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T056  ユキのフレンドになるということ

*>>三人称視点



 ユキの提案を受け入れた4人。その後、生配信は終了されまたたく間にうわさは広がっていった。


 1番のインパクトは白雪姫のデュオ、パーティー部門の参加。そして宣戦布告とも取れる動画であった。


 この噂は光の速さで広がっていく。それを聞いた上位の人間は、次々にパーティーを結成したりと闘技大会は過去類を見ない盛り上がりを見せることになったのだった。






*>>ナユカ視点





「さて、3人ともさそいに乗ってくれてありがと〜」


「こちらこそ、炎上するところをありがとうございました。別の案件で炎上しましたが」


「うへぇ…。すごいぞビュアさん。動画の再生回数がアホみたいに上がっていってるぜ‪w?」


「そりゃーそうもなりますわ。コメント広場も宣戦布告として大いに盛り上がってますわよ?」


「ユキがここまで有名だったとは…。驚きだね!」


 配信が終わりここは闘技場。私達は5人それぞれこれからどうするかを確認しあっていた。ユキはやはりと言うべきか人気者だった。配信すごいいっぱい人が来てたよ?


「ナユカももうこっち側の人間だからね〜?」


「うそーん…」


「むしろいままで自覚なかったんですか?」



 さいですか…。でもきっと気のせいだよ!私は昨日始めた初心者オブ初心者!


「それじゃーこんなところで話すのはなんだし?もっかいカフェ行こっか〜?」


「賛成です」


「うん!」


「?」


「カフェ?」


 カフェ。カフェ?かな?おそらくさっき行った所だとは思うけど…。ついでにアリアさんとハルトさんはパッと心当たりが浮かばないのか。首を傾げていた。

 息ぴったりである。




*






チリンチリン





 私たちはまた姿隠しのカプセルを使い、隠密にさっきのカフェ…、にやって来た。もちろん他のプレイヤーには見えてない。これのすごいところは扉とかの開け閉めをしても他のプレイヤーにバレないところか。


 ちなみに、カフェのマスターは私たちのことが見えている。というのも店はマスターの所有するエリアなため、そのエリアに入った者が見えないと逆に防犯が大変だ。ここの設定ではマスター以外は見えないようにセットしていて、マスターからは見えるようになってるらしい。

 そしてそうやって隠れながらきた人達は、バレないように裏に案内される。


 最も、私たちが入る部屋はその中でも最もVIPであり、知る人がほとんどいないエリアだということをこの時の私は知らないでいた。



「マスター、また裏使わせて貰える?」


「おいおい…。多いな。まあ、あれだけさわぎになればそんなものか…。いいぞ…」


 ちなみに今はプライベート回線でユキとマスターが話している。マスター所有のエリア限定の仕様でそんなことも可能だ。



ガチャ



 それぞれがいそいそと座る中、ハルトとアリアは立ったまま唖然あぜんとしている。


「この店…。よく使ってたが、こんな部屋があったとは…」


「最上級…。VIPですわね…」


 この時2人はシークレットルームのことを言ってるのかと思っていたが…

 実はハルトとアリアは通常のシークレットルームには案内されたことがあったらしい。ただし普通のだ。2人が驚いていたのは、この豪華でさらに一部の人間しか知らないようなVIP部屋なんてものがあったと知ったかららしい。


 それからみんなで席に着く。早速と言わんばかりにユキが話し始めた。



「よし〜!本題に入ろうか〜」


「うん!」



「まず、私は今後このメンバーで闘技大会に出場しようと思っているよ〜。ただ、その後。つまりイベントが終わったあとの話だね〜」


「後?」



「そう、これはまだ他のプレイヤーにばらさないで欲しいんだけど〜。イベント終了後アップデートでギルドシステムが追加されるらしいよ〜。その時ギルドを作ろうと思ってるんだ〜。この5人で」


「な!?」


 そんなことをいきなり言い出すユキ。やっと落ち着いて座ったハルトさんがもっかい立っちゃったよ。


「そ、そんな情報どこから?」


「んふふ〜、秘密」


 ユキ。小悪魔みたいにニッコリしてる。ふむふむ。可愛い!


「ギルドでは互いの協力が必要不可欠。もし参加してくれるなら〜。相応の利益があると私は思うな〜?」


 そんな状態でさらにアリアさんとハルトさんを落としに行く。ユキそんなにこのふたりのこと気に入ったのかな?


「例えばどんなのですわ?」


「アリアは各属性の変化形のスキル…。例えば私の〔雪〕などの情報提供」


「ッ!」


 アリアさんもソファに座りながら息を飲む。ユキのスキルってそんなに貴重なんだね?


「ハルトは武器屋としての店舗開設の資金援助や珍しいアイテムの融通〜」


「お、おぉ」


 ハルトさんは感嘆の声をあげ、もう一度落ち着こうと着席する。が、その目は少し揺れていたように見えた。


「ビュアは私や他の子達の独占動画公開〜」


「なるほど」


 ビュアさんは落ち着いて…る?


「あれ?私は?」


「ナユカは、私と4人のバックアップね〜」


 ついでにユキに私には何かあるのか聞いてみる。するとこんな回答が帰ってきた。なるほど!初心者だからバックアップしてくれるのはとても助かるよ!


「各々《おのおの》が私にも協力してくれたら嬉しい。アリアは素材やアイテムの確保〜、ハルトはギルドメンバーへの武器の支給〜、ビュアは他者にインタビューして動画にした者の情報提供〜、ナユカはとにかく目立って広報〜、私はめんどくさい輩や迷惑な人間の排除〜。って感じの役割を考えているよ〜。そのためには私も協力を惜しまないことをちかう」




 黙り込む3人。しばらくの沈黙の後、1番初めに考えがまとまったのはハルトさんだった。


「わかった。このハルト。そのギルドに参加する。参加させてくれ」


 頼み込むように頭を下げるハルトさん。いやいや!頼んでるのはこっちだからそんなにしなくても!!


「私も参加致しますわ。ユキさんにそこまで言われたら断れないですわね。それに楽しそうですわ!」


 そんな横に座っていたアリアさんもハルトさんに続く形で賛同してくれた。


「ええ、そうですね。私も参加させてください。こちらにとっても利益しかありません」


 ビュアさんもOKしてくれたことで晴れて全員がこれから仲間として活動していくことになる。

 な、仲間…。なんだろ。今までほんとにユキ以外の人とこんな関係をきずけるなんて思ってなかったからとても嬉しい!!



「よし〜!決定だね〜。改めてよろしく〜」


 ユキはそれぞれ3人にフレンド申請を送る。私はもう3人とはフレンドだ。これでみんなフレンド登録をすれば何時でもお話したり会えるようになる。


 しかし、3人はそんなユキのフレンド申請の前に唾を飲み込む。ほとんどフレンドを作らないユキからの申請。3人は内心少しビビりながらその申請を受け入れた。


 いっさいフレンドを作らないことで有名なユキからのフレンド申請。その重みを3人は飲み込んだのであった。






ーーーー


ユキのフレンド一覧


キリア

マスター

ナユカ

ハルト

アリア

ビュア



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作者コメント

 アプデ情報を勝手に言いふらしていいのかって?実は実力があるプレイヤーや一部の有名パーティーなどには既にこのことは運営側から通知があり、ギルドシステムを円滑に浸透させるための情報公開です。

 あとから出てくる「アインズ」「西部公国」「半公式プレイヤー」などはもちろん知ってて大会に出ています。



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