるけど、かなり高い高度だ。


「はぁぁ〜ッとりゃ〜〜!!」


 なんとも気が抜けそうな掛け声のあと、ユキは片手に爆弾を…。爆弾!!?ちょっ!?まっ!



ドカーパリパリパリンパリパリパリパリーッッッ!!



「よいしょッ!!もう1発!これでよし!!ナユカ上に全速力!!!!」


「いやいやいやいや!!なにしてんの!」


「ん?爆発☆」


 私たちは全速力で上に飛ぶ。ユキ…、もう突っ込まないよ…。さも当たり前のように窓ガラスをぶち破ったユキだが、窓ガラスが一部割れビルに空いた穴からは中には入らず、すぐに上に飛ぶように指示される。上?


「上に行くのはいいけど、ビルの中に入りたかったんじゃないの?」


「いやいや、オーブがあるのはビルの上層だよ〜?そして、大体のプレイヤーはビルの下から直通の階段を登るか〜。私たちみたいに外から登る人達になるよね〜?」


「うん。下にプレイヤー来てるし…」


 中高度飛んできたのが幸いしたね。


「私たちの上には人はいないよね〜?」


「いないね。ビルの反対側とか側面は分からないけど…」


「じゃあ〜…。ビル。壊しちゃお?」


「なんでそうなる!?じゃあ〜、の意味が分からないよ!!」


 楽しそうに言うけど、ビル壊すとは一体何をしでかすおつもりで!?


「まあまあ〜、見ててよ〜。そろそろだから」


「はい?」


 ユキが私にそう言った瞬間。私たちが開けたビルの穴に異変が起きる。そう、既に爆弾は放り込まれていたのだ。さっき…


 何人かの後続のプレイヤーはその穴に向かって今現在も激しい戦闘を繰り広げ…


キラッ…


ドッ─────


 そこから音が一切聞こえない。ひどい耳鳴りに耳をおさえその惨状さんじょうを目撃する。


状態異常:耳鳴り


 わーお。


 それは、一瞬キラリと光ると、周りにいたプレイヤーなんてものともしないで大爆発した。爆発はあたりを破壊し、ビルの中心軸まで到達したのでは無いだろうか。それだけでは終わらない。

 先程の爆発の影響で、私たちよりも少し下までの窓ガラスが全て割れ。何とか爆発をまぬがれていた、さらに下にいた後続のプレイヤーに降り注ぎダメージを与えていく。もちろんビルの壁や支柱なども、爆発の余波で吹き飛ばされ落ちていく。もちろんプレイヤーを襲う凶器となって。


「───…ンうん、いい感じだね〜」


 何とか聴力が回復してきた。いい感じって…。もうビルの中の人たちは、爆発の揺れやらなんやらでそれどころじゃないと思うよ?


「何…?あの爆発?」


「あれは、知り合いに爆弾大好きなやつがいてさ〜。その子のお手製〜」



「うん…。とりあえず投げたユキもだけど、作った人も変人のいきだね…」


「火力バカだから仕方ないよ〜」



「ユキもそこに入ってるからね?」


「さぁさぁ〜、早くオーブ取りに行きますわよ〜」



 話を逸らして逃げたな…。口調が若干じゃっかん怪しいし、今はオーブ優先だからいいけど。後で問い詰めないと…。もう手遅れかもしれない…



 さっさとさっきの爆弾の余波でできたビルの崩れた場所を探し、中へ行くユキを睨みながら私も後ろを追う。



 あ、中もすごい荒れてた。





*





「あった〜」


「やったッ!」



「ナユカ、誰か来る前に早く取って〜」


「うん!過程はどうあれありがとう!ユキ!!」



 ビルの中に入ってから数分、あれからほとんどのプレイヤーに会うこともなく、オーブを確保することができた。あ、今回のオーブは黄色だよ!


 私の中に吸い込まれていくオーブ。


《スキル・技名を獲得しました》



 うん!今回は狙い通り〔技名〕を獲得することができた。これであらかじめスキルを組み合わせておくことでわざとして発動できる。技の発動は、技の名称を言葉にして言わなければならないため相手になんの攻撃が来るのかわかってしまう欠点があるが、それをおぎなう程のメリットだ。


 さっそく〔技名〕のセッティングに入りたいが、今は屋内なので弾幕を試したりできない。大人しく先にビルから出ることにした。


 あ、言っとくけど半壊のビルはプレイヤーがいなくなったタイミングで元に戻るらしいから安心してね。


 もちろん、軽くさわぎになってたみたいだけど。私たちは逃げるようにその場を後にした。


 だって高層ビルが半ば半分からポッキリ。それはもう折れてしまっているのだ。したの状況なんてとんでもない。ユキが「もうかった〜」とか言ってる時点で何が起こってるのか。想像に難しくないのだ。残念なことに。






ステータス



ーーーー



名前 ナユカ


所持金 154800G



HP 0├────────╂──┤


MP 0├───────╂───┤




《スキル》


『パッシブ』


「原型」

魔力


「強化系」

体力強化



『アクティブ』


「属性系」

火 火炎 爆発 光


「鑑定系」

植物鑑定


「色彩系」

赤 青 緑


「動作系」

叩く 躱す 回す 伸ばす 直角 止める

 減速 連動 集合 スーパーアクセル


「設置系」

魔法陣


「音響系」

歌唱


「表示系」

地図 表示


「部位系」


「命名系」

技名


「飛行系」

ジャンプ


「造形系」


『?』

魅力 鍛治


ーーーーー

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