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T080  ナユカのわがまま

*>>ナユカ視点




 その後、9回戦目。いわゆる準決勝と、10回戦目の決勝についてはユキが勝った、と言っておこう。


 簡潔かんけつに言うと、その後。ユキが〔妖力〕を使って雪山まで作り。そのままそこが墓場になるパターンが続く。その終わりは誰の目から見てもユキの圧勝であった。


 むしろハルトさんの方がすごかった。ある程度の対魔法能力を持った〔気力〕を使って立ち回っていたのもあるが、もうひとつは自前の耐寒アクセサリーが背中を後押ししていたのもある。あのアクセサリーは、猫がどうのこうのと観客席に帰ってきたハルトさんが言っていたがほとんど理解はできていない。



 今日、ここに第3回闘技大会の優勝者が決まり、ゲーム内外を問わずお祭りのようなにぎわいを見せている。ユキにはゲーム内のお金はもちろん、リアルマネーも入ったとか。

 元々お金持ちなのにそんなに貰って何に使うのやら…

 また、お金だけではなくリアルでのある程度の施設のVIP待遇などが約束される…。いやだからいらないでしょ?




 こうしてソロの部が終わり、明日にはついに!私のデビュー戦!初めての公式大会参加だ。え?黒龍戦で派手にデビューしただろうって?

 いやー。だってあれ強制イベントだし…?私まだランキングすらステータスについてないし?


 ちなみに、ランキングは公式以外のバトルでも反映される。がしかし、1度でも公式戦。つまりはランクバトルを1回でもしていることが条件となる。それまではランキングは付かずに。ランク外。と表記されるのだー!


 やったね私!まだ初心者名乗れるよ!!



 ちなみにちなみに!今回の闘技大会ではランクは付くが、これは普段のランキングとは違うため、普段のランキングには反映されない。今回頑張っても結局ランク外のままなのだー!エッヘン


 さぁ、これで今日はおしまい。明日に備えて解散にしようか。という空気が流れているが今日はここから、私のわがままに付き合ってもらおうと思う。





*





「ねえ、みんな?」


 私の呼び掛けに振り返るみんなは、私の突然の呼び掛けにキョトンとしている。中でもユキはこのタイミングで私からなにかすることに意外なのかな?少し不思議そうな表情。可愛い。


「どうしたの〜?」


 そんなユキが私になにかあるのか問い掛けてくれる。その目は驚きから既に代わり優しい眼差しだ。だから私はユキとみんなに頼み事をする。


「みんなで今から私の護衛を頼んでいいかな?あとユキにはもうひとつお願いがあるんだけど」


「「護衛?」」


 ハルトさんとアリアさんが口をそろえてたずねてきた。仲良いね…?


「私のわがままに付き合って欲しくて、ただ、今、みんな注目度高くて1人じゃとても動けないでしょ?だからみんなで移動しちゃえば怖くないかな?って…」


「あぁ、だから護衛ですか」


 うん、ビュアさん理解が早くて助かるよ。


「ですです!」


 みんな少しこの後の予定を思い出す仕草の後。


「うちはいいぜ?」


「どうせ暇ですから、みんなで動くのも悪くないですわね」


「ま、俺はどっちでも」


「いいよ〜」


「ナユカさんのことですからね。面白そうです!みんなで動きましょうか」



「みんな!ありがとう!」




 みんなは笑顔で引き受けてくれた。

 優しいね!まだ出会ってすぐだけど、このメンバーだと少し安心できる。根拠は無いけど。なんて言うか直感?そんな感じ。


「でもナユカ〜?どこに行くの〜?」


「えへへー。ワンライフの再チャレンジをしに。今度は油断しないし、クリアしてみせるよ」


 そんな私の返答にハルトさんだけはよくわかってないのか首をかしげていた。


「なんだそれ?」


「あんた、動画見てないわね…」


 アリアさんはそう言いながらハルトさんのそでを引っ張り、ちょっと動画見せてきますわ…。と言いながら観戦室を出ていってしまった。引きられていくハルトさんは頭に「?」を浮かべながら目が点になっていた。まぁ、知らなかったらそんな反応になるよね。私もなる自信があるよ。


「昨日〜、少し悔しそうにしていたもんね〜?」


「えへへー。あまり顔に出さないように頑張ったのに…」



「いや〜、モロバレだよ?だって涙メ「あーーーと!!それより!!」…まぁ〜黙っといてあげよう〜…フフフッ」




 「雪女」が出てるぞぉ?!


「えー、ゴホン。それより!!ユキには別にお願いがあるんだぁー!」


「いいよ〜」


 まだ何も言ってないんだけども?


「じゃあお願い。私の後に、ユキもワンライフをクリアして?」


「まっかせっなさ〜い!」


 自信満々に胸を叩くユキ!その表情を見るにかなりの難易度らしいワンライフをクリアできる自信があるのか。たのもしい限りだ。


「ちょっとまて!ありゃークリアできるできないの次元じゃねーぜッ?あんなのいくらユキでも無理だっつの!」


「行けるよ〜。ナユカがクリアするって言ってるし〜、そのプレイをまず見せてくれるわけだから、初見殺しも回避できるしね〜」


 ミカちゃんのちょっと焦った待ったの声に、あっけからんと答えるユキ。嘘だろコイツ!みたいな視線を発しているのはビュアさんも同じだ。温度差がすごいね?


「いやあれはまず無理だろ?」


「やってみないと分からないよ〜」


「これまた動画にしていいんです?」


「うん!バッチグゥー」


 むしろ今回は生放送とかしてる方が「安全」な気がするからね。「戦闘不可エリア」とは言え、変なのに絡まれたくないし。


「じゃあ〜!行こうか〜!」


「おーう!」


「やっぱり楽しいですね!」


「はぁー…。まぁ、それには同感だぜ?」


 こうして、私たちは先に観戦室を出たハルトさんとアリアさんの後を追うように出ていく。ユキはウキウキ、ビュアさんとヒカリさんも少し慣れてきたような苦笑いだが満更まんざらでもなさそうだ。

 ありがとう!みんなと知り合えて良かった。そう思ったよ。





*>>三人称視点







「ユキ?早く行くよぉー!」


「はいは〜い!…。返答、短いなぁ〜…」








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ユキ:


 目の加工は今回みたいにスキルを使えない場合のみお願いします。それ以外はスキルでカモフラージュできるからナユカにそれを教えるからね。そっちの方が監視AIを気にせずに済むでしょう?




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ナビィ:


 了解しました。


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